第33話 誇り!
「セイ兄ふくめて兄姉きょうだいみんなこう言っているけれど………………どうなってんの?」
さらに強めた視線を夫人に向ける。
夫人は冷や汗をさらに流し、顔は青を通り越して白くなっているように見える。
さっさと気絶してしまったもう一人の夫人と比べて未だ立っているのはその
「う………ぐ…」
小さな唸り声は喋ろうとして喋れないのか、それとも喋らないのかは分からないし、正直どうでもいい。
俺の要求をどうするか…知りたいのはソレだけである。
そして俺はボソリ…と小声で呟く。
「あぁ~………………てんばつ、おちそうだな…」
「っ!?」
当然、夫人に聞こえるように言ったのだが…。俺はそのまま雷属性魔法を身に纏い、天罰(仮)を装う。
天罰=雷はただの俺の中でのイメージにしか過ぎないのだが、夫人の考える天罰のイメージにも合っているのだろう…さらに顔色を悪くしている。
雷属性魔法を纏った俺の周囲は小さくスパークが起き、パリッ…パシッ…と音を立て、今にも「はい、天罰落ちまあす、ご注意ください」と言わんばかりの状態。
この状態で俺は夫人にも、兄姉にも聞こえるように言葉を発する。
「俺のようきゅう………………きいてくれるよね?」
ニッコリ…笑顔を崩さず、が視線は強く夫人にそう問い掛ける。
コクコクコクコク…何度も頭を振り、頷く夫人。とりあえず俺は、そんな状態の夫人の頷きだけなんて、まるっきり信用していないので…
「うそだったら………………分かってるよね?」
『バリィッ!!』
夫人の目の前に極小の雷を落とす。
うん、何やら高級そうな絨毯が焦げてしまっているが、コレは見なかったことにしよう…。
夫人はというと白目を剥いて、立ったまま気絶。一体何処の格闘家だ…と思わないでもないが、最後まで倒れなかったのはその誇りプライドの高さ故か…知らんけど…。
さて…とりあえずゼハールト家本邸に来て初日に大分やらかしたワケだが…
後が面倒そうだな…。
どうするかなぁ…と考えようと思う前に…
「ぐはぁ………ぅわぷっ!?」
「ユーリッ!」
「「凄すげえな、ユーリウスッ!!」」
「「凄いわね、ユーリウス」」
背中にセイ兄が突進、からの抱き付き。そして、いつ回り込まれたのか正面からは異母姉の抱き付き攻撃。その周りを異母兄が囲み、俺はもみくちゃにされる。
再び、文字通り俺の目の前に訪れた二…四つか、の理想郷に、まあ後で考えれば良いし…なるようになるか…と俺は思考するのを止めた。
決して感触を楽しむために考えるのを止めたワケではないことをここに報告しておこう。………ホントだよ?
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