第3話 くっ、殺せっ!
「おぎゃあ…おぎゃあ………ぅあ?」
意識が覚醒していく…。
どうやら自分の鳴き声で起きたようだ。…アレだ、自分のいびきで目が覚める的な…違うか、違うな…。
…しかし…。
「………………ジー」
見られとる…がっつり見られとる。
目を覚ました俺の目の前には、(多分)ベビーベッドを覗きこむようにして俺を見ているメイドさんらしき女性がいた。
「セバスさんセバスさん、ほら、坊っちゃんあたしのこと見て泣き止みましたよっ!」
「メイさん、はしゃいでいないでお仕事をしてください」
「はぁーい」
俺の視界には入っていないが執事さんらしき人もいるらしい。セバスさんか…絶対執事だな…しかしどこの執事さんもみんな『セバス』っぽい気がするのは何故だろう?あとメイドさんはメイさんか…分かりやすいな。
そしてまだ赤ん坊の俺にするお仕事か…。アレだな?アレしかないな。…何故なら俺は今、絶賛大開脚中だからな…。
どうやら俺はもれなく漏らしてしまっているらしい。…しまった、駄洒落っちまった。…恥ずかしい。
しかし前回の転生時もそうだったのだが、自我というか意識がしっかりとしている状態でのオムツ交換とか…恥ずかし過ぎる。いや、身体が赤ん坊なのだから仕方がないといえば仕方がないのだが…。
だとしても俺…日本人の時から数えたらもう五十歳オーバーよ?にも拘らずお漏らしとか………そして大開脚………………くっ、殺せっ!
「はい、坊っちゃん、終わりましたよぉ」
そうは言っても赤ん坊なのだから仕方がない。オムツを替えてもらって俺の下半身もスッキリである。メイさん、ありがとう。
スッキリしたところで寝る前に出来なかったステータスの確認を…しまった『隠蔽』解除しっぱなしだったな…と確認してみると『隠蔽』状態だった。どうやらステータスに『隠蔽』はデフォルトで効果を発揮してくれるらしい。有能である。
では改めて確認を…
「ではメイさん、お願いします。私は時間になったらまた来ますので…」
「はい、さあ坊っちゃん、ご飯のお時間ですよぉ」
そう言いドアが閉まる音を残し部屋を出て行くセバスさん。そして俺はメイさんに抱き抱えられ、おそらくソファーか何かに座ったのだろう…ってちょっと待て。
ご飯のお時間だと?まさかソレは『転生して恥ずかしいことあるある(自分調べ)』のトップ2、オムツ交換ともう一つ。
「はい、坊っちゃん、おっぱいですよぉ」
授乳おっぱい=確かに赤ちゃんには大切なお時間である。しかし…しかしである。俺は精神は五十歳オーバーのもはやオッサン。そんな俺が授乳おっぱいなんて………まあ、いいか。
あくまでも食事だし?今は赤ん坊だし?…どうせ二度目だし?物心付いてない日本人の時から数えたら三度目だし?
こうして俺は、何やら途中から無駄な言い訳ばかり考えて食事を甘んじて受けていた…。
おい、ステータスの確認はどうした?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます