金柑(12/3)
「うわー。見て見て。隼士。可愛い。鈴なりに実っているし」
「………」
「あーら。なーに?私が先に見つけたのが悔しかったのかしら?」
「………」
「そ・れ・と・も。まーだ苦手なのかしら?」
「………」
「
「金柑が苦手でも人生に支障はありません」
「へへー」
「そんなにたくさん収穫してもわたくしは食べませんですよ」
「いいですよー」
「一個しか」
「………へ?」
「今姫様が持っている金柑が一番小さいですね。それがいいです。お寄こしください」
「へ。え!」
姫は自分が持っている一番小さい金柑と差し出された隼士の手を何度も何度も交互に見続けたと思ったら、急に大きく跳ね出した。
隼士は跳ねるのが好きな姫様だと思いながら、姫の手の中にある一番小さな金柑を素早く盗み取った。
食べられるようになったと言っても、シロップ漬けされておらず、しかもとても小さいものだけなのだ。
これは渡さないと、隼士が口の中に放り込んでしまえば、笑っている姫にまだ食べるのが早いと怒られてしまった。
(2022.12.3)
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