第4話 ホウヨウ【ASMR】/森島先輩にバレませんように……

○繁華街・ファミレス前(夕方)

   #響、すっとタネウマクンに顔を近づけて、ヒソヒソと耳元で囁く。


「もしかして、タネウマクンの中身って……はるかの大切な人?」


   SE シャン(音は一回)という鈴の音。


「やっぱり……。」

「じゃあ、用事ってこのアルバイトのこと?」

「内緒で働いてたのは、はるかのためなのかな?」


   SE シャンシャン(音は二回)という鈴の音。


「わかった。まぁそんなことだろうとは思ってたけど……。」

「でも、はるかに心配かけたのは良くないわ。」

「あの子、最近ずっと元気なかったんだから」


   SE シャン(音は一回)という鈴の音。


「反省はしてるみたいね。」

「だけど、すぐには許してあげない。」

「大切な友達が悲しんでて、私もちょっと怒ってたんだから。」


「ちょっとはお仕置しなきゃね」


はるか

「ねぇねぇ響、タネウマクンとなに話してるの?」

「仲間はずれにしないで、私にも聞かせてよ~」


   #響、耳元から離れてはるかの方に振り返って。


「タネウマクンにちょっとお願いしてたの。」

「はるかが寂しがってるから、抱きしめて慰めてあげてってね」


   SE シャン(音は一回)という鈴の音。より大きな音で。

   

「ふふふ……ほら、タネウマクンもおいでって言ってるよ」


はるか

「ほんとに!? タネウマクン、ありがと!」


   #はるか、タネウマクンに思い切り抱きついてくる。

   SE シャンシャン(音は二回)という鈴の音。

   #抱きついたはるかの声が、耳元で聞こえてくる。


はるか

「はぁ~……ふわふわであったかい……。」

「タネウマクン、こんなに気持ちいい毛並みしてたのね……。」

「ナデナデしてたら、すっごくいい気分になってきちゃったわ……♪」


「でも、股間のツリーがお腹に当たって、ちょっと邪魔ね?」


「ふふふ、幸せそうなはるかの顔、久しぶりに見れたかも。」

「ほらほら、タネウマクンも、もっとギューッと抱きしめてあげて。」

「それくらいじゃ、はるかの寂しさは消えないだろうから」


   SE シャン(音は一回)という鈴の音。


はるか

「ん~? タネウマクン、なんだか遠慮してる?」

「それなら私からもっとハグしちゃうんだから♪」

「そーれ、むぎゅー!」


   SE シャンシャン(音は二回)という鈴の音。

   #主人公、はるかに抱きしめられ、動揺して身体を動かす。


はるか

「動いちゃだめー!」

「寂しい気持ちがどっかいっちゃうくらい、思いっきりハグさせて!」


   #はるか、タネウマクンの抱き心地に覚えがあることに気づく。


はるか

「……あれ……?」


「どうしたの?」


はるか

「なんだか不思議なの……。」

「この抱き心地、知ってる気がするんだ……。」


   #はるか、頬をすりすりとこすり付けてきたり、後頭部に手を回したりする。


はるか

「こうしてると、ドキドキしてキュンキュンする……。」

「この抱き心地って……もしかして……!」

「タネウマクン、ちょっとだけ、中のお顔見せて!」


   #はるか、タネウマクンの着ぐるみの頭を少し持ち上げる。

   #着ぐるみの中に主人公が入っていることを確認する。


はるか

「あー! やっぱり!」


「あーあ、バレちゃった」


はるか

「響は知ってたの!?」


「気づいたのは、ついさっきだけどね」


はるか

「……ちょっと待って。」

「じゃあ、さっきまでの愚痴とか全部……キミも聞いてたわけ……?」


「そう……なるかな」


   #はるか、顔を真っ赤にして怒る。


はるか

「む~、ひ~ど~い~!」

「どういうことか、ちゃんと説明してちょうだい?」

「バイトが終わったら、キミのお家に行くからね!」

「正座させて、洗いざらい吐いてもらうわよ!」



《第5話へ続く》


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『ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.2 森島はるか編』(CV・伊藤静、CV・浅川悠、CV・佐藤利奈)

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