第5話 セツメイ/先輩に事情を話さないと!

○主人公の家・自室(夜)

   #アルバイトを上がった主人公、はるかを自宅に招いて事情を説明することに。

   #はるか、正座して縮こまった主人公の前に仁王立ちして話を聞いている。


はるか

「……事情はよーくわかったわ。」

「同じクラスの棚町さんに頼まれて、臨時のアルバイトをしてたってわけね。」

「でも、それならそうだってちゃんと話してほしかった。」


「なにも知らずにほったらかしにされた私の気持ち、キミにわかるかしら?」

「さっき聞かせてもらった……って、あの愚痴のことは忘れて!」

「もー……あんなこと、キミに聞かせる気なかったのに……。」


「響も、タネウマクンの中身がキミだって気づいたら。」

「すぐに教えてくれればいいのに!」

「今日は先に帰るって逃げられちゃったけど。」


「今度学校で会ったら文句言ってやらなきゃ!」


   #はるか、ここまで言うと少し気分を落ち着ける。


はるか

「……でも、どうしてあんなに大変そうなアルバイトをしてたの?」

「タネウマクンの着ぐるみを着て働くだけでも重労働でしょ?」

「その上、小学生の男の子たちにツリーをイタズラされそうになったりしてさ……。」


「キミが止めてなかったら、私があの子たちをみんな追っ払ってたわ!」

「お店や棚町さんに迷惑がかかる? それは確かに良くないけど……。」

「だからって、あそこまで大変な思いをしなくてもいいじゃない。」


「それでも、あのアルバイトをしなきゃいけない理由でもあったの?」


   #はるか、何かにハッと気づき


はるか

「も、もしかして……美也ちゃんが誘拐されて、身代金が必要だとか……?」

「だから、キミは無理をして人知れず過酷なアルバイトを……?」

「そういえば、今日はお家に美也ちゃんがいなかった……」


「やっぱり、そういうことなのね!?」

「美也ちゃんはお友達のお家に泊まりに行ってるだけ?」

「もう私に気を使わなくていいのよ!」


「ああ……もっと早く相談してくれればよかったのに……!」

「と、とにかく急いでお金を用意しなきゃいけないわね!?」

「それよりも先に警察に通報かしら!?」


「でも犯人に口止めされている可能性も!!」


   #ボケ倒し始めたはるか、主人公に慌てて止められる。


はるか

「……本当に違うの? だったらなんで……。」

「え? 《特別なクリスマスデートのため》……?」

「私と行きたいところがあって、お金を貯めてたの……?」


   #はるか、恥ずかしさと申し訳無さで顔を真っ赤にして押し黙る。


はるか

「…………。」

「私、なんて勘違いしてたのかしら……。」

「もう、恥ずかしくて合わせる顔がないわ! 押入れ、貸してもらうわね!」


   #はるか、パニックになり主人公自室の押し入れに入り込もうとする。

   #主人公、再び慌ててはるかを止める。


はるか

「止めないで!」

「悪いのは自分だから……? そんな慰めはいらないわ!」

「《だったら、私の分まで反省する》って、どういうこと……?」


「《心配をかけた分のお仕置きをしてくれ》……? 《そうしないと気が済まない》?」

「そ、そんな真剣な目で見つめられたら、私……。」


   #はるか、ゴクリとつばを飲み込む。


はるか

「……本当に、お仕置きをしちゃっていいのね……?」

「わかったわ。それでキミの気が済むのなら……。」

「お仕置き、たっぷりしちゃうんだから!」



《第6話へ続く》


★mimicle(ミミクル)にて配信中★

『ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.2 森島はるか編』(CV・伊藤静、CV・浅川悠、CV・佐藤利奈)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る