第16話 小太刀購入
振り上げては振り下ろす振り上げては振り下ろす。只ひたすらに繰り返す。
親父の剣をイメージして切る。切り終わった残身が重なるように出来る限りイメージを近づける。
「そうやって真剣にやってればカッコ良いのにね。」
「うをお」イキナリ近くで声がした。しかも、顔近い。
「なに?気が付いてなかったの?」何故にやける。
「でもさ、「うをお」って驚きすぎでしょ。こんな感じだったし」お姉さん僕はそんな体勢で驚いてないよ。大げさだよ。
カズマが腹を抱えて膝を着いて小刻みに揺れている。お姉さんに何かしようとして大事な所を蹴られでもしたのだろか?
「でも、本当に剣士なんだね。只の剣振る少年かと思った。」
「お姉さん。もっと真剣な顔でお願いします。なんかバカにされてる気がしてならない」
「ゴメンゴメン。フーハーフーハー。しっかり剣が振れるんだって関心したのよ。」
「え?レイカさん剣も使えるの」え?何でカズマは名前知ってるの?
「全然。ただ知り合いで剣を振ってた子が居るの。毎日、外で剣を振ってたの見てたから
何となく分かるのよ。振れてるのか?振り回されてるのか?」
「モモちゃんは振れてると」
「ええ、知ってる子よりも綺麗に振ってるもの」
毎日やってるんだから出来て当然だから、あまり嬉しくない。
「やっぱり剣て才能なの?」
「毎日振ってれば俺くらいにはバカでもチョンでも成れるらしいよ。」
「ちょん?そうなの?俺は一生懸命やったけど全然だったよ」
「私も一時やったけど、結局は敵と直接切り合うから怖くなって止めちゃったけどね」
「俺も剣で戦うのがイヤで弓の練習をやった事があるけど、どれだけ頑張っても的には当たらないし、乳首は取れそうだし全然ダメだったよ。三ヶ月も毎日やったのにね」
「「そうなんだ」」
「カズマは弓決まったの?」残念な人を見る視線を変える。
「これにしたよ」見せてくる弓はさっきの物とそれほど変わらない様に見える。
「さっきのと違いが分からないけど・・・・」
「この弓はやわらかいんだよ。小さくて柔らかいのにしようと思ったけど、こっちのが異界で使ってる感じに近いかなと思ってさ。」
「それじゃ、私は仕事に戻るよ。カズマ君、頑張ってね。モモちゃんは・・・・・じゃあね」
「なんかカズマと俺の対応がだいぶ違く無いか?」
「モモちゃんが谷間をガン見してるからだよ」
「カズマは見てないのか?気になるだろ」
「チラッと見る事はあるけど、モモちゃんはガン見してるからね」
くそお。カズマは小動物特性を生かして名前までゲットしやがって~~~。
「ごめんね。結構時間食ったね。今日は遅いし帰ろうか。来週はハツネ姉に会いに行こうか?」
「・・・・・」大丈夫だろうか?俺は普通に振舞えるだろうか、でも会いたい。しかし・・・・
「大丈夫だよ。普通にレイカさんとも話していたじゃない」
二日後にようやく7階に降りた。弓を落として以来ポーションしか取れてない。あまり特別なアイテムは落とさないらしい。
宝箱は魔法の壁と守りの壁って言う2時間だけ魔法防御上昇と防御力上昇の消費アイテムが入っただけだった。あまり重要なアイテムではない様でカズマも微妙な顔していた。
明日か明後日にはポーションが999個を越えそうだ。
ゴブリンに混じってマジックゴブが居る。VRではだいぶ戦った相手だからすぐに分かった。アーチャーと違って堂々と姿を見せるようだ。
「モモ。マジックゴブに気を付けろ。あとアーチャーも居るかもしれないからな」
ゴブリン達を切りながら進むとマジックゴブが魔法を放つ。VRよりも遅いので簡単に避けながらゴブリン達をなぎ払う。後ろからマジックゴブをカズマが撃つ。
なるほどアーチャーと違って一撃とはいかないらしい。後ろから後頭部に刺さる感覚を避けながら少し離れた所で狙ってるアーチャーゴブに向けて始めての投げ斧を投げる。
思ったよりも簡単に投げれる上に飛距離も結構飛ぶ。
斧はアーチャーゴブをかすめて壁に刺さるとすぐに消えた。アーチャーゴブが体勢を崩している間にもう一回斧を投げる。
斧が刺さると霧になって消えた。
「モモ。考えたな投げ斧か。魔法も良いけどMPも減らないし戦力になるぞ。だた投げ斧が壊れ安いから金は掛かるけどな」
「斧って壊れやすいの?というか武器って壊れるの?」
「そりゃ壊れるさ。モモはまだ一本目だったか。ちょっとその剣見せてみろ。」タクに剣を渡す。
「良かったな気が付いて。もうじき折れるぞこの剣。」
