第44話 やりましたし、って…

エクシア王国人口第二位の都市ヴァーチェ。何やら殲滅する、とか言いそうだが多分気のせいだ。


朝食後、義兄義姉たちは本邸を出る。この四人は学校である。

俺はまだ三歳なので当然学校は無いのだが…


「アレ?セイ兄は学校じゃないの?」


セイ兄は今年七才になる歳だ。なら小学校があるはずなんだけど…。


「貴族の子弟は中学校からになります」


とシーバスに教えてもらった。


貴族の子弟が中学校からなのは小学校で学ぶよりも家での家庭教師などによる教育の方が高度なためである。

また中高に上がっても礼儀作法や持ち物の違いなどからほとんどの学校では貴族と平民は別けられているらしい。


「………………」


何てがっかりな教育制度に…。まあ、俺がそう思うのは日本人としての感性が残っているからなんだろうけど…。

そんなことしてるから貴族至上主義が変わらないし、学校がその温床になっちゃってるんじゃないかな?


しょーもなっ!


セイ兄には家庭教師代わりに今はセバスさんが付いて勉強を見てくれている。

セバスさんは頭も良く、戦闘も可能、家のことも出来る、と万能で有能だな。


え?私も出来ますって?シーバス…対抗しようとするんじゃない。


父アリウスは首都で単身赴任中だが、先日の騒動で本邸に帰ることを決意。家族と過ごす時間を大切にするため首都に戻り、単身赴任を終わらせるために奔走中らしい。


…そもそも何の仕事してんの?


「旦那様は王城で内政官の次席です」


それ、結構偉いんじゃないっ!?


「そうですね、上には国王と宰相のお二方…になりますか」


まさかのNo.3?

厳密には騎士団長やら財務卿やらと細かくいるらしいのだが、あくまで内政に絞れば三番目に位置しているらしい。

やるな、父さん。


まあ、今回の行動はその地位を捨てるため、なワケだけど…大丈夫?


「下にはいくらでも人員はいますが、旦那様は優秀ですからね。周りが手離すかどうか…」


あぁ…ちょっと難しいのか。義祖父さんに手伝ってもらえるか聞いてみるか…。


あれ?でも家って準男爵位だろ?そんな上の方にいて良いの?周りが煩そうだけど…。


「………まあ、いろいろやりましたし、旦那様は優秀ですから…」


「………………」


やりましたし、って…『』りましたの間違いだろっ?あと父さんが優秀…は二回目だぞ?

おいっ、目を逸らすなっ。


まあとにかく、家族のために時間を作ろうと奮闘してくれるのは嬉しいことだ。

何か俺に手伝えることがあれば良いんだけどな。

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