ゲームの攻略本は最高なんだということ! ~今こそ懐かしき攻略本の復権を!(名攻略本・trpgルルブのプレイバック付)~
皿日八目
攻略本の素晴らしさ、そして攻略本を読むことによるその効果。
まず間違いなく全世界津々浦々老若男女百万衆生の皆様にご同意いただけることと思います。
絶対、ぜーったいに、攻略本と攻略サイトは昔のほうが面白かった。
これはもう、地球とリンゴの綱引き大会が百万年連続で地球側の勝利に終わっているってのと同じくらい当たり前なんだもんね。
老害懐古厨時代錯誤と言われようが構いません。わたしは強くそう思ってしまうのであります。八百万の神々の前で右手左手を挙げて宣誓したってよござんす。
かつて攻略本は、ゲーム内では見られぬ描き下ろしのイラストや、世界観を感じさせるフレーバーな文章、勝手気ままな企画や小ネタなど、独自色に満ちあふれたオーダーメイドでありました。
それが今やどうでしょう。アイテムの写真はゲーム内画像の引き写し。単なるステータスの羅列。独自の文章の一つもない。
楽しい遊びであるゲームについて語っている本のくせして、お遊びおふざけの一つだってありゃしなくて、冷蔵庫の説明書と相違ない程度のそっけなさ・冷ややかさ。まったく面白くありません!
さらに攻略サイトもその堕落凋落零落ぶりは目を覆いたくなるほど。かつてはゲームの様々な小ネタや、特筆すべきエネミーやアイテムについての面白おかしい愛憎入り交じった軽妙洒脱な紹介文。こんな面白さに満ち満ちておりました。
現在は、えっと、なんですかあれは。完全なるレディ・メイド。エンデもたまげるほどの大量生産・没個性。画一化されしデザインの、路傍の石ほどの面白みもないむにゃむにゃであります。
今の攻略本や攻略サイトというのは、ゲームをより楽しむための手引ではなく、一刻も早くゲームを終わらせやり捨てるための装置でしかありません。あのう、だったらもうゲームで遊ぶ意味はあるんでしょうか。
無駄な寄り道とか、意味のないやり込みとか、ゲームの楽しさ醍醐味っていうのはそんな部分にこそ潜んでいたりして、そうした遊びを触発してくれるようなグルのごとき存在が、かつての攻略本・攻略サイトであったように思われます。
ま、そんなこと言ったって、実はわたくし、近年の攻略本や攻略サイトの事情はあまりよく知りません。じゃあなんでこんな文章書いたのか。
だいたい現代のゲームはゲーム内での情報が充実していて、アイテムの解説文も何もかもゲーム内で閲覧できるのだから、わざわざ攻略本に書くようなことは何もないのかもしれませんしね。
それに本当のところ、ああしたものにはああしたものゆえの楽しさとか面白さがあって、わたしなどよりもっともっと年若きユーザーたちは、ああしたものからも十全なるワクワクや面白さを受け取れているのかもしれません。
実際、子供のころはゲームに関するものならどんなものだって目を白色矮星のごとくぎらぎらんらんに輝かせ、貪り尽くし舐め回すように熟読玩味していたものでした。
今読み返すとちょっと情報量が足りないのではと思ってしまう『Vジャンプブックス ドラゴンクエスト8』という攻略本も、表紙裏表紙背表紙カバーがことごとく擦り切れちぎれ行方不明になっているという有様。
つまり当時のわたしはこんなヤムチャのごとくボロボロになるまで読み返しまくったということでありました。
もしかしたらわたし自身の想像力の衰退が、攻略本や攻略サイトから受け取る楽しみを減じさせてしまっているのかもしれません。いやあ、歳はとりたくないものですねえ。水たまりひとつで興奮できたあの頃にもどして。
歳をとって得したことと言えば、堂々とCERO:Zのゲームを店頭で吟味できるようになったくらいのもので、得たものより失ったもののほうがあまりにも多く、そのアンバランスっぷりときたらテミスの肩も脱臼するほどです。
どんな攻略本だろうとどんな攻略サイトだろうと、ワクワクして楽しめるような、そんな想像力の豊かさをもったプレイヤーこそ、一番の幸せ者なのでしょうね。
今からでも遅くない。わたしもまた、かつてVジャンプの攻略本で鼻血を出すほど興奮していたあの頃を思い出すとしましょうか。
☆おまけ☆
おまけが本編という言い回しがしばしばありまして、やはりこのエッセイもその法則を証明する一つのイグザンプルとなりそうです。
ここからはしかつめらしいしゃっちょこばった肩肘張るよな話は抜きにして、わたしがかつて出会った様々な攻略本やゲームに関連した本やサイト、さらにゲーム繋がりでTRPGのルールブックについても紹介していきます。
これらの本は想像力がサハラ砂漠における水分と同じくらいにまで枯渇したわたしのごときルンペンが読んでも、目が覚めるような興奮とワクワクとを味わえる、時代が時代なら麻薬として違法指定されそうなヤバ本ばっかりでございます。
とはいえやっぱり、わたし個人の感想としてほどほどに聞いていただければ幸い望外予想外の喜びでございます。ではいってみようかGO!
『ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ公式ガイドブック(SFC)』
『ドラゴンクエストⅢそして伝説へ……公式ガイドブック(FC)』
『ドラゴンクエストⅢそして伝説へ……公式ガイドブック下巻知識編(GB)』
『ドラゴンクエストⅣ導かれし者たち 公式ガイドブック下巻知識編(FC)』
『ドラゴンクエストⅤ天空の花嫁 公式ガイドブック下巻知識編(SFC)』
『ドラゴンクエストⅤ天空の花嫁 公式ガイドブック上巻世界編(PS2)』
『ドラゴンクエストⅤ天空の花嫁 公式ガイドブック下巻知識編(PS2)』
『ドラゴンクエストⅥ幻の大地 公式ガイドブック下巻知識編(SFC)』
『ドラゴンクエストⅦエデンの戦士たち 公式ガイドブック下巻知識編(PS1)』
『ドラゴンクエストⅧ空と海と大地と呪われし姫君 公式ガイドブック上巻世界編(PS2)』
『ドラゴンクエストⅧ空と海と大地と呪われし姫君 公式ガイドブック下巻知識編(PS2)』
『ドラゴンクエストⅨ星空の守り人 公式ガイドブック上巻世界編(DS)』
『ドラゴンクエストⅨ星空の守り人 公式ガイドブック下巻知識編(DS)』
攻略本を語るならこのシリーズは外せません。どれもこれも一級のゲームに相応しき一級の攻略本であり、開くたびわたしをあの最高の世界へと連れ去ってくれます。
ほぼ全アイテム・全モンスターのイラストを網羅し、さらにゲーム的ステータスの羅列に終わることなく、もれなく解説文が付されております。こういうのでいいんだよ。
Ⅵまでの攻略本は装備品を紹介する際、キャラクターがそれを身に着けているイラストも掲載されているのがawesome。
一部の装備品を除いて、ⅨとⅩ以外のシリーズでは装備品のグラフィックへの完全なる反映というのはなされておりません。
画面の中のキャラクターたちが実際どんな格好で戦っているかというのは想像力でもって補完するしかなかったわけですが、これら攻略本はそれを最高の形で叶えてくれるのです。これが興奮せずにいられるか。
この装備品のグラフィックへの反映というもの、Ⅵの漫画版のおまけページでもやっておりましたね。それもまたワクワクさせてくれるのであります。
ドラクエ四コマの漫画もまた想像力を刺激するという魅力があったと、『DQ大辞典』にて記述があった覚えがあります。
さらにⅥまでの攻略本は装備品だけでなく、特技や呪文を使っている様子もまたイラストでもって示してくれるのだからたまらない。
かつてゲームは今のようにキャラクターのモーションを何もかも見せてくれるってわけにはいかなかったので、やはりキャラクターが実際にはどんなふうに動作し戦闘しているのかってことは攻略本の制作スタッフたちも気になっていたにちがいありません。
キャラクターたちの生き生きとしたイラストが読者の想像力に華を添え、さらなるファンタジーへの没入を助けてくれるのであります。最高。
あっ、なんだか下巻の紹介ばかりになってしまいましたが、上巻だって負けてはいません。こちらもまるで現実世界における旅行パンフレットのように(マリオオデッセイでは本当にゲーム内マップがパンフレットでした)、読んでいると空想が刺激され心は2進数のフィールドをさまよいます。
ドラクエには数々の村や町や里や城が登場しますが、上巻の世界編ではそれをイラストでもって紹介してくれるのであります。
さらにその町の武具屋防具屋で販売されているおすすめの商品も紹介されていたりもして、実際にゲームをプレイしていた当時にはどれを買おうかあれを買おうかと真剣に悩んだものでした。
またドラクエ8の攻略本ではベニー松山氏によってトロデ王のコメントや仲間たちの掛け合いも描写されていて、これまたキャラクターたちのリアリティを高め、その息遣いまでをも想像させてくれます。
ベニー松山氏はドラクエ9の上巻においても合間合間にマルチプレイのプレイ日記を書いていて、これもプレイの有様が想像できるようで楽しませてくれるのです。
『鬼武者解体新書』における短編といい『隣り合わせの灰と青春』といい、ゲームを文章に落とし込む腕前に惚れぼれしてしまいます。
Ⅵ以前の攻略本ばかりを褒めているように見えてしまったかもしれませんが、Ⅶ、Ⅷ、Ⅸの攻略本だって負けていないのは言わずもがな。
特にⅧは本当にボッロボロになるまで読み込み、この集中力を過去問題集や参考書にも発揮できたらと思ったり思わなかったりすることしばしばであります。
イラストの大きさとしてはⅧのものが最も大きいように思われます。まさしくドラクエⅧの博物誌。プリニウスも嫉妬する充実ぶりで、何度読んでも胸が沸き立ちます。
ゲーム内でも登場する武器屋と防具屋の掛け合いによって、装備品における耐性の重要さを教えてくれたり、有用な防具の組み合わせを指南してくれたりするコーナーがあり、世界観の拡充にも一役買うことはばからないのでありました。
あっ、上記のリストを見るとリメイク前とリメイク後とでダブっている攻略本もありますが、イラストも構成もぜんぜん違うので、両方買う価値はおおありくいでございます。
*
『ドラゴンクエストⅦのあるきかた』
『ドラゴンクエストⅣのあるきかた』
『ドラゴンクエストⅤのあるきかた』
『ドラゴンクエストⅧのあるきかた』
最高オブ最高。この一言に尽きる。
こちらは上記攻略本とちがって、実際にゲームをプレイした方が読んでこそのものかもしれませんが、そのぶん破壊力・空想の触発力は牛もたまげるほどバツグンであります。
特にPS2版のⅤを扱ったものとⅧを扱ったもの。この二冊はわたしにとり永久悠久無窮恒久不朽弩級のバイブルであり、死んだらカンオケに入れて一緒に焼いてくれ、いや焼くのはもったいないから入れたあと取り出して骨壷に入れてくれと家族親戚中に触れまわっているほどです。
ああ、この素晴らしさをどう伝えればよいのか。とにかく、本当に素晴らしい。何が素晴らしいかってゲームを単なるゲームと見なさず、それこそ現実のごとき一つの生きた世界として扱っているというその視点でしょうか。
ゲーム内に登場するあらゆる主要キャラクターやNPCや街の単なるオブジェまで徹底的に分析し、その世界の人間関係や文化を追求するのです。文面だけ見たら実際の学者のお仕事かと勘違いしそうでありましょ。
しかしもちろん堅苦しさや小難しさなんてのは皆無であり、読者はただひたすら自分が旅したあの世界が再構築されていく様、リアリティをもって再現されていく様にワクワクして感涙しながら読めばよいのであります。
世界観の探求ばかりでなくゲーム的な企画ももちろん充実していて、最大ダメージを狙ったり、落ちているありとあらゆるアイテムに手を付けない清く正しき姿勢でエンディングを目指したり、一回の戦闘で100万経験値の取得を目指したり、全フィールドとダンジョンを巡ってバトりまくり敵とのエンカウント率を調べたりと、よくもまあと思うようなやり込みプレイがざっくざく。
あるきかたシリーズは以上で終わり、後発としては『ドラゴンクエストⅨみちくさ冒険ガイド』『ドラゴンクエストⅥみちくさ冒険ガイド』『ドラゴンクエストⅠⅡⅢ超みちくさ冒険ガイド』『ドラゴンクエストⅪみちくさ冒険ガイド』等々がありますが、やっぱり面白さでは上記のシリーズが一番かなと思っちまいます。
全オブジェクトの観察など、やり込み精神を受け継いでいると思われる企画は多々あるのですけれどもね。
少しでも具体的に『あるきかた』の面白さをお伝えするため、わたしが唯一無二の聖書と崇めし『ドラゴンクエストⅤのあるきかた』及び『ドラゴンクエストⅧのあるきかた』より、目次をご紹介致しましょう。
『ドラゴンクエストⅤのあるきかた』
戦闘の章
帰ってきたメタルバスターズ
一発入魂! 最大ダメージ!!
この手につかめ100万経験値!
起死回生のパルプンテ!
