第5話男しか居ない町?
男の降りる駅は<オウガス>と言うそうだ。
ナツカリの村は木の家がほとんどだったけど、今回の所は石作りの様だ、四角い建物に窓がいくつも有り、長さが軽く50M以上有る。階層は10階建てみたいだ。
何故か皆して窓の数をせっせと数えている。
「すごいね部屋が120も有るみたいだよ。」
「でも同じような建物があっちにもこっちにも有るけど・・・・?」
「そうだね。ナツカリの建物はどれだろう」
「ナツカリ?」何の事かと思ったら白に近い灰色の建物に黒い字で<ネネ>と書かれている。ネネって地域が有るのだろうか?
建物と建物の間には運動できそうな広場で区切られて灰色の建物が並んでいる、人の多い町はこんな感じの建物が他でも有ったけど、この町は歩いているのが男しか居ない。なんて悲しい町なんだ。
両側に立ち並んだ灰色の建物の先の方に偉そうに道を遮るかのように平たい建物が鎮座している。どうやらその建物に向かっている様だ。
ん?前にも俺たちと同じような集団が居る。そして、後ろにもいつの間にか集団に追われている。白い建物は18?16?位あるようだ。どっちか分からないって?それは俺にも分からない16派と18派に分かれて、また数えているのでしばしお待ちください。
どうやら16でいいそうです。どうやら、「カカ」だとか「ネネ」だとか「スエヒロ」等々、色々な領土がある様だ。ちなみに「カカ」は結構有名で、たしかブドウが有名で「カカ」産のブドウって声も高らかに商売人が売りに来ているのを色々な町で見たことが有る。だから、今まで国の名前だと思っていた。もしかしたら只の同名さんかもしれないけど?
鎮座していた建物に着くと板張りの広間に通された。広いのだろうけど人だらけでその広さを感じる事が出来ない。むしろ狭いくらいだ。
なんだか分からないが一列に整列させられてしばらく待つ。
待つ。
待つ。
長い。
それでも、外ではあんなに騒いでいた「ナツカリ」の皆さんは一言も話さずに待っている。と言っても8名しか居ないけど。
誰かが一段高い場所に上った。目立ちたがり屋の爺さんかな?
「つい先日<ツバキ>の面々によってマーベラスが倒された。我々<オハリ>はここ10年の間、マーベラスを倒したパーティーが現れていない。マーベラスにおいて我々<オハリ>の存在がいま一つである。諸君らの中から10鬼、望むなら四天王の一角を倒し<オハリ>の名を広めてくれるのを期待したい。」マーベラスって何だよ?倒されたのに、マーベラスでオハリはいま一つって可笑しくないか?何より知らない単語が多すぎる。
あれ?それだけ?後ろの方からぞろぞろと出て行く。外に出ると皆喋り始めたので数馬に聞いてみる。
「なんだったのあれ?と言うか何の為だったの?」
「何の為かは分からないけど。俺たちが使っているダンジョンは<ナタネ><オオマメ><ツバキ>さっき言ってた奴ね。と俺たち<オハリ>がメインで使っているんだけどね。そのダンジョンのボスがマーベラスって言うんだけど、俺たちのグループが倒す事が少ないんだよね。」
「簡単に言うと舐められてるって事だよ」数馬の前を歩いていた坊主頭が答えた。
「そんなところだね。それで、奴らを見返してやりたいって気持ちが強いみたいだよ。俺たち<オハリ>は一応「打倒四天王」だからね。ちなみにマーベラスは四天王の一角だよ。」
「四天王を倒すのは俺だ」的な話が回りから上がって、お前にはムリだ。だから俺が~~って話をみんなしていた。俺は彼女が欲しい。四天王はいらない。
そんな連中の集団が一つの建物に着いた。真ん中あたりにちゃんと「ナツカリ」って書かれた灰色の建物が有った。
行きは見落としていて、人数が少ないから廃墟みたいな所に連れてかれるのか心配していたのは内緒だ。
ナツカリ寮に着くと自分の部屋が与えられた。個室ですよ良いんですか。やっぱり二人で使ってとか無しだよ。風呂とトイレと食堂は一階だけど一番上の10階だ。
一番上だと偉くなった気がするのは俺だけなのだろうか?どうやら低い階が人気だ。
他の子は何号室とか鍵が渡されてるのに、俺は「どれでも良いよ」って鍵の束を渡されたんだけど・・・?
