第14話 三歳!

三歳を迎え本邸に向かう前に家族が増えた。準男爵家の四女になる妹だ。

妹の名はレイナ。

セイ兄と同じく血の繋がっている、レイラ母さんから産まれた歴とした妹である。…いや、第一・第二夫人から産まれた子たちに血の繋がりがないワケではないが、セイ兄の様子を見る限りではろくでもなさそうなので、会ったことは無いが兄弟としては微妙である。


産まれたばかりの妹の小さい手に指を『ギュッ』と握られた時は…


「………天使か…」


と思わず呟いてしまったのは仕方がないことだろう…。もちろん異論は認めない。

妹もセイ兄もレイラ母さんも俺が守る!


そして満三歳を迎えた俺は呼び出されゼハールト本邸へと向かう。

俺は当然初めて向かうだが、今回はセイ兄が別邸にいたこともあり二人で向かうことに。


というかいきなり本邸から使いが来て、今から移動とか言って連れ出されたのだが。

普通は先に伝えて準備くらいさせませんかね?

ソレを当たり前にする辺り、当主の命令だとしても、この使いの男もオカシイんじゃないか?


半ば強引に…と言えなくもないような呼び出しに俺は既にお冠である。


そして使いの男が乗ってきた馬車に乗せられ、使いの男の合図で御者が馬車を走らせ始める。

御者の人はまあ仕方ないにしても使いの男は執事だろう。主に対して間違っているようなら意見しても良いようなものだが…。


まあ、その前に俺たちが庶子だということも関係しているのだろう。

男の瞳には若干、見下しているような感がある。

………こいつから教育してやろうか。


「ユーリ、大丈夫?怖い顔しているよ?」


おっと。セイ兄にはバレないようにしないと…。


「だいじょうぶだよ、セイにい。ちょっときんちょうしてるだけ」

「そう?なら良いけれど…」


極上の弟スマイルで全力で誤魔化す。


~~~~~~~~~~~~~~~~


朝早くから馬車に乗り、ほぼ丸一日…途中で昼食を摂るのと、馬を休ませるための休憩を入れて、夕方に街に到着。

街を囲む壁がかなり大きいことから、それなりの街なのだろう。


大きな門を守っている衛兵から通行の許可が下り門を潜ると『マップ』が更新され、その大きさがよくわかる。

別邸のあるところは町というか村って感じだったもんなぁ。出歩いたことはないけど…。


馬車は本邸へ向け街並みを走る。『マップ』を見る限り街の中心に向けて商業区、居住区、貴族区、となっているようだ。

中央には城…ではなく大きなお屋敷が建っているので、ここは首都ではないのだろう。

まあ首都に行くのは後の楽しみにしておこうか。


そして馬車は貴族区に近付く。

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