ツンデレもどき

俺はまた、葉月とのデートを終え週が明け、いつものように放課後の部活に来ていた。

「やばい、動けない。」

まじで、筋肉痛が痛い。どっかのあほに走らされたせいで、その日から、ずっと痛い。

「先輩、どうしたんですか?そんな、つらそうな顔して、失恋でもしたんですか?」

コイツ。

俺が、諸々の事情をほかの部員に説明すると、

「なるほどね、ふーん。」

なぜか、事情を聴いた、氷上がにやにやしていた。

なにか、ろくでもないこと考えてるな。

そんなことを考えていると、なぜか氷上が近づいてきた。

「筋肉痛なんだ。」

「そうだけど。」

氷上はにやにやしながら、俺の足を指でつついてきた。

「どう?痛い?」

「バカかお前は、痛いに決まってるだろう!」

俺が、筋肉痛であまり動けないのをいいことに。

氷上がそういう態度をとるなら、俺にも考えがある。

俺は、ずっと、俺の足元でふくらはぎをつついている氷上の胸を鷲掴みにした。

「変態!なにしてんのよ!あんた、真の変態にジョブチェンジしたの!」

「なかなかの一品でした。」

俺はいつものように、天に向かって合掌しておいた。

「またしてる。」

葉月は、少し呆れながらそういった。

「なに、わけ分かんないことしてるのよ。」

氷上は俺をおもいっきりビンタした。

そのあと、さらに氷上にぼこぼこされた。

「すいませんでした。」

くそ、氷上め。今はとりあえず謝っておいてやる。

「変態のことは、置いといて、葉月ちゃんもかわいそうに、辛かったよね。」

またかよ、俺をどうにか悪者にしようとしてくるな。

俺が、前回と同じように否定しようとすると、

「はい、私先輩に辱められました。もうお嫁にいけないです。」

葉月が、顔を伏せて、手で顔を隠しながらそう言った。

「そんなこと、してないだろう!」

こいつ、まだ前のこと根に持ってるだろ。

「先輩忘れたんですか。あんなに激しくされたのに。」

「一緒に店員さんに怒られただけだろう。」

あぶない、あぶない。

氷上は俺のほうをゴミを見るようなまなざしで見てくる。

「ちがうよ、違うからね。」

「雅人くんが変態さんなのは、わかってることでしょう。とりあえず、決めないといけないのは、氷上ちゃんとの仮デートのことでしょう。」

白鳥先輩が、俺たちを正すようようにそういった。

「確かににそうですね。」

残っているのは、氷上だけだから、そうなるのだが、

「白鳥先輩、ひどいです。私に死ねっていうんですか?」

「おい、氷上そんなにではないだろう。」

俺をどんな奴だと思ってんだ。

「だって、絶対変なことをやってくるでしょ。もう、今日は帰ります。」

氷上はそういって、部室から出ようとするが、

「おい、逃げるのか。」

「なんていった?」

「逃げるのかっていったんだよ。」

氷上はすこし怒って、

「いいわ、やってあげる。」

こんな感じで、氷上とのデート(仮)が決まった。


その週の土曜日に俺と氷上はなんと遊園地に来ていた。

「氷上、なんで遊園地を選んだんだ?他にも色々あっただろうに。」

俺が部室で氷上にデートの場所を任せてくれと言ったが、氷上が自分で決めるから後でメッセージを送ると言って、言われたのがここだった。

「それは、私の中でもし初めてデートするなら、ここがいいっていうのがあったのよ。まー、一応デートだし。」

「そうなのか、っていうか氷上は結構このデートに乗り気だよな。」

顔が死んでる氷上と遊園地を回るのかと思っていたからな。少し意外だった。

氷上は少し顔を赤くし、恥ずかしながら

「別にあんたと回るのが楽しみっていうことじゃないわよ。そ、そう、この遊園地のキャラクターがかわいいからよ。」

そう言って急いで、キャラクターのぬいぐるみを取った。

「ツンデレの使い古したセリフかよ。乙。」

「バカにしてるんでしょ!」

そう言うと氷上は年末に前まで放送されていた番組で行われていたキックにも負けない蹴りを俺の尻に決めた。

いってー、確かに、この蹴りをされたら、芸人さんがあの反応なるのは、分かるな。

「やばい、尻が割れた。」

「変態大丈夫?さっきのは、さすがにやりすぎたかも。」

氷上は普段とは打って変わって、本当に俺を心配している感じで、声を掛けてきた。

「いや、冗談だろ。普通に元々尻二つに割れてるし。」

氷上の顔がどんどん赤くなっていく。

よし、ここはフォローしておこう。

「いや、しゃーないって。お前友達居なかったから、この鉄板ネタ分からんかっただよな。」

俺がそう言うと、氷上は先ほどの蹴りよりももっと鋭い蹴りを俺の尻に放ち、すぐにこの場から、走って行った。

そんな蹴りを受けた俺は、尻をさすりながら、涙をこらえ、氷上を追いかけた。

こんな蹴りずっと受けてたら、マジで尻が4分割される日も遠くないかもしれない。

そういえば、あいつこの遊園地のキャラクターがかわいいとか言ってたけどこの遊園地のキャラクターはおっさんをモチーフにしたものだったし、しかも万人受けするような某ゆるキャラの、小さめなおっさんとは違う。

入園料を払うのは、こどもたちの親御さんだという点から、イラスト風とかではなく、リアルなガチのおっさんをかいているもんだから、ブサカワとかではなく、ただ気持ち悪いとネットで炎上していた。

