第3話 シゴトギ/バイト中にまさかの出会い!?

○繁華街・ファミレス前(夕方)

   #クリスマスの繁華街。たくさんの人が道を行き交っている。

   #主人公、股間に大きなクリスマスツリーがくっついたタネウマクン着ぐるみを着て、ファミレスのチラシを配っている。

   #主人公が動くたびに、股間のツリーに飾られた鈴がシャンシャンと鳴る。

   SE シャンシャン(音は二回)と鈴の鳴る音。何回か連続で鳴る。

   #同じくサンタのコスプレ衣装を着てチラシを配っていた薫、主人公のところへやってくる。


「ヘーイ、タネウマクン! チラシ配りは順調?」

「こっちのノルマは終わったから、手伝いに来たわよ」


   SE シャンシャン(音は二回)と鈴の鳴る音。


「え? 先に店に戻ってていいの? 風邪なんか引いたら大変だから?」

「へー、そんな気遣いまでできるなんて、さすがにバイトにも慣れた?」

「それもそっか。」


「もう一週間も重い着ぐるみ着て、タネウマクンになってるんだもんね。」

「しっかりバイト続けてくれて、ほんと助かってるわ。テンキュ!」


   SE シャン(音は一回)と鈴の鳴る音。


「でも、やっぱりそのクリスマスツリーの扱いは難しいみたいね。」

「よりにもよって、そんなところを飾らなくてもいいのにねぇ……」


   SE シャンシャン(音は二回)と鈴の鳴る音。


「あー、小さい子どもたち、すぐにツリーを掴みに来るんだ……。」

「確かに、ちょうど子どもが狙いやすい位置にあるしなぁ……。」

「イタズラしてきそうな子を見かけたら、あたしのほうでも注意しとくね。」


「それくらいお安いご用よ。頑張って働いてくれてるタネウマクンのためだしね」


   SE ヒューッと寒い北風が吹く音


「うぅ……さむっ……!」

「このサンタのコスチューム、ちょっと露出が多すぎよね。おかげで寒くて……。」

「今日のところはアンタの言葉に甘えて、先に店に戻ってるわ。」


「そっちも無理しないようにね!」


   #薫、ファミレスに戻っていく。

   #薫と入れ替わるようにして、今度ははるかと響が通りがかる。


はるか

「あー! 見てみて響! タネウマクンよ!」


「ほんとだ。あそこのファミレスの宣伝してるみたいね」


   SE シャンシャン(音は二回)と鈴の鳴る音。


はるか

「ワオ! タネウマクンが返事したわよ!」

「ちゃんとあいさつできるなんて、とっても良い子ね♪」


「でも、その……この子、だいぶ個性的な姿してるね……。」

「あの股間の飾りつけって、もしかして……」


はるか

「クリスマスツリーね! とっても立派なモミの木だわ!」


「なんでそんなところに飾りを……」


はるか

「カワイイからいいじゃない?」

「あ、そうだ! せっかくだからタネウマクンも、私の愚痴を聞いてくれない……?」


「ちょ、ちょっとはるか! タネウマクンを巻き込まないの!」

「さっきから散々私に愚痴ってたんだし、もういいじゃない。」

「それに、いきなりそんなこと言われても、タネウマクンだって困るでしょ?」


はるか

「響が聞いてくれたのは嬉しかったけど、タネウマクンにも慰めてもらいたいの!」

「お願いよ、タネウマクン……!」

「少しだけでいいから、私のモヤモヤしたバッドな気持ちを聞いてほしいの!」


   SE シャンシャン(音は二回)と鈴の鳴る音。


はるか

「ほら、タネウマクンはOKしてくれたわ!」


「まったくもう……。」

「あまり迷惑にならないように、手短にね?」


はるか

「わかってるわ!」

「それじゃ、聞いてタネウマクン。」

「私のカレったらヒドいのよ? 最近すっごくそっけないの!」


「今日だって一緒に帰ろうとしたら、」

「用事があるからって先にいなくなっちゃって……。」

「用事の内容を聞いても、はぐらかされちゃうし!」


「こんな状態が、もう一週間も続いてるのよ!?」


「だから、きっとなにか事情があるんだって。」

「理由もなく、はるかの嫌がるようなことする子じゃないでしょ?」


はるか

「私もそう思うけど……。」

「なんだかすっごく寂しいんだもん……。」

「まったくもう!」


   #主人公、はるかに名前を呼ばれてドキッとしてしまう。

   SE シャン(音は一回)という鈴の音。より大きな音で。


はるか

「ワオ、大きな鈴の音!」

「タネウマクンったら、励ましてくれてるのね!」


「うーん……?」

「今のはどっちかっていうと、何かに動揺したみたいな……。」

「(小声で)……あ、まさか……!」



《第4話へ続く》


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