参上! 一撃必殺パーティ
あなたの知らない呪いの世界
モンスターの落とし物
おまかせパーティ大研究
仲間&育成の章
モンスターゲット大作戦
仲間モンスター能力成長全チェック
仲間モンスターのつぶやき
仲間モンスター姓名診断
結成! モンスターパーティ
未知なる領域 Lv99能力測定
会話による仲間のプロファイリング
なりきりパパス講座
コロプチパーティ育成道場
モンスターの章
モンスター生息分布白書
お楽しみモンスターボックス
モンスターたちの交友関係
アイテムの章
すべてのアイテムをこの手に
どうぐ使いの達人
おさがりのススメ
おいしく食べるたね&きのみ
しあわせ測量隊
追跡!! ちいさなメダル
ふくびき万歳!
寄り道の章
カジノライフ千夜一夜
スロット100万枚長者伝説
ポーカー&ダブルアップ必勝テクニック
熱闘! 激闘! 格闘場で熱くなれ!!
スライムレース・驚きの真実
いただきスゴロク場
宝物庫のすべて
名産品博物館繁盛記
名産品鑑賞マニアックス
世界観の章
世界を数えろ! くらし調査団
世界人口統計
読み物ハンティング
ウワサ探偵ファイル
ガーデニングに命をかけて
世界のフシギ発見記
世界の名勝案内
花嫁候補の身の上調査
夫婦者に学ぶ愛の姿のあれこれ
『ドラゴンクエストⅧのあるきかた』
バトルテクニック縦横無尽
メタルを狩ってどこまでも
ハイテンションでいこう!!
完全解剖! スキル大百科
呪文VS特技それぞれの実力
知って得するマル秘兵法書
大っきなダメージ与え隊!
こだわり派の冒険マニア道
見参!! 格闘四天王風雲黙示録
腕利き司令のさくせん大作戦!!
経験値とゴールド限界への道
LV99の衝撃能力ウォッチング!!
モンスターチーム編成アラカルト
愛しのモンスター芸人の世界
アクション写真を瞬撮せよ
なんと愛しいこの世界よ
全世界徒歩測量行脚の旅
街・迷宮なんでも測量部隊
ベールを脱ぐ、神秘の教会
陸海空・乗物デラックス
世界の船を解剖せよ!
わくわく動物パラダイス!
変わりゆく魔物の生態大全
華麗なる名画の世界へようこそ
生活から読み解く文化の形
世界のモノを数えよう
本棚の中身、全部見せます
飲みもの食べもの調査隊が行く
歩いて見つけた名産品博物館
あなたの知らない宿屋の謎ガイド
コインウハウハ大作戦
十人十色の人生劇場
全「人間」大図巻
ああ、世界の人間模様
みんなの寝言コレクション
世界を股にかける3人の物語
ファイトだ! チャゴス王子
「なかま」が明かすアイツの性格
旅の評論家・トロデ王に聞け
ゼシカお嬢さまのファッション講座
アイテム錬金万能講座
錬金時間まるわかりガイド
錬金で稼ぐ! 財テク実践講座
錬金全アイテムの素材を暴け!!
清く正しく慎ましく進む旅
そして3ページ目にはこの本の執筆姿勢を象徴する一文があります。
「この本はドラゴンクエストⅧというとんでもない深みに敢然と挑み、水の一滴さえも分析しようと意気込んだ、命知らずたちが作り上げた、ふつうには載っていないコトがいっぱい書いてある、かなり風変わりな本です」
あまねく攻略本はかくのごとき態度で書かれるべきであるとまで思ってしまいます。
ゲームをプレイしたことがない方でも面白かろうと思いますし、ゲームを実際にプレイし良き思い出として懐かしく思い出すことしばしばという方は……読まない理由がないと断じましょう。
わたしにとり理想の攻略本とはこのシリーズのことです。すべてのゲームについてこういう本が存在したら、どんなに面白いことだろうと夢見てやみません。いつか同人誌を作ってやろうと考えることも時たまなほどであります。
スタッフ全員の愛熱意想像力がひしひしびしびし伝わってくる本ってのは、優れた攻略本に共通の特徴であるかもしれませんね。
*
『DRAGONQUEST MONSTERS』
『ドラゴンクエスト25thアニバーサリーモンスター大図鑑』
『ドラゴンクエストライバルズ公式ガイド+ビジュアルコレクション』
こちらは攻略情報というよりイラストメインな本たちとなっております。出色なのは『DRAGONQUEST MONSTERS』。
同名のゲームが存在するおかげでGoogleやAmazonが困惑するほど検索が厄介でありますが、内容はそんな欠点を吹き飛ばすほど素晴らしいものであります。
ドラゴンクエストⅥまでに登場するモンスターを現実の生物学的に分類し、その生態を解説するというのが趣旨であると言えば、もうドラクエ好きの方々はよだれをまき散らして歓喜するにちがいありません。
現実の生物学ではどうなっているかは勉強不足でわたしにはわかりませんが、この本では「界ー類ー目ー属ー種」とモンスターを分類しています。実はこのうち「属」はⅥまでの攻略本でもモンスターと共に紹介されていたのですね。
例としても記載されているスライムナイトなら「魔界生物界ー魔族類ー魔騎兵目ースライムナイト属ースライムナイト種」という具合です。
ちなみにわたしを分類するなら「在来生物界ーヒューマノイド類ー人間目」までは他の人々と共通で、そこから先は「サソリアーマー属」「殺人鬼属」「シャーマン属」「ネーレウス属」「蛮人族」「魔女族」「魔物使い族」「マージ族」「魔道士族」「魔法使い族」からお好みでどうぞ。
わたしはサソリアーマーになりましょう。……魔女と魔法使いとマージと魔道士は同じ存在のような気もしますが……
現実の動物図鑑を見たって面白くて興奮できるのだから、ドラクエでそれをやっちまったというのならもう心臓を破裂させてワクワクするしかないってものです。
モンスターの進化の過程や生息地、さらに食や衣等といった利用法についても触れており、ますますドラクエの世界観を広げてくれる珠玉の一冊であります。
『モンスター大図鑑』は、上記の本とはうってかわって単なる解説にとどまっておりますが、その圧倒的な情報量でわたしを魅了してくれます。もちろんほとんどのモンスターのイラストを完備具備。
ゲーム内の画像をそのまま引用しているモンスターも多数おりますけれども、むしろ味があってよござんす。ドットを心ゆくまで堪能できますものね。
『ドラゴンクエストライバルズ公式ガイド+ビジュアルコレクション』は、デジタルカードゲームである『ドラゴンクエストライバルズ』の初期のカードを掲載してくれております。
ゲームそのものが鬼籍に入っちまった今となっちゃあ続編は絶望的かもしれませんが、魅力たっぷりのゲキ美しく弩クールなイラストを紙媒体で見られるのはたまらぬ愉悦でありますゆえ、どうかその後のエキスパンションのカードも収録した完全版をお願いしたいものです。
しかもしかもイラストだけでなくきちんと解説文も付されているのがmind-blowing。ゲーム内のフレーバーテキストの引用であるかもしれませんが、それすらやらない攻略本だってあるのですから、二度三度と脱帽したくなります。
『モンスター大図鑑』が出版された後に新しく登場したモンスターもいくらかカード化され、この本に掲載されておりますから、補完として読めるのも楽しいですね。
モンスターやキャラクターが躍動している絵を見られるのは「バトルロード」を思い出させてくれます(ついでに今は亡きというところも共通)。
あっ、これに限った話ではありませんが、わたしは『ライバルズ』そのものは未プレイでございます。
しかし優れたゲーム関連本というのは、未プレイ既プレイを問わず読者を魅了するものであるとわたしは信じております。
「エアプ風情が……潰すぞ」とご乱心の方もおられるかもしれませんが、どうかご堪忍くださいまし。
こいつの解説では魅力の万分の一も伝わってこない! という方も、ぜひ攻略本の魅力についてエッセイを一緒に書きましょうかきましょう。
あれらの本の素晴らしさは全宇宙にあまねく知られるべきでありますゆえ。
攻略本への情熱が社会的に高まれば、かつての熱意あふるる至高の読み物としての攻略本が復権し、再び出版されるようにならないとも限りませんしね。
それが実現したらわたしはリオデジャネイロのキリスト像から飛び降りたって構いませんよ。……あのてっぺんまで誰かが連れてってくれるなら。
というか、昨今いろんな攻略本がやたら高騰しているのを見るにつけ、既に多数のゲーマー達が古の攻略本の魅力に気がついているように思えてなりません。同志よ共に声を上げないか?