荷物を置きに部屋まで登る。また一人また一人と仲間は去っていく6階で最後の別れを済ませ孤独な旅になった。一段また一段と階段を登っていく。長い・・・・
せっかく選べるので朝日の入る角部屋にした。どうやら10階はゴーストタウンの様だ人の気配がまったくしない。
ドアを開けると6枚畳が引かれているだけで何もない。机も無ければカーテンも無い。布団は押入れに入っていた。
これで俺も部屋持ちだ。女の子を連れ込めるぞ・・男しか居ない町だけど・・・
荷物を置いて下に下りていくと案の定、俺が一番最後だった。
「どうだい10階は、部屋変えるか」このジジイは誰だ。鍵をくれたのはさわやかさんだったはずだ。
「全然OKですよ。眺め最高だし。」
「ハッハッハ。その強がりが折れたら言って来な。6階あたりならいくらでも空いてるから。」
「じゃあ学校でも聞いているだろうから簡単に説明するぞ。俺がこの寮を任されてる。そうせ名前なんて覚えないだろうから寮長でいい。各自の部屋は自分で掃除するように。じゃあ、お前たちはパーティー決めてあるよな。あぶれてる奴居るか?」
ジジイが辺りを見回す。何故か俺を見る。
「彼とは僕が組みます。」
「そうか良かったな」なんで俺がハブ決定だったんだ。
「一応こっちで名簿見て教育係を決めてあるから、隣の部屋でパーティー組んでからは自由にしてもらって良い。分からない事は教育係に聞いてくれ。ほい解散」カズマと連れ立って隣の部屋に行く。
「おーい。カズマ」見知らぬ。でかい男がカズマを呼んでいる。
「あ。タケ兄とタク兄なんだ。」
「久しぶりだな、元気してたか。しかし、だいぶ変わったな。前はこんなに小さかったのに。」と腰の辺りでナデナデしてる。
「いやいやいや。そんなに年違わないでしょ。」
「冗談だよ。で、こっちは誰だ?」
「俺はモモスケです。」
「モモスケなんて居たっけ?」でかいのが考えてる。
「タケ兄モモちゃんは最近越して来たから知ってる訳無いよ。」
「タケはいつ気が付くか待ってたけど、結局気付かずか。」でかい奴の隣に居た細長いのだ。
「何の事だよ」
「書いて有るだろ。出身地がナツカリじゃない。」細長いのが紙をヒラヒラとでかいのに見せ付ける。
「あ。本当だ」
「出身が<ニホン>になってる。」
「<ニホン>てどの辺なんだ?」
「生まれたのが<ニホン>なんだろうけど、一度も住んでたこと無いから知らないんだよ」
「へ~。この辺じゃ聞かない地名だから遠くから来たんだな。」
「俺はタクミでこっちのでかいのがタケミチだ宜しくなモモ。」どうやらタクミに比べてタケミチは賢さが足らない様だ。
「宜しくお願いします」俺は大人なのでしっかりと挨拶をして置く。大人だからな。
「じゃあそろそろ行くか」しばらく雑談していると唐突にタケミチが言い出した。どこか行くのか?
「ああ、そうだな」
「俺達はどうすればいいの?」よく分からないので口を出さずに見守る。こういうタイミングで何か言うと必ず恥をかくのだ。
「カズとモモは自分の部屋に行って布団を敷いてから。部屋にVRで使うような白い帽子が有るからそれ被って寝れば良いんだ。異界に行ったら、その場で待ってれば迎えに行くから。」
「聞きたい事は何か有るか?」
「モモは大丈夫?」首を縦に振る。
ハアハア言いながら10階まで登ってきた。
確かに布団の陰にVRで使うような白い帽子が隠れていた、ただし違うのは白い紐が壁の中から帽子まで繋がってて、被っている姿はかなり間抜けだろう。
間抜けな姿は考えないようにして、早々に布団を敷いて白い帽子を被って眠る。
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