第13話 二歳!

おねしょもしなくなり、舌っ足らずな言葉も多少良くなった俺は二歳を迎える。


兄セイリウスは五歳、母レイラは二十一歳という家族構成。………若い。

父親?会ったこともないそんな奴のことは知らん。


二人は定期的に本邸からの呼び出しに二~三ヶ月ほど家を空ける。教育だとかなんとか言ってはいるが、帰ってくる度に泣きそうな顔を見せられるのだ。

………俺を呼び出す時が待ち遠しい。…おっと、まずは実情を確認してからだな。それでもぶっ飛ばすのはほぼ確定だけれど…。


外には出してもらえないが屋内は既に自由に動いている俺は、二人がいない間はさらに自由に動く。

と言っても書斎にある本を漁ったり、台所の食材を確認したり、今回の転生先であるこの世界のこと、物を確認するためだ。

知識は大事だからな。


食材などは前世、元勇者の時とほぼ同じ物が見られた。まあ前世の時もさらに前世、日本人の頃の食材とほぼ同じだな…と思ったワケだが…。

この辺り、そのように『翻訳』されているのか『脳』が『認識』しているのかよくわからないが、料理をする分には日本人の頃と同じ名前の食材は助かった、とだけ言っておこう。


魔法について書かれた書物が数冊。魔導書と違って読んで覚える物ではなく、どのような魔法があるか、魔法の使い方、などハウツー本があった。

前世の経験やスキルがあるから使い方については十分以上に分かっている。

魔法の種類については若干少ないように思えた。まあ上級魔法やそれ以上の魔法はわざと書き記していないのかも知れないが。

魔法名が少し違うような気もしたが、概ね前世の頃と同じではないか、と思う。


歴史書などもあったが、今は歴史に興味はない。それよりも役にたつ知識を詰め込むべき、とスルー。

薬草や毒草などが書かれた植物の本や簡易な地図、その地域の特産品などが書かれた書物を読み耽る。

それに伴い『マップ』に詳細な地図が………出るワケもなく、絵本のような簡易な地図に留まった。


室内、屋内は日本人の時に見た不動産の物件図面のようにまあまあ細かく表示されているので、『マップ』も自身が足を運んだりすれば、細かく正確な物になっていくだろう。

これは『マップ』の前身『地図』の時もそうだったからな。


寝る前に魔法の訓練と併せて身体を動かすようにした。

『身体強化』を行いつつ腕立て伏せ、腹筋、スクワットを軽めに筋トレする。と言っても翌日に軽めの筋肉痛が残る程度だ。

それでも『身体強化』のスキル経験値にはなるし、ついでに『身体操作』というスキルもゲット。このスキルは大幅な変化は見られないが、気持ち身体の動きがスムーズになったような感じである。


『身体』を外部的に『操る』のではなく、思った通り動かすのにロスが少なくなったような感じ?アレだ、マグネットコーティング的な感じではなかろうか?

…とまあ、そんな感じの微妙な効果ではあるがスキルとして認識されたのならそれなり以上に効果があるのだろう。


こうして俺は日々、戦う力を磨き過ごす。そして、本邸に向かうことになる三歳を迎えた。

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