NO.5 四人の残念な美少女との再会

 ある日、俺は職員室に呼び出されていた。俺は先生に調査があるからと部活断り続けていたが、さすがにもう出来ないようだ。

「鈴木くん。さすがにもう部活に入ってくれないかな?教頭先生から、私もずっとグチグチ言われているだけど。」

そんなことを言ってくるのは、霜月小百合。俺の担任である。現代文の先生で、教え方も上手く物腰も柔らかいので、生徒から人気が高い。

「それは出来ません。俺には彼女の調査があるので。」

「聞いたよ、君結構行き詰まっいるんだろう。高校生活を彼女を作って楽しもうっていうのはわかるけど、部活をやっても楽しいんじゃないかな?」

「楽しそうではありますけど、でも時間が。」

押され気味に答えた。

「そうだ。部員が少なくて廃部になりそうな部があるんだけど入ってくれない。そこ、あんまり活動してないから、君の時間も減らないんじゃないかな。君も私に小言を言われなくて済み、私も教頭に言われないし、廃部も免れる。win-win-winだね。」

「それでも、いやなんですけど。面倒くさいし。」

まだ、抵抗していると

「君、私に借りがあるんだよ。」

「えっ、そんななんかやってもらいました?

『またなんか俺やっちゃいました?』現実でも言うことあるんだ。

「君、色々苦情が来ているんだよ。視線がいやらしいとか、不自然な動きをしてるとか、顔がカッコよくないとか。」

「二つは分けるけど、最後の一つは悪口ですよね!」

「ともかく、そんな苦情私が処理してるんだよ。教頭とか他の先生方に伝わらないように努力してるんだからね。」

「それは、ありがとうございます。」

「だからね、いいでしょ。ちょっとだけちょっとだけだから。一回入ってみて。」

「くっ、分かりました。一回入ってみます。

 入部届を出して、俺は部室の前まで来ていた。部活の名前は、文芸部。確かに活動少なそうだな。そう思いながらドアを開ける。

「失礼します。新入部員の鈴木雅人です。」

顔を上げると、そこには俺が最近色々あった四人がいた。

「あっ。」

「雅人くん?」

「変態!」

「先輩じゃないですか。」

「………。」

やっぱり百瀬は黙ったままか。

「雅人くんはここに入部するの?」

そう声をかけてくるのは、白鳥すい。

「はい。ツンデレ先輩!」

「ツンデレ先輩って言うな!いじめられるのは好きだけど、これあんまり好きじゃないわ。」

なんか言った気がするけど、聞いていないことにしよう。

「変態が入部?最悪、入るのは牢だけにしてよ。」

そう言うのは氷上麗。

「ひどい言い方だな。だからクラスでボッチなんだよ。」

「ボッチ言うな、変態。」

「さっきから、変態、変態言うなよ。外の人に聞かれたら恥ずいだろ。」

さすがに変態って学校に知れ渡るのは恥ずい。

「事実でしょう?」

「間違いない。性欲が人より強いのは自覚している。」

はっきりと答えた。高校生だから、そんなもんだよね。うん。

「先輩はいつも通りですね。安心しました。」

そんな明るい口調で俺に言ってくるのは葉月陽向。

「お前も相変わらず、うっとうしいくらい明るいな。」

「ありがとうございます!」

またお礼言っちゃたよ。

「先輩はどうしてこの部活に入ろうとしたんですか?」

「俺は彼女調査に忙しかったんだが、どうしても入れって先生がうるさくて。仕方なく活動が少なくて人数が少ないこの部に入ろうと思ったんだよ。」

「あー。そうだったんですね。てっきり、私がいるから入ったんだと。」

「それは違う。」

食い気味にはっきりと俺は答えた。

「冗談のつもりでしたけど、ちょっとひどくないですか。」

葉月は少し怒っているようだった。こいつは置いといて、

「百瀬もこの部活だったんだな」

「……。」 

百瀬が頷いた。かわいい。でもやっぱり黙ったままか。

 もう一度部室を見渡すと全員俺が調査してた四人だよな。全員残念だなんて俺ちょっと悲しすぎる。俺は、あることを思いついた。

「みんな、学校生活を充実させたいよな?」

「そうね。」

「それは、そう。」

「はい!」

百瀬も頷く。

俺が思いついたこと意を決して口にする。

「お前たちを誰もがうらやむ最高の彼女にする!」

「えっ。」

「ふざけてんの?」

「アハハハ。面白いですね、先輩。」

「……!」

誰も真に受けていないようだ。

「要するにお前たちがみんながうらやむ女子にして、学校がくそおもしろくなるようにする。」

「なんで、君が私たちにそんなことをしようとするの?」

それは当然の疑問だ。

「お前たちは俺が最終彼女候補に選んだ四人だったんだ。そんな奴らが残念って俺のプライドが許さん。」

「なによプライドのためってふざけているの?それにどうして変態にそんなことできると思ったのよ。」

「俺は大真面目だ。俺は中学時代に自分磨きに全部かけたし、ギャルゲーやラノベもたくさん見てきた。知識も豊富だし、頭いい。だから俺なら出来る!」

「そんな、自信満々に、さす変。」

ちなみに、さす変とはさすが変態の略らしい。

「ほんと先輩おもしろいですね。」

爆笑している陽向。

百瀬の方に目をやると彼女は頭を伏せ体を小刻みに震わせていた。彼女もそんなに笑うことがあるんだな。相当面白いことなんだろう。そんなとき先輩が爆弾発言した。

「雅人くんのやる気はいいんだけど、もうすぐこの部活潰れるわよ。」

「えっ、俺が入ったから大丈夫じゃないんですか。」

「いや、去年顧問の先生が退職して、今顧問がいない状態なのよ。だからあと一週間で顧問を見つけないと廃部なの。」

「それを先に言えよーー!」

こいつらどこまで行っても残念だった。

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