第32話 ………ほほぅ。

俺の魔力放出により、ビビり散らかしている夫人を他所に、待遇の改善を要求する俺。

他に改善させることあるかなぁ…と考えるも、いざとなるとパッと思い浮かばない。


「あっ、セイ兄。なんか、こうしてほしい…みたいなことある?」


「えっ、僕っ?」


セイ兄は俺の三才上なので現在は六歳だ。そして六歳にしては頭が良い…と思うのは俺の贔屓目かも知れんが、それはまあいいや。


「う~~~ん…」


小さくうなり声を出しながら、頭を傾げ考えるセイ兄。…やはりうちのセイ兄は天使か。

いや、今は俺が別の意味で天使だったな…。


「出来れば、だけど…。僕のことを冷たい目で見るのは止めて欲しい…かな」


「よしっ、そいつらよんでこい、すぐころそう、いまころそう」


「だ、駄目だよユーリっ!殺そうとか言わないで、めっ!」


「わかった」


一瞬でキレかけたがセイ兄の『めっ!』にやられ、俺は冷静さを取り戻す。所轄『おれはしょうきにもどった』ってやつだ。………違うか、違うな。


「ユーリウスの奴、即答で殺そうっったぞ…」

「我が異母弟ながら恐ろしい奴…」

「お母様の汗が凄いのだけど…」

「お義母様…。お母様が気絶してて良かったわ…」


とりあえず…セイ兄に冷たい目を向けるような奴ぁ、探し出してO・HA・NA・SHI・しないとな…。


「おい、ユーリウスが凄く悪い顔してるぞ」

「本当ね」

「あれは後で探し出して何かしようって考えているんじゃないかしら?」

「だろうね…」


…おっと、どうやら顔に出ているらしい。まあ、隠す気もあまりないのだけれど…。

あと異母兄姉たちはさっきから言いたい放題じゃありませんかね…別に良いけれど。

ちょうど良いので…


「にいさん、ねえさんたちはなんかある?」


「えっ!?俺たちっ!?」

「私たちもっ!?」

「「う~~~ん…」」


多分だけど、俺の行動を止めないし、俺の言動にも納得してるっぽいし…。恐らく俺たちと同じように…かソレに近い扱いを受けているのだろうと思う。

俺自身、この四人の異母兄姉は信じても大丈夫だと…ほんの短時間、それも数分だけだが…思ってしまっている。

………決して抱き付かれて、その向こうに理想郷アヴァロンを見たから…とかではない。…ホントだよ?


「そうだな…俺もセイリウスと同じ、使用人たちに冷たく見られるのは勘弁してもらいたいかな」

「長兄長女以外には冷たいものねぇ」

「俺たちはもう今さらだけどな…」

「そうね、セイリウスやユーリウスにはねぇ…」


………ほほぅ。


なるほど、なるほど…。

さっきから冷や汗だらだら流して黙っているけれど…。


「セイ兄ふくめて兄姉みんなこう言っているけれど………………どうなってんの?」


ギロリ…俺は再び夫人を睨み付ける。

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