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『ゼルダの伝説 時のオカリナ任天堂公式ガイドブック』
『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面任天堂公式ガイドブック』
これらの攻略本の面白さはその文体といいますか語り口にあります。「~だぞ」「~のだ」「~しよう」など読者に向かって語りかけるような書かれ方をしておるのですね。
めっきりこうした文体の攻略本は見なくなったように思われます。わたしが勝手にそう思っているだけかもしれませんが。
ああいった文体には親しみとか熱っぽさも感じて、書き手の情熱がこちらにまで伝播してきて、ゲームの楽しさ面白さも伝わってくるのです。
あと上記の攻略本にはところどころにユーモアが散りばめられていて、それもまた何度も読みたくなる魅力を醸成しています。
マップに番号を振って、その番号順に攻略の手順を説明しているのですが、その番号ごとにつけられた小目次というか題字がユーモラスなのですね。
「命知らずの方、イラッシャイ」とか「“ゾーラの服”で苦しゅうナイ」とか「カエルと遊ぼう いろいろもらおう」とか「なンでもあるわけじゃない」とか「え? あんなところに?」とか「どうぞワタシを投げてください(?)」とか……
なんのこっちゃ、と未読の方は思われるかもしれませんけれども、読んでいるとこういった短い文章がやたらに頭に残ります。いやあ、やっぱり一級品のゲームには一級品の攻略本が生まれるんですねえ。
他にもやたら仰々しいヘビィブーツについての警告や、ハイラル各地に隠された小ネタなども紹介してあって、ゲームそのものと同じくらい楽しく面白い読み物となっております。
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『ゼルダの伝説時のオカリナ百科』
名作に名攻略本がもう一冊。
これまた面白い文体で楽しませてくれ、さらにマップの3Dモデルあり、任天堂広報による各フィールド・ダンジョンへのコメントあり、目からウロコの考察あり、プロデューサーである宮本茂氏へのインタビューありと、まさしく時のオカリナを味わい尽くす一冊となっております
読めばつくづく、優れたゲームには何冊攻略本があっても構わんのだと思わせてくれます。とうてい汲み尽くせない意味が、遊びが、楽しみが、世界観が、名作の名作たるゆえんでありますものね。フィールドに生えている木一本についてだって語ろうと思えばいくらでも語れる……のかも。
*
『ゼルダの伝説 ハイラル百科』
ゼルダの伝説30周年を記念して作られたこの本は、まさしくゼルダの歴史を味わい尽くす博物誌であります。
シリーズに登場した全アイテム・全モンスター・全ダンジョンの写真つき解説は序の口。
各シリーズのあらすじに開発資料にキャラクター同士の相関図|(イチオシはムジュラのそれ)、そして何より素晴らしいのが「地理と自然」「文化と暮らし」といった視点から各々のシリーズを見るチャプターがあること。
『あるきかた』にも共通して、あのハイラルの世界をこれ以上なくリアルなものとして想像させてくれます。いやもう、ちょっと頑張ったら本当に行けちまうんじゃないかと思ってしまうほどです。
大ボリュームの解説は超絶なる読み応えを誇り、千の夜もこの一冊があれば一夜同然となりましょう。ゼルダファン必読。ゲーム好き必読。ファンタジー好き必読。寝ぼすけ必読。
*
『カルドセプトエキスパンション公式完全ガイド』
『カルドセプトDS公式完全ガイド』
『カルドセプトサーガ公式コンプリートガイド』
カルドセプトというのはマジック・ザ・ギャザリングとモノポリーを組み合わせたようなゲームでありまして、その面白さたるや一度やれば病みつきになること請け合いであります。
これらの攻略本はゲームに登場する全カードの解説や、カード同士の有用なコンボについての解説が読みどころであります。
美麗なイラストを眺められるのも良いですし、このカードを使ってどんなブック(他ゲームで言うところのデッキ)を組もうかと想像するのも真に楽しいです。
特にサーガはフレーバーテキストまで掲載しており、イラストの美麗さと本自体の大きさも相まって、非常に楽しい一冊であります。
このゲームはwikiも面白く、カードそれぞれについて面白おかしい解説文があったり、有用なコンボを考察したり、キャラクターへの賛美悪罵(特に某ウサギ)があったりしてたまらないのですが、残念ながらお亡くなりになってしまったようでして……砂絵のような切なさをわたしは感じるのでありました。
*
『マジカルバケーションコンプリートガイド』
まったくの未プレイでございますが、その攻略本の面白さからして、さぞかしゲーム自体も名作なのであろうと空想することしきりであります。
全アイテム・全モンスターについて美しく温かみあるイラスト付きで解説されており、攻略本かくあるべしという見本のような一冊となっています。
特にフルーツや宝石の絵が美しくおいしそうでそそられます。ゲームをやっていないわたしですらこんなにワクワクして空想に羽ばたけるのですから、実際にプレイしたことがある人が読んだならどんなに楽しかろうかと思います。
*
『グランツーリスモ2公式ガイドブック』
『グランツーリスモ4公式ガイドブック』
グランツーリスモといったら思い出すのはグランツーリスモモードにおけるあの画面です。2の黄色と黒を基調としたあのクールさはゲーム史上最高のデザインではないかと今なお感じています。
4のグランツーリスモモードにおけるあの広さ大きさも、世界の広さを感じさせてくれて印象深いものでした。いやあ、あの世界に飛び込みたい。わたしの場合、ライセンスの前に自動車免許を取らなきゃいけませんが。
グランツーリスモの攻略本はとにかくクルマについての情報が満載です。リアルドライビングシミュレーターについての攻略といったら、もう現実のクルマの操作やセッティングの解説を書くしかなかったのでしょうね。
