第185話 ハンバーグ
朝晩の冷え込みも厳しくなってきた今日この頃。
俺は機械をいじっていた。
これはクーデリアに頼んで作ってもらったもので、いわゆるミンサーというものだ。
我が家も人数が増えてきたからね、手でひき肉を人数分作るとか大変なのだ。
円筒形の筒を横に寝かせた構造にラッパの吹き出し口ような物が上を向いていて、手回し用のハンドルがついている。
足が4つ生えていて、安定感も抜群だ。
かの夢の世界で手に入れた、鍛冶屋の金槌が早速役に立ったのだ。
それに、頑張って作ってくれたクーデリアにも感謝だな。
手回しハンドルをカラカラと回してみる。
うん、良さそうだ。
コレに肉をぶち込んでハンドルを回せば、お手軽にひき肉ができるな。
俺は若干ウキウキしながらレッドカウのブロック肉を用意した。
肉をセットして、トレーを出口に置いて、と。
グッとハンドルを回せば、出口からニュルニュルとひき肉が出てきた。
おしっ! このまま全部出しちゃうか。
俺は調子に乗ってひき肉を作り続けた。
「コーヘ、なにしてる?」
見ると、厨房の入り口でノーナが人差し指をくわえながら覗いていた。
「おう、ひき肉を作っているんだ。……ノーナもやるか?」
「あい! のーな、おてつだいしまつ!」
ノーナのアホ毛がピョコンと揺れると、テテテと俺のそばに近づいてきた。
水球の生活魔法でノーナの手を清める。
「いいか? この上を向いた入り口に肉を入れる。ハンドルを回す。それだけだ!」
俺は胸を張って答えた。
……いや、この功績はクーデリアが受けて
なんとなく、自慢したくなってしまったのだ。
スマン、クーデリア……。
「あうー、にくをいれます。はんどるをまわします。……できた!」
ノーナがニュルニュルと出てくるひき肉を見て、キャッキャッと喜んでいる。
うんうん。怪我しないように気をつけるんだよ?
ノーナが楽しそうにひき肉を作る横で、俺は今晩のおかずを作ることにした。
さてさて、ひき肉と言えば各種あるがやっぱりハンバーグだろう。
異論の有るやつはいるか?
……受け付けないけどな!
まずは
俺は玉ねぎをみじん切りにする。
フライパンにバターを入れて火で炙る。
バターが溶けたらみじん切りにした玉ねぎを軽く炒めた。
人数分あるからな。結構な量だ。
ひき肉に塩コショウし、こちらで見つけたナツメグもどきを少々、っと。
さらに、パン粉を出してコレにレッドカウのミルクをざっくりと混ぜた。
ここから
「ノーナ、ひき肉はもう良いから、こちらを手伝ってくれ」
「あい!」
俺とノーナはトレーの上で、材料を混ぜて
ひぃふぅ、量があるから大変だな、コレ。
「ノーナ、握るようにすると調子いいぞ?」
「あう? にぎりまつ!」
ネチネチとひき肉を
ある程度
手に油を垂らしてなじませる。
テカテカになったら、ざっくりとひき肉を取りサッとまとめる。
空いているトレーに投げつけるようにして中の空気を抜く。
ッターン!
それを一人分のかたまりに成形しておく。
ノーナにも手順を教えて成形を手伝ってもらった。
テーブルの上は、成形したハンバーグのタネでいっぱいだ。
いよいよフライパンで焼き上げる。
最初は強火で~。
肉の端がパチパチ言い出したら、五分ほど蒸し焼きにする。
火は弱めの中火だ。
蓋を取って肉をひっくり返す。
うん! この香りだー!
肉の焼ける香ばしい匂いが立ち込めた。
焼き面に茶色い汁が出て、上面にも少し火が入っている状態を確認する。
再び蓋をして蒸し焼きにする。
今度は四分ほどだな。
蓋を取って確認。
焼き色が入り、焼き面に灰汁が出ている状態を確認する。
またまたひっくり返し、蒸し焼きにする。
今度は三分ほど焼く。
蓋を取って確認すると、焼き面に少量の灰汁が出ている。
ひっくり返して、さっと焼いて取り出す。
取り出したハンバーグはトレーにあけて、三分ほど休ませてから霧夢の腕輪に収納した。
ノーナに手伝ってもらい、俺は次々とハンバーグのタネを焼き上げていく。
俺は合間を見て作り置きのビーフシチューを赤ワインで溶いた。
ハンバーグ用のソースだな。
付け合せの人参もどきのグラッセとインゲンもどきの炒めものもサッと作る。
人数分を用意するのも大変だぜ。
「今日の夕食はいつにも増していい匂いがするな、コウヘイ」
「あなた様、これはなんという料理ですか?」
「うむうむ、美味そうなのじゃ」
ミーシャ、アルカ、ゼフィちゃんが辛抱たまらんと言った面持ちで尋ねてくる。
「おう、ハンバーグと言う料理だ。美味いぞ」
テーブルにはハンバーグが乗せられた皿と、山盛りご飯が並んでいる。
「婿殿、肉のようだが何かちょっと違うぞ!?」
「ボクは美味しく食べられれば何でも……」
「キキも見たこと無い料理デス」
「マスター、早く食べましょう!」
ガーベラ、クーデリア、キキ、ティファも興味津々なようである。
「おし、みんな座ってくれ」
俺が声をかけると皆がいそいそと席に着く。
「では、いただきます」
ナイフを入れると抵抗もなくスッと入る肉。
切れ目から肉汁が
ソースに絡めてくちに運ぶ。
「~~~っ!」
俺はたまらずご飯をかっこんだ。
「美味しいぃですぅ」
「ですです!」
「あんちゃん! アタシは好きだな、コレ!」
「あい、おにくやわらかい♪」
「あれ~? お姉ちゃんどこかで食べたこと有るような~? ……! アレね! はんばーがーの肉と同じね! モグモグ」
「クルルゥ♪」
「キュアッ♪」
「ぷぽー!」
皆の口にも合ったようで何よりだ。
おかわりもまだまだたくさん有るからな。
俺とノーナで作ったハンバーグは盛況で、次々とおかわりも掃けていくのだった。
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