No.3葉月陽向
俺は背負い投げた後、体に痛みを感じながらもしっかりと午後の授業を受けきり、放課後を迎えていた。しかし、体力テストの日に休んでしまっていたためその補修を放課後にグラウンドで受けさせれることになっていた。
やっと最後のテストが終わったときに、隣から声が聞こえた。
「お前は何度行ったら、ルールを覚えるんだ。これで7回目だぞ。」
「あれ間違ってました?すいません。先生またルール教えてください。」
そう言って、くしゃくしゃにした笑顔で言う陽向。
「もういい。お前には陸上はできないようだ。運動神経が抜群だから、勿体ないが試合にならなくては意味がない。他を当たってくれ。」
「了解です。今までありがとうございました!」
明るい口調で、しっかりとお礼を言い行こうとする彼女。
そんな時に俺と目があった。
「あっ、そこにいるのは雅人先輩じゃないですか?こんにちわです。」
「おっす。俺の名前を知っているってことはあのことも知っていることだよな?」
「あの部活(以下略)」
やっぱり、学校中に知れ渡っていたか。
「先輩はもしかして体力テストのルール覚えられなくて再テストですか?分かりますルール覚えられないですよね。」
「お前と一緒にするな。俺は熱があったから受けれなかっただけだ。お前はまた駄目だったのか。お前にあった部活があるといいけどな。」
「心配ありがとうございます!先輩優しいですね。」
ニッコリと笑う陽向。
俺は皮肉のつもりで言ったんだが、お礼言っちゃったよ。この娘。
「先輩はまだ調査終わってないんですか?」
「ちょっと彼女候補と色々あって絞り込めていない。」
本当に色々あった。彼女候補の二人ほイメージとかなり違っていて、俺の調査は何だったよと。
「先輩には、きっといい彼女ができますよ。」
「どっから出た根拠だ?」
「勘です!」
「おおう、そうか。」
本当に葉月は大丈夫なのだろうか。いつか、犯罪にも巻き込まれそうで怖い。
「あっもうこんな時間だ。先輩ごめんなさい。私予定があるので。」
「そうか、ちなみに答えてもらわなくていいけどその予定とは?」
「家庭教師の先生に九九を教えてもらいます!」
「えっ、九九?」
高校生にもなって九九か、この娘企画外だわ。
「何かおかしいですか?」
「いや何でもない。がんばれよ九九。」
「頑張ります。ではさようなら先輩。」
スキップで洋々と帰る葉月を見ながら俺は本気で彼女の将来が心配になった。
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