第20話タケタクの変化
「作戦的には私とタケで敵の前進を止めてからの攻撃よ。今まで通りにミカが指示して、カズミとワカナはサポート的な動きでお願いね。タケ、そっちのパーティーはどんな感じの指示で動いてたの?」
「俺が受けた後、モモがかく乱に飛び込む。後はタクが俺の後ろに抜けないようにフォローしつつ、カズマが弓矢と魔法でモモのフォローに回る。そんな感じだ。」
あたかも今までそうだった様な素振りだが、14階に下りてから始めた戦い方だ。それまでは俺が突っ込んでかく乱しつつカズマがアーチャーを優先的に撃ち。俺はマジックを優先的に落としていく。
当然なのだが、ソード君達の行動は俺が敵陣に入った事で俺の方に向くから二人でも安全に戦ってこられた訳だ。
「俺は前線を抜けられないようにフォローするから、前衛は問題が無いだろ。後は何度か戦って役割を作って行けば良いだろ。」タクが話を先に進める。
「一応こっちのヒーラーはカズミと私よ。そっちは誰が担当?」
「俺だ。」タクが・・・・一度も言わなかったのに。まだ一度もまともな怪我してないからだろうと思うことにした。
「戦い方の確認の為に魔物寄せのアイテムを使うぞ。模擬戦だと思って各自役割を確認してくれ」タケが一階で使ったアイテムを出す。
壷のようなアイテムで細くなった口の部分から煙が漂ってる。一階の時には見る事は無かったが、今回は先に断って出したから見れた。
出してしばらくするとソード君を始め次々と集まってくる。これって挟み撃ちに合うんじゃないの?
不思議な物で後ろからは現れない様だ。ハルナ姉さんが一番手のソード君と当たる前にタケは壷を仕舞ってハルナの横に並んだ。
「マジで有り得ないんだけど。普通使う?魔物寄せなんて、1・2階じゃないんだよ。」ミカさんはご立腹の様だ。何で口を挟まなかったのだろう?
前衛とソード君が当たる直前に女子達はなんだか小声で呟き始めた。なんだろ?世に言う、お祈り?
ソード君とタケの戦いが始まる。ソード君がタケに切りかかるのをタケが盾で受け止めてから斧で一薙ぎ。
霧になった後ろから攻撃を仕掛けるソード君の一撃をまたタケが盾で受け止める。一撃目と違ってタケは体勢が崩れているから反撃できない。
そのタイミングでタクが槍でソード君を突き刺して霧に変える。タケが盾で反撃からタクを守る。まさに二人一組。カズマが後続のマジック達を撃ち始めた。タケが戦う前に撃つと怒られるから待ってたんだろう。
二人の時は見えた時点で撃ち始める。先手必勝だ。
女の子達が魔法を撃ち始める。カズミが氷の矢の様な物を4・5発同時に放つ。ハルナ姉さんと戦っていたソード君達に襲い掛かった。
一撃では仕留められないらしく、氷の矢が刺さりはしたがソード君達は一回止まっただけで動き始めた。
すぐにワカナが手をソード君達に向ける。透明な玉の様な物が飛んでいき、ソード君に当たると周りの奴らも一緒に2Mくらいだが後ろに吹っ飛ばされた。
そのタイミングに合わせてミカさんが手をかざすと、一瞬で人の背丈よりも高い火が立ち昇った。カッコいい。すげえ~~~
だけど、見た目の割りに威力はイマイチなようだ。何体かはまとめて霧になったけど、直撃した奴でもプスプス言いわせながらハルナ姉さんに向かっていく。
どちらかと言うとハルナ姉さんの方がピンチな様だから、前線をかき乱すのに飛び込む。マジック達が撃って来る火の玉を避けながらサクサク始末していく。
時々ソード君に目くらましの魔法を出しながら囲まれないように動く。
邪魔になるようにマジックを蹴ってぶつけたりしながら動く。今回は数が多い。不用意に突っ込んで行くと囲まれかねない。
ソード君を切った瞬間。後ろからバットが襲い掛かる。避けれないので手甲をかじらせる。かじりついたままのバットでマジックの横っ面を叩く。
