第31話 望み!

「しかし凄いなユーリウスは…義母さんだけ気絶させて母さんを残すとは…」

「そうだね、それにこちら側への魔力放出は抑えているし…凄い魔力コントロールだ…」


義兄二人は俺がやっていることが分かっているようだ。

ということは義兄二人はある程度戦えるし、戦闘に関する知識やらなんやらもそれなりに有るのだろう。

しかし気絶したのが一人だけなのは偶々です、すみません。


「シーバスはB級冒険者の中でも実力的には中位…」

「ならユーリウスはB級上位か………それ以上…」


………えっ!?

あの執事でB級中位っ!?………………C級中位くらいかと思っていたんだけれど…。

前世から転生したこの世界…もしかして転生前の世界より全体のレベルが低い…のか?う~~~ん、後で義兄たちに教えてもらおうかな…。


さてさて…その辺りはまた後でにして、と…。

残っている一人の義母…おそらく第一夫人だろう、をどうするか…。

現状、顔を青くしてガクブルしているが、その目に諦めの色は見てとれない。プライドなのか、それともまだ隠し玉的な何か、があったりするのだろうか?


「な…」


お?何か喋る?


「何が望みなのです?」


何が望み…ときたか。そんなの…


「たいぐうのかいぜんをようきゅうするっ!」


俺は腕を組み、ガイナだ…げふんげふん、仁王立ちして言い放つ。俺の背中からは『どんっ!!』とか『バアアァァァンッ!!』とかオノマトペと一緒に爆発のエフェクトが出そうな勢いだ。


「た…待遇の改善…?」


「えっ!?マジでなんのこと?」みたいな顔してやがるな…ぶっ飛ばすぞこの野郎っ!という気持ちを抑えて夫人に話しかける。


「なんのことか分からない、って顔しているな…。ぶっ飛ばしてやりたいところだが…」


「ヒィッ!?」


全然抑えれてなかった…が、構わず俺は言葉を続けることにする。


「こどもがおやとはなれてくらすことがおかしいこと…とは思わないのか?」


「うぅっ…」


ギクリ、みたいな反応をする夫人。逆に義兄義姉たちはウンウンと大きく頷いている。…というか、その反応…どうやら『おかしい』とは思っているみたいだな…。


「まずは…俺たちかぞくがいっしょに住めるようにしてもらおう」


「そ、それは…」


「…んん?なんかつごう悪いこと………ある?」


「ヒィッ!?」


目を細め、軽く睨み付ける。…おっと、少し魔力放出もしてしまった。…まあ、いいや。


「あ、あとセバスさんとメイさんもいっしょにね」


俺が三歳になるまでしっかりと面倒を見てくれたのはこの二人だ…。その二人にはもちろんっ!と言って良いぐらいに待遇を良くして貰わないとな…。


さて…あとはどうしようかな…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る