端切れの山(12/9)




「普段着、着物、帯、ネクタイ、ドレス、タキシード、エプロン、半纏、マント、帽子、カーテン、テーブルクロス、バッグなど不要になった布の端切れの山にお姫様と守護者様は喜び勇んで飛び込んでいる事でしょう。と」


 蛇はロッキングチェアを小さく揺らしながら、亜麻の茎から取れた繊維を編み込んで、浮くクッションのカバーを作っていた。

 いつもは、いつの間にか姫の傍に小山程に積み重ね置かれている端切れで作っていたのだが、今年はどうしてか、この亜麻の繊維を編み込んで作りたくなったのだ。


「何枚作ろうかな。クリスマスパーティー出席者全員分、は、無理だし。姫様と隼士と僕のお揃いにしようかな」


 ねえ、姫様。

 目を大きくして、やおら目を細めた蛇は、やっぱりみんな同じなのがいいかなと首を傾げては一旦手を止めたのであった。











(2022.12.9)



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