バットは霧になるがマジックはソード君に向かって倒れる。時々アーチャーの矢が飛んでくる避けれない時は手甲で受けたり、剣で受けたりしてる。耐久が減ってしまうが、痛いよりは良い。
器用に俺とハルナ姉さんの間にさっきの火が立ち昇ったり、俺に当たらないようにソード君を吹っ飛ばしたりしてるみたいだ。少しすると余裕が出てきた。
だんだんと数が減ってきたみたいで、俺があまり動かなくても手が追いついていってる。ヒマになってきたのでパーティーの方に移動する。邪魔なのは始末しながら。
「やったー勝っちゃた。」ワカナとカズミが向かい合って手を握り合ってる。仲良き事は美しきかな。ぼくは色づいた世界に満足だよ。
「さすがタケのパーティー。」
「あの数に圧勝って・・・・・」
「モモ。剣が出たからやるよ。」そう言って長剣を一本タケがくれた。初めてだタケがアイテムをくれたの。
「タケ兄、タク兄。毎日とは言わないけど、2・3日に一回は魔物寄せのアイテム使ってくれない。それなら俺も納得するよ。」
「仕方ねえな。全くカズマは真面目過ぎるよ。」
「今の数をまたやるの?」女の子達が停止してる。
「やばそうならモモとカズマを囮にして逃げれば良いからな」タケが冗談に聞こえない冗談を。
「モモちゃんと俺は大丈夫だから危険なら逃げてね。」カズマが安受け合いしてる。しかも、何故俺まで一蓮托生。
「すごい自信だね。私なんか怖かったよ。」
「私も。だってあの数は無いよね。」
「カズマ。自惚れは身を崩すよ。今回は上手くいったけど、いつもそうなるとは限らないから」
「ミカ姉。まだモモちゃんも俺も全力出してないから平気だよ。ちゃんと安全は考えてるから」
「・・・・・・」みんな黙ってしまった。やめて欲しい化け物を見る目で見るの。可愛い犬でも見る目で見て欲しい。
「適当言ってもムダだよ。そのうち分かる事だから」ミカさんは俺が嫌いらしい。何故?話をしているカズマでは無くて俺を睨みながら言うの?
「昼食ったら2時に異界に入ってくれ。一時解散」
「今日は二回入るの?」思わず聞き返す。
「いつも入ってるだろ。ちゃんと来いよ。」何か?俺がサボってるみたいな言い方だ。
カズマは諦めてるような顔してる様に見えるのは気のせいだろうか?
その日から日に二回異界にタケたちと行く事になった。
「タケ兄はハルナと会いたいから。実はタク兄はミカを昔から好きらしい。もっとも相手にされてない様だけど。」とカズマは言っていた。
でも、その日からタケのスタイルが変わった。敵が落としたアイテムを皆に公表して、必要と思える人に渡すのだ。宝箱も減ったとは言え見つけた時に何が入っていたのか説明した。
働いている時にはノンキに話している暇がないからと、カズマから風呂に誘われた。
「俺は夢でも見てたのだろうか?」
「ミカ姉は厳格な人だからね。手に入れたアイテムを言わなかったり、ネコババするとすごく怒るんだよ。昔からそうだけど変わってないね。」
「だから、二人とも人が変わったようなのか?」
「俺としては今日の感じなら、思ったよりは良いかな?一日の収穫が一気に減るかと思ったからさ。実際は少し減った程度だし、ミカ姉は色々な魔法を持ってるみたいだから参考になるし。」
「そうだね。俺も色々と聞いておこう。」
「ミカ姉に?」
「う。ミカさん俺のこと嫌いだよな。なんで嫌われてるんだろう?」
「別に嫌いじゃないと思うよ。舐められない様にしてるだけだと思うよ」
「そうなの?そういう人なの?」
「たぶんだけど」
カズマの一言に疑心暗鬼になったまま一日が終わっていった。
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