確かに、こんなのを子供が見たら、泣き出すと思うし、俺が見ても遊園地で遊ぶ気が失せて、現実に引き戻される。

こんなやばいキャラクターが好きだなんて、氷上は百瀬の価値観よりも変わってらっしゃる。

俺の中で、氷上の好感度が10下がった。


「おい、氷上待てよ。」

俺は痛めた尻を押さえながら、走った俺はどうにか、氷上に追いつくことが出来た。

「なによ、変態。」

こいつ、俺が尻を必死に押さえているぐらい重症なのに、何だよその態度は。

でも、ここは俺が大人になるしかないか。

「氷上、そー怒るなって。せっかく、金払ってここに来たんだから、遊ぼうぜ。」

「こんなに、怒ってるのは変態のせいでしょ。」

俺は、事実を言っただけなのに、なぜ怒られているのだろう。

「もーいいわ。変態に怒るのも、バカらしくなってしたわ。」

よく分からんが、自己解決してくれたようで、何よりだ。

「変態まずは、あれを乗るわよ。」

その氷上が言うあれとは、よく遊園地にある回るティーカップのアトラクションだ。

「ちょっと、子供っぽくないか?」

高校生にも、なってあれに乗るのは少し恥ずかしい。

「文句言うな。行くぞ。」

俺は、氷上が乗りたいと言ったティーカップの列に氷上に引っ張られながら、並んだ。

「いやー、しかし、この列に並んでるのは、子供連れの人達と、カップルの人ばっかりだな。もしかしたら、俺達もカップルに見えちゃったりして。なーんてな。」

「スゥー。」

俺がそんな冗談をいうと、氷上はあの某番組のキックを放つ準備をしていた。

「今度は何分割にしてあげようか?」

「すいませんでした!」

なんで、俺がこんなところで頭を下げなくちゃいけないんだ。

俺達の順番が来て、カップに乗り込んだ。

「本当に久しぶり。乗ったの小学生以来ね。」

「氷上、はしゃいでるけど、あんまり早くしないでくれよ。俺三半規管雑魚だから。」

「そーなんだ。」

そう言うと、氷上は少し口角を上げた。

「おい、お前わかってないだろ。」

「あっ、始まったわよ。回さないとね。フフフっ。」

「おい!」

こいつ、普段のどんなときよりも、楽しそうな顔をしてるよ。

カップはどんどんと回転する速度が上がっていく。

「まだまだ、余裕よね。」

「いや、もうむ」

「あんまり聞き取れないけど、もっと、もっとって、言ってるのね。」

こいつ、どんな耳してんだよ。

さきほどよりも、更に加速してくいく。

「氷上、明らかにこれ、他のやつよりも早いだろ。」

「そんなことないでしょ。」

こいつは、目もバグってる。

やばい、本格的に気持ち悪い。

「氷上マジでやばい、吐きそう。」

「変態のことだから、冗談なんでしょ。」

コイツ。

「だめだ、これ。すまん、氷上。」

「ちょっと!えっ!」

キラキラ。

そういえば、俺の朝ご飯は鮭だったな。

グッバイ、俺の朝ご飯。


俺達は、カップを降りたあと、従業員の人にめちゃめちゃ怒られた。

当然だろう、とんでもなくはしゃいだ上、乗っていた一人が戻すんだから。

「はー。」

「どうしたんだ、氷上。そんな暗い顔して。」

「どうしたんだじゃないでしょ!変態はあんなに、怒られたのになんでケロッとしてるのよ!」

「いや、なんかさ。出すもん出したから、スッキリしてんだよ。」

「さす変ね。」

これは、略は何話か前に出てきたから、見直してほしい。 

「変態が元気なことだし、他のやつも乗りたいから、とりあえず行くよ。変態。」

「はいはい。」

スッキリしたし、他のやつもついて行ってやるか。

俺はなんとなく後ろが気になって、振り返った。

俺達が使っていたカップには、

『使用禁止』

という、赤い文字が書かれた張り紙がされていた。

さらに、カップの方を見ていたのだが、従業員からも、視線がまだあることに気づいた。

もしかしたら、俺達は出禁になるかもしれないから、目一杯遊んでおこうと、俺は心に誓った。


俺達はそれから、色んなアトラクションを乗って、楽しんだ。

そして俺達は、そろそろいい時間なってきたということなので、最後に観覧車に乗ることにした。

「いやー、今日はいっぱい乗ったわね。」

「そーだな。お前がこんなにはしゃぐとは本当に意外だったわ。」

「何バカにしてるの。スゥー。」

氷上が蹴りの準備に入る。

「バカしてねぇーよ。ただ、本当に意外だっただけだよ。」

「なんなんのよ、まーいいわ。色々とあったけど、今日は楽しかった。また、来ようね、雅人。」

「あぁ、そうだな。」

なんかいきなり、ヒロインっぽくなりやがって。

しかも、変態じゃなくて、いきなり名前呼びだし。

「今のは、結構ドキドキしたぜ。一瞬だけ誰もが羨むカノジョだった。」

「なんなのよそれ、フフフっ。」

だが、もう少しなのだ。なにかが足りない。

「あっ、分かった。もう少し大人の色気がだな。」

「スゥー、フン!」

俺は今日の中で一番の蹴りを尻に受けた。

「痛!」

「だから、お前は変態なんだよ!」

コイツは、実は格闘技の才能があるのではないか本気で思った。


後日談として、俺は家に帰ったあと、鏡で尻を見てみると、青い痣が横に一直線にできていたため、無事尻は四等分になった。

あと、その次の学校から氷上は俺のことを変態ではなく、雅人呼びになった。

そのことを本人に言及すると、蹴りの構えになったので、詳しいことは聞けなかった。

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残念どもを誰もがうらやむカノジョにします さわい おくる @pitcher16033

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