第2話uいつものVRゲーム2

 2エリアのマジックゴブリン達が使う魔法は小さな火の玉。


 速度は子供の投げるボール程度で射程も15M程度だと思う。だけど、当たると自分が火に包まれる。ダメージ的には3%くらいHPが減る。


 ちなみにHPとスタミナがパーセントで表示されていて数値は分からない。


 直撃したところは軽い火傷の様なジクジクとする様な痛みは有るが、火に包まれる感じの方が嫌な気分になる。


 一番の1エリアとの違いはゴブリンがグループを作る事だ。


 4,5体のグループで攻撃を仕掛けてくる。始めにどんなにバラバラで現れても、あっと言う間にグループを作ってしまう。


 ただし、こいつらには攻略法が存在する。始めにあるグループの魔法が届く範囲に入る。当然火の玉が次々に飛んでくる。と言っても10M以上は離れていてゆっくり飛んでくる玉に注意していればそうそう当たらない。


 そのまま待っているとゴブリン達は近づきながら魔法を撃ってくる。動き始めたら違うゴブリングループに近づいていく。ここで注意が必要だ。


 前後で挟まれてしまうと後ろからの攻撃は見えない。右斜めと左斜めにグループAとBが来るように移動する。


 最後に右にでも左にでも良いから、大きく離れたままゴブリンのグループが挟まれるように移動する。


 するとゴブリンAの魔法がゴブリンBに当たる。ゴブリンBはゴブリンAに反撃を開始する。こうして同士討ちが始まる。


 そっちは放って置いて、ゴブリンCも同様の方法で潰しあい中のゴブリン達にけしかけると3グループの乱戦へと発展していく。そして、最後に残ったダメージを負ったゴブリンをサクサクとやってしまえば良い訳さ。


 さてさて、ここからが本番のソードゴブリン。


 ただ皮の鎧を着て、剣を持っただけにしか見えないゴブリンですが、こいつらはマジックゴブリン同様にグループを作ります。


 しかも、さっきの様なアホな同士討ちはしてくれない。前にダメ元で試したが、一度に相手する数が増えるだけで意味が無かった。


 やらなくても分かりそうなものだが、もしかしたらって思ったんだよ。


 1エリアのゴブリンと同じように左端の奴に即行で近づく。


 間合いに入った瞬間に剣を振り上げるゴブリンの振り下ろしのタイミングを狙って木刀で肘を叩く。


 腕が曲がらないはずの方向に曲がる。間髪置かずに後のゴブリンに向かって腕を痛めたゴブリンを蹴り飛ばす。


 囲まれないように右へ動きながら微妙な距離を保つ。


 離れすぎると他のグループの攻撃対象になるようで近づいてきてしまう。戦っている最中は他のグループは遠くで見てるだけだ。


 一歩前に出て一発入れて離れる。囲まれるのだけを避けながらダメージを蓄積させる。


 この作戦も確実に勝つことは出来ない。


 すべて倒すよりも先にスタミナ切れで負けてしまう。動き続けているとスタミナは決して回復しない。でも、動き続けない限り囲まれて終わりだ。


 踏み込んでの一撃が、ついに一体を霧にした。


 霧に向かってさらに一歩踏み込む。ゴブアッタクで来た奴を叩く。ダメージを負っていたのか一撃だ。


 さらにもう一体突っ込んで来たので一撃を食らわす。しかし、霧にならない。すぐさま次が現れる、先手が間に合わない。


 振り下ろされる剣を軽く弾きながら一発食らわす。一撃で霧になるが、さっきの奴と最後の一体が同時に来た。


 タイミングが悪い。後ろに飛んで避けるも避けきれず胸から腹に掛けて切られる。


 反撃する間も無く、もう一体が腰の辺りに剣を構えて突っ込んで来る。


 剣は木刀を当てて防げたが体当たりは避けれないで吹っ飛ばされる。地面に叩きつけられるが、すぐさま転がって立ち上がる。


 当然の様に待ってくれる訳も無い。突進してくる一体に向かって一歩踏み出して顔面を横薙ぎに食らわす。一撃で霧にする。


 倒した瞬間突っ込んできた最後の奴の攻撃を避ける。一対一なら楽勝だ。


 まだ1グループ倒しただけなのにすでにHPは78%でスタミナは40%も無い。しばらく休んで回復したいが、すでに近くのゴブリングループは俺に向かって移動中。


 すでに4エリアまで行く事は不可能だが、ただ切られるのはイヤなので戦う。


 なんとかかんとか似たような感じで2グループ目を倒したが、3グループ目は1体倒したところで力尽きた。


 袋叩きにあって切り刻まれて地面で横たわっている様な感じで目を覚ます。


 例えるなら人生最悪の寝覚めって感じでベットに横たわっている。


 いつもの事なので仕方ないが体は元気なのだろうが精神的には惨殺された直後の人な訳で、起き上がる元気が沸いてこない。


 こんな感じでいた時を見た奴に昔「ゲサタロー」いう不名誉なあだ名を付けられてしまった。ちなみに大袈裟な桃太郎という意味だ。


 当時は他の奴らは俺よりもタフなのが不安だったが、図書館の本を読むようになって最高難度以外は軽く棒で叩かれる程度の感覚しか無いらしい事を知ったので、今は何とも思ってない。(知った時には涙が出た)


 ちなみに生々しく自分の体が切られるような感覚と痛みの為。最高難度でやる奴はみんなすぐには起き上がれないらしい。


 しばらくして気力が戻ってきたら本を少し読んで、図書館の爺と一緒に昼飯を食ってから、もう一度ゴブリンとやりあういつもの単調な一日だ。


 ちなみに4エリアには今日はいけなかった。

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