「え?そうなの?」全然。見た目は新品同様なのに・・・・・
「鑑定のレベルが上げると耐久度が見れるんだよ。言ってなかったか?この剣の耐久度は後53しかないからな。ゴブリンを切ってるだけなら二・三日持つだろうけど、スライムか硬い物を切ると一気に減るからやばいかもな」
「スライムもダメなの?溶ける感じ?」
「そんなとこかな?ゴブリンは棍棒ごと切ったり、棍棒を防いだりしなければ耐久はあまり減らないけど、スライムは切るだけで減るからな。」
「じゃあ、今日はここでお開きにして、モモは剣を買って来い。七階にさえ下りてれば明日始めればここから始まるし問題ないからな。」
「うん。分かったよ」
「俺も行くよ。」カズマが名乗りを上げる。
「じゃあ、明日な」
再び町に赴く。階を降りる度に来ているので実際は今日一度来てるのだが、一日に2回も来る事になるとは・・・・
「モモちゃんは今いくら位持ってるの?」
「145,000円」
「結構稼いだね。」
「カズマと違って消耗品は無いからね。鑑定を買ったくらいで飯代だけだからね」
「鑑定のレベル上げたの?」
「買ったときにレベル2にしたらアイテム見れたから、そのままにしてたけど耐久を見れるくらいに上げないとだな」
そんな話をしながら武器防具屋に来た。相変わらず広い。
剣のコーナーで物色する。
「結構高いね。長剣で80,000が、始まりの剣の10,000の次だね。その次は大剣で120,000だし。・・・・・」
「俺の貯金が一撃でなくなっていきそうな予感がするぞ」
「おいおい知ってる顔が居ると思ったら、カズマじゃないか。それと、桃の助平か。」
声の方を見ると列車で絡んできた。少し大きな坊主頭が少し伸びて黒いヘルメットを被ったようになってる。
「カズマ。お前は何階層に居るんだ?」間違いなく知ってる顔で言ってる。
「七階だよ」
「おいおいナツカリの優等生がまだ七階なのか?俺でさえもう18階に居るんだぞ」
「タケ兄は慎重派なんだよ」
「慎重派?ものは言いようだな。臆病者って言うんだよ」
「もしかして剣を選んでいるのか?七階だけあってショボイ武器選んでいるな。」俺を見てニヤニヤ笑う。
「ほっとけよ。俺はノンビリ屋だからゆっくりで良いんだよ。お前も前衛なのか?」
「当たり前だろ。ナツカリの名を継ぐなら剣士に決まってる。」
「じゃあ。お互い腕を飛ばされない様にな」
「お前に言われなくても分かってるさ」顔色が一気に悪くなって、いそいそと立ち去った。
「なんでアイツ逃げてったんだ」カズマが不思議そうに聞いてきた。
「思い出したんだろ。怖い思いしたの」
「なんで、そう思うの?」
「ほとんどの奴は30階まで行かないって言ってたじゃん。20階付近では危険が盛りだくさんなんでしょ?アイツだって一度や二度は怖い思いしたんだろって思ってさ」
「そういうもんなんだ」
「俺もアイツも前衛だからね」
悩みに悩んで
小太刀 ジーク作
攻撃力 12
鋭利度 C
脇差に使われる刀。
特徴 小回りが利き。振り回しやすい。
価格が150,000とリーズナブル?俺の持ち金よりも高いけど・・・・
「ねえ、この剣いくらで買ってくれる?」買い取り用のカウンターで聞いてみる。
「100円でどうだい?」何その捨て値。
「100円なら壊れるまでゴブリン切るよ」
「じゃあ、そうしてくれ」
仕方ない。
「カズマ。ポーションを買ってくれ400本」
「400もまた思い切ったことするね。別に良いけどさ」
小太刀を買って、ポーションを売って残った残金は7000円。
「モモちゃんなんで帽子探してるの?」
「ハチマキするの隠したいじゃん」
「あ。やっぱり気にするんだ。」
「いや。普通に気にするよね。必勝ハチマキしてダンジョンに居るのは、女の子に見られたくないし。」
「良いじゃん面白くて」
「じゃあカズマがやるなら上げるよ。」
「ごめん。ムリだわ」
皮の帽子
防御力 3
特徴 熱に少し強い。少しだけ切れ辛い。
皮の服と同じ色の皮の帽子にした。
短いつばが一回り付いた帽子で装飾品に近い気がする。鉢巻のカモフラージュだから良いんだけどさ。値段は3,000円で残金が4,000円。一気にひもじくなってしまった。
ダンジョンに入れば一日分の飯代くらいは稼げるから良いけど、残高が一気に減ると気分も一緒に下がるのは何現象って言うんだろうか?
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