顧問よろしくお願いします!
俺達は、先輩の爆弾発言のあと全員で対策を練ったが、いい意見が出ず、結局各自持ち帰りとなった。他の四人は帰っていたが、俺は部室に残ってもう少し考えることにした。
「やべっ、下校時間過ぎてんじゃん。」
そろそろ帰ろうと帰宅の準備をしていると、部室の鍵を直しに行かなくてはならないことに気づいた。確か先輩が、『職員室の下駄箱側の方にかけるところがあるから』と言っていたな。
俺は職員室の近くまで来て、明かりが付いていた。当直の先生がいるのだろう。
「失礼します。部室の鍵を返しに来ました。」
「ひゃい!」
バサッ。
『ひゃい』って誰がそんなこと言ってんだと思い職員室を見回すと霜月先生がいた。
「先生こんばんわ。当直大変ですね。」
「こ、こ、こ、こんばんわ。どうして鈴木くんが職員室に?」
なんか先生の様子がおかしい。
「だから、部室の鍵を返しに。」
「あーそうね。部室の鍵ね。うん、そうよね。部活入ったもんね。」
今気づいたが先生の前に冊子が落ちていた。拾ってみようとすると、
「ちょっと、鈴木くん待って!」
「なんか先生やばいやつですか。気になりますね。」
冊子に目を落とすと、
【百合を知らないJKに体で素晴らしさを教えます。】
「なんだよこれ。なんでこんなとこにあんだよ。」
これ学校に持ってくるやつ相当肝座ってんな。
「そ、それは生徒から没収やつなの。ほんとこんなの学校に持ってきたら、だめよね。」
「ほんとですよ。こんなやつ。」
表紙からパラパラとめくっていく。結構なエロい描写もあるな。裏表紙まで行くと、
【霜月小百合】
えっ。これって。
「先生。ここに霜月小百合って書いてあるんでけど。」
先生は顔を伏せたままだ。
「先生。」
「そうよ、私のよ!高校の女教師がJK百合同人誌持ってて悪い?名前も癖で書いちゃったのよ。!」
この人何いってんだ。そういえば、まだ自分のものに名前書いてんだ、この人。
「だめでしょ。なんか押し切ろうとしてますけど、こんなんバレたら大事件ですよ!」
「やっぱりそうよね。はぁ。」
こいつほんとやばいな。ここにR18の同人誌持ってきてくるのもやばいけど、高校教師がJKとの百合のやつを。
「先生まさか、女子生徒をそんな目で。そもそも、教師になったのもそれが目的で?」
「それは違う!私はそこに書いてあるキャラがいいと思っただけで、生徒をそんな目で見ていない。教師になったのも、高校の時に先生がカッコいいなって思ったからで。」
これは怪しい。
「じゃあ、女子生徒が先生を好きって言ってきたらどうしますか?」
「そんな娘いるの?」
「例えばですよ、例えば。」
「それは勿論断るよ。たぶん、うん。断るとこを前向きに検討するよ。」
やっぱりこいつダメだわ。
「先生、これ俺以外に知ってるんですか?」
「それは、知らないよ。ずっとバレないように頑張って来たんだから。」
胸を張っているが、俺に今日バレているんだが。
「じゃあ、俺しかいないと。」
「えっ、誰にも言わないでくれるよね?」
これはチャンスだ。
「それなら、俺の言うこと聞いてくれますか?」
「それって、エロいこと?先生同性しか興味をないけど、仕方ないか。」
先生が立ち上がろうする。
「ちょっと待て、何いってんだ。百合脳。その役は白鳥先輩で間に合ってる。」
「百合脳って言わないでよ。誰かに聞かれるかもしれないでしょ。ちょっと待って白鳥さんがどうって?」
やっべ、口滑らせてしまった。
「そんなことはどうでもいいです。」
「気になるんだけど。」
ここは、押し切らないと。
「先生、俺たちの部活の顧問がいないこと知ってますか?」
「そうね。顧問の先生去年退職していたわね。」
「だから、顧問ほしいんですよね。俺達。」
「それってまさか。」
「顧問よろしくお願いします!」
「いやよ。同人誌読む時間なくなるじゃない。」
まだ、こいう渋るのか。
「あれ?こんなところにJKの百合同人読んでる先生がいる。」
「分かったから!顧問やらせて頂きます。」
落ちたな。
「じゃあ、こ、百合先生顧問よろしくお願いします。」
「その呼び方本当にやめて下さい。お願いします。」
「そう考えるように、前向きに検討します。」
「絶対言うやつじゃん!」
そうして、俺達は顧問を見つけることができた。それはそうと、この学校大丈夫か?
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