わたしはメカニックなことについてはまったく明るくないのですが、それでも読んでいると非常に楽しいです。「タイヤの接地面積はハガキ一枚分」など、この本で得て今も覚えている知識もあります。
さらに登場する(ほぼ?)全車のゲーム内グラフィックと解説も付されております。解説はゲーム内でも読めた気がしますが、それと違いがあるかどうかはわかりません。しかし面白いのでどちらでもよいのです。
ゲーム内グラフィックというところがミソでありまして、当然実写実車そのものとは呼べないわけですが、味があってとてもよいのです。
特に2のクルマのグラフィックは、最新作のそれとは比すべくもないのですが、これはこれで不思議な魅力を今もなお備えているように見えてたまりません。
グランツーリスモという完成された一つの世界観をこのゲームが作り出したことの証左でありましょうか。
*
『真・女神転生のすべて 悪魔復活篇』
『真・女神転生Ⅱ 悪魔大事典』
『真・女神転生デビルサマナーワールドガイダンス』
『デビルサマナーソウルハッカーズのすべて』
これら四冊とも金子一馬氏による超クールな悪魔のイラストがふんだんに掲載されており、読めば魔界へと誘われること必定であります。
ゲーム版『地獄の辞典』『幻獣辞典』とも言うべき本であり、悪魔一体一体に付された解説文が尽きせぬ興味を掻き立ててくれます。
中でも出色は『デビルサマナーワールドガイダンス』です。ワールドガイダンスの名の通り、この本はゲームに登場する悪魔や武具防具、登場人物や舞台についての詳細な解説が趣旨となっております。
例によって例のごとく、わたしは未プレイでありますが(というか真・女神転生関連でプレイしたのはペルソナ4とデビサバ12のみ)、それでも世界観に引き込まれ、抜群の面白さを味わわせてくれます。
ゲーム的なステータスは清々しいほど一切登場せず、キャラクターの紹介がなければ本当の神話や悪魔学の解説本としても通用しそうなほどであります。
巻末には豊富な参考文献リスト(514冊!)が掲載されているのもその印象を深めます。
しかし退屈さとは無縁の本でありまして、どっさりのイラストと想像を掻き立てる説明文を見て、読者はただただ興奮せざるを得ないのです。
あっ、ちなみにこれらの攻略本のスタッフには『あるきかた』シリーズのスタッフもやっている人がおります。
もちろんスタッフ全員の熱意があってこそ優れた攻略本になったことは疑いようもありませんが、同じスタッフによる同じ精神が受け継がれているかもしれないと嬉しくなりますね。
*
『聖剣伝説2 基礎知識編』
『ロマンシング・サガ2 基礎知識編』
『ファイナルファンタジーⅤ 完全攻略編』
やっぱりゲームそのものをプレイしたことはございませんが、それぞれゲームに登場する数々のアイテムやモンスター(ff5完全攻略編はアイテムのみ)をイラスト付きで紹介してくれ、見ているだけで十分パワーが貰えます。
モンスターはイラストではなくゲーム上でのドットをそのまま掲載しておりますが、やはりドットは最高というわけで十分パワーが貰えます。
小説『ドラゴンラージャ』の巻末に付されしD&Dじみたモンスターやアイテム、魔法の紹介に頭を沸騰させていた身としては、こういった攻略本は何冊あったっていいと心の底から思います。
*
『スーパーマリオ64ワールドツアーガイド』
これ以上に素晴らしい攻略本を、わたしは今なお知りません。
スーパーマリオ64自体がずば抜けた名作でありますが、やはりそれに華を添えるものとでも言うべき攻略本もまた、ずば抜けたものが出てしまいました。
コンセプトとして本文にも記されている通り、この攻略本はマリオ64を単なるゲームとしては扱わず、私達が住まうこの現実世界のごときもう一つのリアルとして扱っています。これは『あるきかた』などの名書とも共通する視点ですね。
そしてその視点を選択した結果、本書はマリオ64に登場する数々のステージをまるで実在のリゾート地のように扱い、そこでの冒険は「ツアー」と称して、その旅を存分に楽しむための最高の手引となっています。
例として、マリオ64の各ステージには必ず1upキノコが隠されておりますが、本書では「たべる」という項目を設けて、その味を想像して描写することまでやってのけているのです。
たとえば見るからに熱そうな「ファイアバブルランド」ステージのキノコには「焼けキノコ」とか「火山キノコ」と名付け、それぞれ「熱ですでによく焼けていてその香ばしさを味わうために甲羅ツーリング(筆者注:甲羅に乗って溶岩の上を滑ること)に精を出すリピーターも多い」、「少々硫黄臭く、通好みの逸品」と説明しているのです。なんですかこれ最高ですか。
最終ステージである「てんくうのたたかい」に唯一あるキノコの味は「悪魔の巣に生えた天使の涙の味わい」だという……言葉も出ません。ナンバーワンでございます。
雪のコースならば雪遊びを、水のコースなら水泳を……といった具合に、各コースの特色を押さえた遊び方を豊富に紹介しており、それを珍妙なニックネームの「ベテランツーリスト」達のアドバイスが盛り上げます(ツーリストというのはこのゲームにおけるプレイヤー=マリオのことで、三回目のクッパを倒しエンディングを見たプレイヤーをベテランツーリストと呼ぶ)。
合間合間にはファミ通のクロスレビューアーでもあったスタパ齋藤氏による「やってみましょう」と題するコーナーがあります。
これはスタパ齋藤氏がゲーム中のマリオの身体能力を体を張って現実で再現しようとする無謀な試みを綴ったドキュメンタリーであり、木に登ったり壁に頭突きを繰り出したりウォータースライダーを滑り降りたりする彼の姿は笑いと涙(?)を誘うこと請け合いでございます。
最高のゲームに相応しき最高の攻略本。ゲームをプレイしているか否かにかかわらず、ぜひ多くの人に手にとっていただき、この面白さ素晴らしさワクワクを味わってほしいと、心からそう願います。
ちなみにこの攻略本もまた、『時のオカリナ百科』のスタッフと共通する方が制作スタッフの中におられます。憧れちゃうわ!
