第9話 恥ずい!
魔力やスキルの強化をすること、二週間…。
俺は嬉し恥ずかしお食事タイムやオムツ交換イベントの恥辱に耐え、情報収集に勤しんでいた。
と言っても主な情報元は執事のセバスさんとメイドのメイさん、二人の会話だけなのだが…。
そう…、『二人の会話だけ』なのである。
気配や魔力を探っても、俺のいるこの部屋に出入りしているのはセバスさんとメイさんだけ。二人以外に出入りした人がいないのである。
それはつまり、今世での俺の『両親』も該当しており、俺は未だ顔も見ていないのである。
普通、生後二週間の実子を見ない…いや、一緒にいない、なんてことがあるだろうか?
父親は準男爵とはいえ貴族。何か理由があるのかも知れない。…なら母親は?
まあ、前世の頃の貴族の件もあり、俺は貴族のことが端的に言って嫌いだから、正直どうでもいいところではあるが…。
セバスさんもメイさんも、俺のことはとても大切にしてくれているのはわかっているので、そこは幸いだった。
ただ不自然なくらいに両親の話が出てこないのだ。コレは意図的に話さないようにしていると思わざるを得ない。
ソレが二人の優しさから来ている、というのはわかっているけれどな…。
やむを得ない事情があるのかも知れない。そう思いながらも前世の頃の貴族たちを思い出すと、イラッとする俺と、少しだけ寂しさを覚える自分がいる。
記憶だけなら五十を越えるオッサンなのにな…。前世でもそうだったが、精神は身体に引っ張られるようだ…若干だけれども。
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「ぅうぅぅぅ………だぁっ!(おりゃっ!)」
ゴロリ…と寝返りを打つ。
『身体強化』『気功術』のスキルレベルが上がり、俺は生後一ヶ月で寝返りに成功した。
フッ…ハイハイまでもう少しだな。
「セバスさんっセバスさんっ、見ました?坊っちゃんが寝返り打ちましたよ」
「ええ、確りと見ました。生後一ヶ月で寝返りを打つなんて…坊っちゃんはお強くなりそうですね」
内心ほくそ笑んでいた俺の姿はバッチリ二人に見られていたらしい…恥ずい。
しかし寝返りは打ててもハイハイは直ぐには出来なかったか…。赤ん坊の身体…不便である。
まあハイハイが出来る程度では、二人に見つかったら直ぐに連れ戻されるだろうが…それでも移動可能になれば多少なりとも情報収集が進むだろう………進むか?…さすがに無理か。
まあ、追々考えるとしよう。
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