第10話 コンヨク/森島先輩とつぼ湯を堪能するぞ!

○スパ施設・貸し切りつぼ湯ルーム(朝)

   #主人公、はるかと一緒に用意していた貸し切りつぼ湯へとやってくる。

   #SE ちょろちょろと掛け流しのお湯が湯船に流れる音。

   #つぼ湯ルームは狭い空間なので、セリフは反響せず響かない。


はるか

「素敵な雰囲気のエリアね。」

「綺麗で可愛い湯船。これ、つぼ湯っていうんでしょ?」

「さっきのカードキーは、この部屋のだったのね。」


「……え? ここ、貸切部屋なの!? 私たち専用ルームってこと!?」

「……わぁ……」


   #はるか、感嘆の声を上げたあと、少し黙り込む。

   #主人公、押し黙るはるかの様子を不安げに見ている。


はるか

「……あっ、そんな心配そうな顔しないで?」

「むしろ嬉しすぎて、声が出なくなっちゃっただけなの……。」

「こんなサプライズまで用意してくれるなんて……本当にびっくりしたわ。」


「最高よ! さっそく入りましょうよ!」

「ん~? 今さら恥ずかしがってる?」

「ここまで来て、そういうのは無しだからね♪」


   #SE 湯船に入る音。


はるか

「このサイズのお風呂だと、身体がぶつかっちゃうわね。」

「……? そんなに縮こまらなくていいってば!」

「気遣いは嬉しいけど、過剰にされると寂しいんだからね?」


「というわけで、はい! もうちょっと手足を広げる!」

「うんうん、それでよろしい」

「ふぅ~……いい気持ちね……。」


「こんなにゆったりできるのは、キミが一緒にいてくれるおかげ。」

「響と一緒にプールに来ると、こういう感じには絶対ならないもん。」

「響ったら、プールに入ると絶対に泳いじゃうんだから。」


「……あ! 今日は私とのデートよ! 響の水着姿を想像しちゃダメだからね?」

「そんなに否定するところが怪しいなぁ~?」

「ふふふ、仕方ないか。プールに来たら、どうしても水着のこと考えちゃうし。」


「でも、こういうスパ施設って、来ると不思議な気分になっちゃうのよね。」

「今の私たちみたいに、お風呂も水着を着たまま入るじゃない?」

「何かを着たままお風呂に入るのって。」


「なんだか悪いことをしてる気がしてドキドキしちゃうの。」

「普通のお風呂とは違うから、そんな風に考えることないんだけどね。」

「そういえば、いつか二人で普通のお風呂にも入りに行きたいわね。」


「和風旅館に泊まって、温泉に入ったりして……。」

「ん? なんだかさっきから口数少なくなってるわよね?」

「あれ~?」


「もしかして、お風呂の話からイケナイことでも想像しちゃったのかしら?」

「ふふふ、焦らないで。そういう特別なデート、まだまだたくさん出来そうだし。」

「でも、もし行くなら、今日みたいに冬がいいわよね。」


「この季節に入る温泉って、なんでこんなに最高なのかしら♪」

「《寒い日に熱いお湯に入るシチュエーションが良いのかも?》」

「うんうん、それ分かるかも。」


「寒さに耐えてから暖かいお風呂に入ると、気持ちよすぎて思わず声が出ちゃうもん」


   #はるか、お風呂に入ったときのセクシーな吐息を再現する。


はるか

「どんな声か気になる? 基本は『あぁ~……』って感じかな?」

「たまーに『はぁん……』だったり、『うぅん……』みたいな声が出るときも……。」

「……あら? また何か想像しちゃったわね?」


「誤魔化さなくてもいいの! 私で想像してくれるなら、別にイヤじゃないもの。」

「また一緒にお風呂に入ったときに、いーっぱい聞かせてあげる♪」

「でも、今日はお預けよ。そろそろお風呂から上がらないとふやけちゃいそうだしね。」


「次はサウナに付き合ってくれる?」

「響ちゃんと一緒にプール上がりに入ってから、やみつきになっちゃったの!」

「今日はサウナの気持ちよさを、キミにも味わわせてあげる!」



《第11話へ続く》


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