*
『MTG公式ハンドブック』
マジック・ザ・ギャザリングのカード画像と共に、構築戦とリミテッドそれぞれでの評価や、プレイングのアドバイスをするという趣旨の本です。セットごとに出ているのでめちゃくちゃな数が存在します。
現在は真木孝一郎氏が著しており、ユーモアを交えた解説は何度も読みたくなる魅力があります。マジック自体は未経験なわたしであっても十分に面白いシリーズなのです。
所持している中では「未来予知」のハンドブックが特に好きかもしれません。ありうべき様々な未来を表現したカード達の世界観は、他の次元では見られない独特のものであります。「オーラ交換」とかいつ再録されるのでしょうね。
マジック・ザ・ギャザリングのカードはただ一枚で世界観をきっちり表現しており、コモンアンコモンレア神話レア関係なく高クオリティであります。
またフレーバーテキストも最高です。わたしが好きなのはM10の「思案/Ponder」やM13の「全知/Omniscience」、さらにM12の「非実在の王/Lord of the Unreal」。座右の銘にしたいくらいの珠玉がぞろぞろです。
しっかし昔から今の公式ハンドブックを続けて読むと、だんだんカードの絵柄がリアルに寄せられていることがよくわかります。
もちろんそれ一辺倒ではなく、近年のセットでも幻想的なものも時折存在するのですが、やっぱりちょっと昔のファンタジー感全開のイラストがいいなあ、なんて思ったり思わなかったり。
エアプが何を言っておるのかという話ですけれども。
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『ガープス妖魔夜行』
『ガープス・ルナル・モンスター』
汎用TRPGルールである『ガープス』から派生した2つの作品であります。ガープスどころかTRPGそのものさえ未経験のわたしが解説するのもあれですけれども、このガープスというのは最初に与えられたポイントを割り振ってキャラクターを制作するルールとなっています。
たとえば美男美女といった(ゲーム上、と信じたい……)有利な特性を持たせるには多量のポイントが必要になり、逆に何らかの悪癖とかを持たせるとそのぶんポイントが貰えたりします。やったことないのですけれど、このシステムは楽しそうですね。
で、そこから派生した『妖魔夜行』では、元々のガープスで想定されているものより遥かに多くのポイントを扱うことができ、それでもって超常的能力を持つ妖怪を作成しようというのです。キミだけの最強クリーチャーを作ろう!
「透明化」「飲食不要」「透視」「超反射神経」「水上歩行」といった妖力、「火炎」「氷珠」「破壊光線」「幻像」「虫感知」「死体覚醒」といった妖術がたっくさん説明と共に羅列されており、読んでいるだけでもうワクワクです。
上記のような文字列、なろうではすっかりおなじみの「スキル」とか「技能」そのものでありますね。
そもそもラノベの原点が(多分)TRPGのリプレイだったりしますし、現代のなろうにおいてもこの技能とかスキルといったものは脈々と受け継がれているということでしょう。
冒頭には現代の闇に跋扈する妖怪を描いた魅力たっぷりの短編もあり、ゲーム好きラノベ好き妖怪好きなら間違いなく楽しめる一冊でありましょう。
『ガープス・ルナル』というのはガープスのルールを使ってファンタジーな世界を冒険する作品で、『ガープス・ルナル・モンスター』はそのサプリメントのような一冊です。
ちなみにサプリメントというのはデジタルゲームで例えるなら追加DLCやパッチ、アップデートみたいなものでしょうかね。遊びの幅を拡張するための新たなルールやデータが豊富に記された書物のことです。
『ガープス・ルナル・モンスター』にはゲームで使うためのたくさんのモンスターやマジックアイテムが記載されております。
イラスト付きのものも数多く、さらに説明文はもれなくすべてのデータに付されておりますから、読み応えとワクワクしがいがたっぷりです。
「ホオジロザメ」「スカンク」「ピラニア」といった現実の世界にも存在する生物たちも、ゲームとしてデータに落とし込まれるとなんだか新鮮に見えて不思議です。ロシア・フォルマリズム言うところの異化作用というやつでしょうかね。
攻略本が好きな方はもれなくTRPGのルルブやサプリも気に入ること請け合いでございます。数々のモンスターやアイテムがイラスト付きで紹介されているというのは、あの古き良き攻略本そのままでございますゆえ。
わたしなど、ああ、かつての攻略本はTRPGに身を変えて生き残っていたのか、と思わず錯覚してしまったりもするのでした。
他にも『ガープス・ベーシック』(大本)、『ガープス・マジック』(魔法のことしか載っていない。もろグリモワールですよこれ)、『ガープス・マーシャルアーツ』(格闘技を導入)も上記のものが気に入ったならおすすめです。
とにかく技能や魔法のデータがたくさん載っていて、ゲーム好きなら悶絶して喜べます。スキルやアビリティが嫌いなゲーマーはいない。
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『ブルーローズ』
その分厚さに圧倒されるルールブックです。
ブルーローズというのはオーパーツを巡って遺跡とかでドンパチやったり宝探したりしようという趣旨の冒険活劇RPGであり、そのルールブックであるこの本にはそれを助けるためのデータがぎっしり詰まっています。
どんくらいぎっしりかといったら本の半分以上が世界各地の歴史や伝承や伝説の記述に費やされていると言えばおわかりでしょうか。読み終われる気がしません。
オーパーツ、魔術、装備、車両、クリーチャーの情報もどっさりで、イラストこそあまりないものの、その文量で叩きのめされる一冊であります。人が死ぬ分厚さですよこれ。
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『テラ・ザ・ガンスリンガー』
魔法やスチームパンクもある西部劇の世界観でのRPGです。タンブルウィードがコロコロしてそうな世界観の説明や、西部劇には欠かせない銃器の説明を速水螺旋人氏のイラストが引き立てます。いやあ、TPRGってすげえよなあ。
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『無限のファンタジア』
『無限のファンタジアフロンティアライン』
『恋と冒険の学園TPRG エリュシオン』
この三冊に共通することは、元々プレイバイウェブのゲームであったことと、何よりも「フルカラー」であること。白黒なのも味があるけれど、フルカラーの豪華絢爛さには目を見張ります。
どちらもふんだんにイラストが掲載されていて、世界観にたっぷり浸ることができます。
『無限のファンタジア』なら多様な種族や魔物がうごめくファンタジー世界、『エリュシオン』なら広大無辺な学園生活が本の隅々からも想起されるのです。
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『シャドウラン[ルールブック]』
