プロジェクト始動

俺は霜月先生との事件から次の日に、四人に新顧問を紹介するため、先生と部室に来ていた。

「これが新顧問の霜月先生です。顧問をお願いしたら、快く引き受けてくれました。」

「快く?誰かさんに脅されたの間違いじゃないの鈴木くん?しかも、その人は私に体も、」

「なんか言いました?こ、百合先生。」

「なんでもないです。本当にやらせてもらえて嬉しいです。」

こいつ、油断したらろくでもないな。

「なんだか、ちょっと気になるところはあるけどとりあえず顧問が見つかって良かったわ。」

「さすが、先輩。頼りになりますね。」

「変態。」

「……。」

百瀬も頷く。

「一人ただ俺の悪口言ってないか?」

こいつらもあい変わらずだな。

「とりあえず、顧問も決定したことでお前たちのあのことについて話したい。」

「あー、あれ本気だったんですか。」

「もちろん本気だ。」

こいつら疑ってたのか。

「では、具体的な内容だが、お前たちには俺が色々なミッションを課すからそれを成功させていってくれ。」

氷上がため息をつく。

「面倒くさそうね。」

「お前が言うな。ボッチのくせに。お前のためにやるんだから、感謝しろよ。」

「するわけないでしょ。」

氷上が鼻をならす。

「ちなみにだけど、お前たちの好みはどんなやつなんだ。」

先輩が答える。

「そうね。私にずっと構ってくれて。時々ゴミを見るような目で見てくれたり、縛ってくれると、」

「あ、もういいです。先輩。」

「ひどいわ、雅人くん。でもこれはこれで。」

だんだん隠さなくなって来てるな。みんな顔引きつり気味だし。

「私は、一緒にずっと居てくれる人がいいです。」

なかなかまともな答えだな。ちょっと聞いてみるか。

「芸能人でいえば誰?」

「ウサイン・ボ〇ト」

「お前それ、お前と並走できるやつってことじゃないか?」

「バレちゃいましたか。」

葉月が笑う。こいつと一緒に走れるそうそういないだろうから、中々難しいな。

「私は、私を大事にしてくれる人。」

「そうだよな。前で漏らされるのはな。」

「そうなんだよね。ひどいよ。って、そんなことはどうでもいいでしょ。」 

そうだったそうだった。

すると、霜月先生が口を開こうとする。

「先生は黙ってください。」

先生がしゅんとする。

こいつ、生徒がいる前で百合のこと言おうとするんだよ。

百瀬が小さい声で

「……やさしい人。」

「そうだよな。そういうのが普通だよなさすが百瀬。」

百瀬が顔を真っ赤にしながらうれしそうにしている。

はー。まともなのは二人だけか、あとはだめだ。本当に先が思いやられる。

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