第6話初めてのダンジョンの準備

 気が付くと列車の駅のホームの様な高台に何故か立っていた。駅のホームとの違いは線路の無いところと細長くなく四角いところだろう、


 周りを見るとカズマとさっきの二人がホームの下で待っている。


 「お、来た来た」


 「やっぱり10階は遠いな」


 合流すると賑やかそうな町の中に入っていく。縁日や祭りの様な賑わいだ。しかも女の子が居る。どうやら異界は男女別ではないようだ。


 「今日は元旦だから多いな」


 「サクサク買い物してマーダンに行くぞ」


 「マーダンって何?」知らない単語は聞いた方が良いだろう?


 「マーベラスのダンジョンに決まってるだろ」当たり前に分かる事なのだろうか?


 それだけ言うとタケタクコンビは人ごみを掻き分けドンドン進んでいく。今にも見失いそうだ。


 二人の入った店に俺たちも飛び込む。


 武器と防具が雑多に並べられている。


 「とりあえず二人の装備を買って行くぞ」


 「タケ。モモはお前に任せたぞ。カズマは俺と同じで後ろだからな」と言い残してタクミとカズマは人ごみに消えていった。


 この店は外から見るよりも中が広い。普通の家くらいの建物だったはずなのに、目立ちたがり屋の爺さん用の演説会場ほどでは無いにしても、近い広さを感じる。


 「モモ、お前は剣と鎧は必要だな。盾はまだアイテムボックス買うまでは要らないな」


 訳も分からずにの後に付いて行く。


 剣のコーナーに着いた。色々な種類の剣が広々と置かれている。


 「そういえば俺は金無いけど?」


 「マスターから5万だけ貰っているはずだから大丈夫だよ。それに買えるのは、この始まりの剣しかないからこれをさっさと買え」


 「店のおじちゃんは何所なの?それに値段書いてないけど?」


 「おいおい、大丈夫か?普通によく見れば見れるだろう。武器の性能を見たい時には、値段が分かった後もそのまま見てれば見えるぞ。」


 あ!本当だよく見ると見ている物の値段が表示されてる。俺が見ていた刀は・・・・500万って買う奴居るの?


 始まりの剣は1万ととってもリーズナブル。刀を見てなければ高く感じただろうけど・・・・


 始まりの剣をさらにじっと見ると


 攻撃力 6

 鋭利度 D


 初心者が持つ剣。

 特徴 安い


 目の前に「買いますか?」と文字が浮かんできた。


 「はい」剣が消えてしまった。あれ?


 突然、腕を掴まれて連れて行かれる。ナニナニナニ?


 少し人ごみから離れた所に来るとタケミチがこっちを振り向いた。


 「頼むから恥ずかしい事しないでくれ」


 「俺、なにかやった?」


 「お前、コマンドに返事しただろ。周りの奴ら噴き出してたぞ」


 「どうやれば良かったの?」


 「学校で習っただろ。あっそうか直前に教わるから知らなかったのか。ただ買うって意志を伝えれば買えるんだよ。もしかして、剣が消えたのも、どこに行ったか分からないか?」首を縦に振って肯定を伝える。


 「視界の隅に有る三角の中のアイテムに入ってるよ。ここで装備したりするなよ。確認だけにしとけ」


 三角に意識を持っていくとコマンドが出てきた。


 アイテム

 ステータス


 40,000円


 おお4万も持ってる。小金持ちだ。


 確かにアイテムの中に始まりの剣だけ入っていた。


 「次は鎧だな。皮の服あたりが無難だな。モモは何か希望有るか?金額的に大したものは無いけどな。」


 「特にないかな?」それ以前にVRには木刀のみだったから分からない。


 うん。鎧コーナーなんだろうけど服屋さんにしか見えない。


 奥の方は女性コーナーなのか女の子達が服を物色している。武器防具屋さんなのに女性の9割以上はここに居る気がする。


 鎧と言える物も有るには有るが高い。100万オーバーしかない。鉄で出来てるだろう胸当てですら20万もする。


 黒っぽい皮の服にする。お値段は15,000円なり。防御力は11で魔法防御は6だそうです。そして、切れづらいそうです。


 「モモの買い物はこんなもんか」


 「あ」小手が有る。VRでもよく腕を失う事が多かった。切られてHP10%生やしてHP10%で結局20%のダメージを食らってた。


 ここはムリしても買いたいところ。


 「おいおい。相手の攻撃をちゃんと小手に当てられないと意味無いぞ。」


 「いやいや腕は大事でしょ。でも高い。」


 「買うなら皮で良いだろ」無視して鉄製小手を吟味する。


 値段的には鉄だと、10,000円からだ。しかも片手だけ。皮なら両手で2,000円だ。でも、買うなら鉄しか有り得ない。皮で腕が守れる気がしない。


 鉄の小手は 防御力 10 魔法防御 10


 でも小手に当てないと防御力はカウントされないらしい。小手に当てると防御力は皮の服に上乗せになるらしいです。原理は不明だ。


 身の安全には換えられないので両手とも買う。


 タケミチも呆れている居るが仕方が無い。何度ソードゴブに腕を落とされた事か。あの精神的ダメージを考えれば安い買い物だ。


 「モモは、あとポーションと記録石買ってお終いだな。魔法の媒体は今度だな。」


 アイテム屋さんもまた同じように外から見たのと中では大きさが明らかに違った。広さは普通に武器屋と同じくらいだろう。


 記録石は10円


 ポーションは50円だった。


 10個づつ買っとく様に言われたから600円で残金4,400円になってしまった。


 小金持ちの俺は消えて、金銭的に苦しくなった俺に変わってしまった。


 「ダンジョンの前で待っててやろう。」


 そう言われて生まれて初めてのダンジョンに向かうのだった。

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