こちらはサイバーパンクのお手本のような世界観でのRPG。ただしドラゴンもユニコーンも魔法もあります。このごった煮感がたまらない。
黒く巨大なハードカバーの中身には、荒廃した近未来の世界が余すことなく表現されており、読んでいるだけで肺が汚染されそうです。
装備、クリッター(クリーチャーのこと)、魔法、技能、世界観解説……これまたぶん殴られるようなデータ量で、炊飯ジャーまるごと平らげられそうなくらい豪勢旺盛なメインディッシュであります。
イラストももはや芸術級の美しさカッコよさのもの含めて多数あり、文字を追っていると目を滑らせてそのままシエスタに落下してしまうわたしの如きのらくら二等兵でも楽しめます。
余談ですが、わたしはこの本の中の「マトリックスへのアクセス」という部分のルールがまったく理解できませんでした……(他は理解したとも限らない)
何やらハッキングらしきことをしているのはわかるのですが、いったい何をどう処理したらいいのでしょうか。ちょっとリプレイを読んでみたい気がします。
あっ、ちなみになぜか最寄りの図書館で発見できた『ウォーハンマーRPGルールブック』も、圧倒されるようなデータ量で楽しませてくれるゆえオススメです。とにかく職業の数が多すぎる。
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『アジアンパンクRPGサタスペ』
今まで読んだルルブの中では、後述のものと並んでツートップです。抜群の面白さですね。
世界最大の犯罪都市「大阪」で「亜侠」なるヤクザのようなギャングのようなアウトローと化し、弾丸美女札束飛び交う冒険を繰り広げる……あらすじだけでもお腹いっぱいになりそうでございましょ。中身を読んだらはち切れますヨ。
他では味わえないような独特毒毒の世界観をたっぷりのイラストとデータと解説で案内してくれます。いやほんと、この本以外では見られないようなことばっかり書いてあります。
一度読めば二度と忘れず、三度四度と読み返したくなるGODな一冊。
「生きててよかった!」とは、この本を読めたわたしの叫びであります。
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『迷宮キングダム 基本ルールブック』
マイベストルールブック。さらにありとあらゆる本の中でもオールタイム・ベストに入る一冊でございます。
な、なんとフルカラー。あまりのまばゆさにわたし一瞬目がくらみました。そのフルカラーの絢爛さでもって魅力たっぷりのイラストがぎょうさん載っているのだから、この壮麗ぶりはエデンの園に匹敵する。
これは青天井に無限に無窮に広がる「百万迷宮」での冒険がテーマであるRPGでして、世界そのものが迷宮になっちまったというわけだから、迷宮の中といってもせせこましい通路ばっかりでなく、森あり水あり何でもあり。
「王国」と名前についているのは、プレイヤーたちがこの迷宮の中で国造りをするから。数多のクラスとジョブを駆使して冒険し、自王国を拡張発展するのだ。
わたしが読んだ限りでは、TPRGによく登場する「技能」についてはその説明文のみが付されていることが多いように思われました。
しかしこの本は『サタスペ』同様、多数あるクラスとジョブが修得するスキルのいちいち一つひとつにイラストと説明とさらにTCGのごときフレーバーテキストまで具備されており、その充実ぶりには感動すら覚えるほどです。
多種多様なアイテムの一つひとつにも愉快なイラスト、王国に建てられる様々な施設の一つひとつにもイラスト、もちろん迷宮に跋扈するありとあらゆるモンスターももれなくイラスト付き。初めて読んだ時、腰を抜かしそうになりました。
さらに迷宮の歴史や構造を辿る架空の書物あり、ポロリあり、人間の屑あり、クラウス・ノミありと、宝物のような一冊です。
ゲーム好き必読、ファンタジー好き必読、迷宮マニア必読、なろう読者必読、冒険者必読。ここまで読んでくれた人にはぜひ、ぜひとも、この黄金のごとき本を読んでほしいと思います。本当に凄い。マジでスゴい。
『サタスペ』と(加えて吾妻ひでお『カオスノート』も)一緒にわたしはこれを大学生協で注文して購入しました。きっちりルールブックも10%割引されるのですね。大学生諸君、生協でルルブを買え。
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「ドラゴンクエスト大辞典を作ろうぜ!! 第三版wiki」
「モンスターハンター大辞典wiki」
「GRAN TURISMO5/6/sport wiki」
「斬撃のレギンレイヴwiki」
「Enter the Gungeon 日本語版wiki」
「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲 - Clear Feathers」
「悪魔城ドラキュラHD wiki」
「oblivion xbox360 Wiki」
「ソーサリアン情報室」
珠玉のゲーム関係のサイトを一挙にご紹介。数多もの人々の手によって編まれし終わらざりし攻略本であります。
「DQ大辞典」「MH大辞典」はこれを読んでいるだけで一生が潰せてしまうのではないかと思わせるほど情報が満載であります。
文体もネタたっぷりユーモアたっぷりと面白いものが多く、さらにゲームをプレイしたり攻略本を読んだりするだけでは知り得なかったことも書かれていたりして、興味が尽きません。
「GRAN TURISMO」のwikiはまさしく上記(どれほど上記?)で紹介した攻略本のデジタル版という趣があり、クルマの紹介あり、用語集ありと充実した読み物となっております。
またゲーム的な面からは「おすすめのクルマ」というのが紹介されていたりもして、そのクルマがいかに圧倒的で有利にレースできるかを紹介する文には思わず魅了されてしまいます。こういうのにわたしは多分死ぬまで弱いのでしょう。
「斬撃のレギンレイヴwiki」は、あのいつになったら続編出るのかランキング第一位(個人の感想)ではないかと思われる「斬撃のレギンレイヴ」の攻略サイトであり、見どころはゲームに登場する様々な武器の紹介文にあります。
序盤の主力あり、頼りになる相棒あり、飛び抜けた名器あり、産廃あり、ネタ武器あり……読んでいるとまたミズガルズで巨人狩りに興じたくなってきます。初プレイ時には「こんなに面白いゲームがあっていいのか」と思ったものでした。
「Enter the Gungeon日本語wiki」は、トップダウンシューティングとローグライクを組み合わせた名作インディーゲームの攻略サイトです。
かつてプレイした中で最高のゲームだと言っても過言ではない「Enter the Gungeon」の魅力の一つには、豊富に登場する銃やアイテムがあります。
古今東西、ありとあらゆる作品や歴史が元ネタとなっているので、それを解説してくれるwikiはわたしにとり最高の読み物であります。
