真紅の漁火花(12/19)







 この気持ちをただ一つに染め上げるのは無理だった。

 だからこの関係に名前を付ける事も到底無理なのだ。

 いや。

 臆病な、だけなのだろうか。

 この関係を壊したくないだけなのだろうか。



 わからない。

 


 唯一つ言えるのは。

 追いかけ続けたい存在である事。

 成長を見続けていてほしい存在である事。



 生涯を懸けて。











「申し訳ございません。姫様」


 真紅に色づく漁火花を見つけた隼士は正座になり、地に手をつけて深々と頭を下げた。


「わたくしは姫様の世界を壊しました」














(2022.12.19)


  

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