第7話初めてのダンジョン
「二人ともまだ来てないみたいだな」
「カズマはなんの買い物するの?」
「後衛職は前衛と違って、魔法の触媒とか消耗品が多いな。」
「魔法の触媒って何?」
「魔法ってのはMPのみで使うよりも、核になるものを使って使った方が簡単な上に威力も上がるのさ。例えばこれだ。」先生の手の平に赤い実?の様な物が有る。
「これは少し魔力を通すと燃える火種ってアイテムさ。コイツに意識を集中して浮かせる様なイメージすると」
「おお手品だ」手の平の上で火種が浮かぶ。透明なボールの中に浮いている様に見える。
「手品じゃない魔法だ。火をイメージして集中すると燃える火の玉が出来る。分かった?」コクコクと頷く。
「これと同じように水種や土種、風種、思種とか色々と有るんだよ。ちなみに石も有る。石は強い火種みたいなもんだ。ただし火種が一つ10円だけど石は一つ1000円だぞ。さらに上に写本ってのも有るけど、普通に使うような金額じゃ無いからな。」
「先生、値段を知りたいです。威力はハンパないですか?」
「先生って、まあいいか。石の100倍で100,000円だぞ十万。俺は使ってるの見たことも無い。石だって結構レアだぞ。だいたい石ですら対強敵用の切り札的なものだからな。石を一個使えば確実に赤字になる」
「お。来た来た。遅いぞ」
「悪い悪い。カズが石欲しいって駄々こねたから遅くなっちまった。」
「石買ったのか?」カズマにこっそり聞く。
「二つだけね」
「まったく二人とも金銭感覚がガキのまんまだな。こっちも鉄の手甲を買ったしな。金に困るぞお前ら。」
「まあ苦労するのはこいつ等なんだし、マーダンに潜りますか」
「そうだな」
ダンジョンの入り口は、家くらいの大きな岩に5Mくらいの大きな穴が空いていて階段になっている。どういう訳なのか洞窟と違って明るい。階段も2・30段くらいで横幅が穴と同じ長さになってる。
物珍しさからキョロキョロしながら降りていく。
階段が終わると建物の中の様に両側が綺麗な平らな壁になっていて。ダンジョンと言うよりも遺跡って感じに見える。
さっきの町の道幅よりも広いんじゃないか?って思うくらい広くて、真っ直ぐ進む道は終わりが見えない。天井もジャンプしたくらいじゃ絶対に届かない高さが有る。
「早速お出ましのようだな」先頭を歩くタクが手を横に上げて皆を止める。
キョロキョロしてたから止まった事に気が着くのが遅くてカズマにぶつかった。
わき道から見慣れた赤くて小さいのが、棍棒を肩に預けて偉そうに5体現れた。なんかVRの奴らよりも強そうに見える。
「カズとモモはとりあえず見ていろ。レベルが5くらいにならないと即死の可能性も有るからな」そう言ってゴブリン達に突っ込んでいく。
タクもタケミチの後に続いた。
戦いはまさに圧勝だった。まるで相手にならないゴブリン達は何も出来ずに一方的にやられてしまった。でも、動きを見た感じだとダンジョンのゴブリンは動きが悪い。
基本的に回避の動作が無いし連携もまるで無い。VRの仲間が攻撃された直後を狙うゴブアッタクが一度も発動しなかった。
ハッキリ言って暇だ。ダンジョンをフラフラと散策する。ゴブリンに会う。タケタクコンビが倒す。ダンジョン探索。
「宝箱発見」タクが陽気な声が聞こえた。空の見える所無いかなと天井を見ていた目線を前に向けると確かに箱のような物が道端に置いてある。
イメージとだいぶ違う。部屋の中に有るんじゃなく。本当に道端に置いてある感じだ。しかも、宝箱って感じではなく単に木箱だ。蓋がなくても違和感が全然無い。蓋も乗せて有るだけだし。
横にオモチャって書けばオモチャ箱。ニンジンって書けば八百屋って感じだ。
子供の頃は、親父とよく買い物で町に行った。その時に荷物が多いと道の脇に荷物の箱を置いて休むのだが、「絶対に荷物から離れるな」ってしつこく言われていたけど、理由が分かった。
タケタクコンビも微塵も躊躇う事無く箱を開けて中身を取り出した。
「ポーションか」そう言ってタクからタケミチが受け取った。
「ダンジョンで手に入れたものは基本的にリーダーが一括して受け取るルールなんだよ。で、ダンジョンを出た時にまとめて山分けする。まあポーションとかはストックが無くなれば分け合うけどな」俺が見ているのに気が付いて説明してくれた。
「モモ、もしかして金や経験値が入ってるのに分かってないか?」ダンジョンを探索中に突然タケミチが聞いてきた。
「え?そうなの?俺は戦ってないよ」そう言いながら三角に意識を持って行く。
おお4400円だった金が4920円に増えてるし、ステータスを見れば確かにレベルが2になってる。
力 15
防御 15
魔力 15
魔法防御 15
パラメーターって4種類しかないんだ。なんで全部同じ数字なの?俺には個性は存在しないのだろうか?
「本当だレベルが2になってる。でも、何で全部15なの?」
「戦闘に参加してないからだよ。働きによって数値は増え方が違うって言ってたよ」同じ初心者のカズマに教えられてしまった。
「あれ?そういえカズは弓用のスキルは買ったのか?」タケミチは思った事をすぐに口に出すらしい。
「当然ぬかりは無いから心配するなタケ」
「うん。タク兄に言われて命中補正L1ってのを買って置いたよ」
「じゃあ、SPを出来るだけ命中補正に使っとけ。スキル無しじゃ当てるの難しいからな。」
「分かった。」カズマは分かったらしいけど、俺は分からないままダンジョン探索が再開。
「カズマ、SPって何?」コソコソと内密の話をする。
「モモちゃんはまだスキル買ってない?」カズマもコソコソしてくれた。良い奴だ。
「スキルを買うとステータスにスキルってコマンドが出るんだよ。その中にあるスキルを成長させるポイントの事だよ。経験値みたいに戦うと入るから、入ってると思うけど?もしかしてログは開いてない?」何の事だかチンプンカンプンだよ。
「?マークあるでしょ。その中の設定でログありにしてごらんよ。」
言われたとおりに?が有った。設定しかない?始めから設定って浮かんでいれば良いのに。設定の中もログしかない。
ログありにすると確かに
ゴブリンを倒した。
経験値1 10円 SP1 を手に入れたって書いてある。
たまにポーションも出てるぞ。タケミチめネコババしてやがるな。
便利だけど即行でログなしにした。
何故かって?視界に文字が浮かんでいると邪魔なんだ。しかも、ゴブリンが現れたとかって俺が確認できた瞬間に出るみたいで、ハッキリ言って邪魔意外なにものでもない。
そんなこんなで一日中ダンジョンの中を散策していた。結局ダンジョン1日目は、レベルが4までしか上がらなかったから、俺の出番は一度も無かった。
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