性能や隠された仕様などもきっちり明らかにしてくれるので、いつまで見ていても飽きません。きっちりアイテムのゲーム内グラフィックが表示されるのも最高なポイントです。
「悪魔城ドラキュラHD」もまた最高のゲームだとわたしが感じるもので、その理由にはやはり登場する装備品やアイテムや魔法の豊富さがあります。
wikiではそれらについて解説してくれていて、優れた攻略本や攻略サイトにままありがちなことですが、PS3のホコリを払ってまたプレイしたくなってきます。
「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」の攻略も同様に、あのゲームに登場する豊富な装備品の中からおすすめを教えてくれたり、効率の良いお金稼ぎの方法を指南してくれたり、小ネタにまで言及されていて、ゲームと同じくらい読むのが楽しいです。
わたしがやってたのはPS3版ですが、「oblivion xbox360 Wiki」は何度も読みました。お金稼ぎの方法やおすすめの狩場など、やっぱりこういう説明に弱いわたしは何度も読み返したものでした。
畑をまわって野菜を盗んで錬金術でポーションをこしらえて売るとか、毒リンゴを盗んで売り捌くとか、たまらない説明だとは思いませぬか。
なんでゲームのああいう要素には胸がワクワクするのでしょうか。現実の儲け話には鼻白んでしまうというのに。
Youtubeに山ほどある「最強武器10選」「最強キャラランキング」みたいな動画が人気なのも頷けます。いったいこれはどういう心理や思考の仕組みなんでしょうかね。ゲーム的なるものへの冀求。人体の不思議。
「ソーサリアン情報室」はソーサリアンというゲームについての情報をまとめたもので、古のホームページの香りがします。
というかレトロゲーム全般に、ずいぶんと凝った攻略サイトが作られていることが多いような気がするのはわたしの気のせいでしょうか。
圧巻なのはソーサリアンデータベースの中の、魔法や薬草の解説。モノホンの魔導書と見紛うほどの手の込みようで、読んでいるだけでワクワクすることしきりであります。ソーサリアンをプレイしたことがないわたしでもそう思えます。
画像から文体まで凝りに凝りまくっており、世界観をふんだんに感じさせてくれる項目なのでありました。
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「ウィザードリィエンパイア古の王女 プレイングマニュアル」
「ウィザードリィリルガミンサーガ 解説書」
「エルミナージュⅢ 暗黒の使徒と太陽の宮殿 マニュアル」
劣化だのつまらないだのという以前に、存在そのものがもはや抹消された取扱説明書にも魅力はありました。上記はすべてダンジョンRPGの説明書ですが、職業や種族の説明がフレーバーたっぷりです。
完全にシステマチックな、家電の取扱説明書のような文章に堕すことなく、ゲームの世界観の文脈でもって記されている部分が多数あり、ゲームをやる前にしてその世界へと没入できるようになっている粋な心意気であります。
……で、実際にわたしがプレイしたのかというと、未だプレイしておらず。ただ、「古の王女」の戦闘BGMは聴きました。これはRPGで最も格好いい戦闘曲ではないかと思われるので、聴いたことがないという方はぜひどうぞ。
いちいちラスボス戦かと聞きまごうほどの壮大さ勇壮さで、ゴブリン相手にも剣を握る手に力が入るというものです。
*
『現代ゲーム全史』
『日本デジタルゲーム産業史』
『ルールズ・オブ・プレイ』
『多元化するゲーム文化と社会』
『ゲームを斬る』
『ボードゲームワールド』
『勝ち続ける意志力』
『フロー体験入門』
『フロー体験 喜びの現象学』
『キリギリスの哲学』
『ゲーム的リアリズムの誕生』
『レベルE』
『ハンターハンター』
『ダンジョン飯』
『バトル・ロワイアル』
『クリムゾンの迷宮』
『ダークゾーン』
『朝のガスパール』
『ゲームの王国』
もはや攻略本でも何でもないのですが、ゲーム好きならこのへんの本は読んで損しません。
『現代ゲーム全史』はデジタルゲームの始まりから現代に至るまでを概観した本で、初めは点と線でしかなかったようなゲームがだんだん見知ったものに進化し肉付けられていく様子にはワクワクさせられっぱなしです。
『ルールズ・オブ・プレイ』は超真剣にゲームを考察したもので、なかなかわたしも理解するのは難しかったのですが(今は理解したとは言っていない)、ゲームをプレイして感じる“あの”面白さ、クオリアのようなものについての考察は目からウロコであります。
『フロー体験入門』の題名にある「フロー」とは上記の『ルールズ・オブ・プレイ』でも触れられている概念で、ゲームで感じる楽しさについて重要な示唆を与えるものです。
というか、ゲームとんで人生そのものを楽しく生きるためのヒントでもあり、一日をむなしく無為に過ごすことしばしばという方は一度読んでみるのもいいかもしれません。わたしはけっこう感動しました。
ゲームはTRPGやデジタルゲームばかりじゃありません。ボードゲームにカードゲームもあります。そこらへんの世界の深さ豊かさを知るのに『ゲームを斬る』『ボードゲームワールド』はうってつけ。
ボードゲームと言えば人生ゲーム、カードゲームと言えばトランプとTCGくらいしか知らなかったわたしですが、こんなにも面白い世界があると知って驚愕したものでした。
*
ひゃー、長すぎました。自分がワクワクしたもの感動したもの何もかも紹介しようと思ったらこんな長さになっちまいました。果たしてすべてを読み、この文章にまでたどり着いた勇者は何人いるのでしょうか。
しかしつくづく思うのは、上記のような素晴らしい本やサイトを生み出したゲームの偉大さです。
あの世界は決して単なるプログラムなどではなく、きっかけがあれば本当に入り込めてしまう、現実の世界なんだとわたしはしばしば考えます。そうさせるほど、優れたゲームが有する世界観へ没入させる力は凄まじいのです。
いつかあなたが向こうの世界へ行けたなら、そんなときにこそ攻略本が役に立つのかもしれません。いや、もしかするとまったく役に立たないかも。
なにせまったく新しい物語が始まるんだものね。自分で攻略法を見つけ出し進んでいくしかないわけです。
もしよければその経験を書きしたためて、機会があればこちらの世界へ送ってください。それもまた一級の攻略本として、生きた世界を扱う書物として、ここに書き連ねた名作たちの列に加え入れられることでしょう。
ゲームはゲームでなく、もう一つの現実なのだということ。わたしが感動を覚えた攻略本は、どれもこれもそう教えてくれたような気がします。
現実が今生きている世界すべてだけじゃないってことを教えてくれた、あの攻略本たちよ、今一度よみがえれ!
ゲームの攻略本は最高なんだということ! ~今こそ懐かしき攻略本の復権を!(名攻略本・trpgルルブのプレイバック付)~ 皿日八目 @Sarabihachimoku
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