第169話 パズズ①
サラサラと白い小山が風に流されていく。
「ぷぽっぽ!」
ポポが俺の後頭部からぴょこんと降り、白い小山に向かう。
ルンは変わらず俺の頭の上でミョンミョンしていた。
ガサゴソと白い小山からドス黒い勾玉のようなものを取り出すポポ。
「ぷぽ!」
ポポが俺に向けて両手に持ったドス黒い勾玉のようなものを掲げる。
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邪神の破片
#$+*&@
~~~~~
もう、お決まりの代物だ。
「む、これはなんだ? コウヘイ」
ミーシャが白い小山を見ながら言う。
俺がそちらに目を移すと、なにやら盾のような物が埋まっていた。
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穢された聖盾
*+}%$#
~~~~~
「どうやら盾のようだぞ? ミーシャ」
俺は鑑定結果をミーシャに伝える。
そういや、吹っ飛んでいったアインは無事なのか?
俺は辺りをキョロキョロと見回す。
遠くの方にこちらに向かって来るアインの姿が見えた。
俺はホッと一息つくと、ポポからドス黒い勾玉のようなものを受け取り大地の力を流していく。
叩きつけるように一気に流すと、透き通ったオレンジ色の勾玉に変わった。
さて、と。
盾の方はどうかな?
俺は白い砂からドス黒い盾を掴み取る。
これも大地の力を流す。
黒いものがポロポロと剥がれ落ち、蒸気のようにかき消えていく。
ポワンっ
盾が一瞬光る。
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聖盾
勇者の盾
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神々しいオーラを出す聖盾。
手に持つと反発するような感覚がある。
持ち手を選ぶのか? この盾は。
アインにでも持たせようかと思っていたけど、やっぱり勇者とやらじゃなきゃダメみたいだ。
盾と勾玉を霧夢の腕輪に放り込む。
アインが戻ってきた。
あちこちボロボロだ。
アインはズーンと沈んだ雰囲気を醸し出している。
「アイン、こっちへ」
俺は手招きをして、アインに触れた。
大地の力を流すと、ボロボロだったアインの体が綺麗になっていった。
しかし、アインは沈んだ雰囲気のままだ。
「アイン、気にするな。今回は相手が悪かった。」
俺はアインの肩をポンポンと叩いて慰める。
「うむ、あの一撃を受けて無事なのは凄いことだ」
「あい!」
「我では
「はい、アインさんはよくやっていマス」
アインは心なしか元気を取り戻したように見えた。
「ぷぽ!」
ポポがぴょんこぴょんこと地面を跳ねている。
はいはい。
俺は地面に手をついて大地の力を流した。
俺を中心にすり鉢状の土地が肥えていく。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
なにやら地鳴りのような物が鳴り始めた。
遠くの崖の切れ目から水がドウと流れ込んでくる!
この地形はマズい!
「ここにいたら巻き込まれそうだ! 早く上がろう!」
俺は皆に声をかける。
俺たちは急いで端にむかった。
すり鉢状の土地はあっという間に大きな湖へと変わっていった。
水は透き通っていて、どこかから来たのか魚影も見える。
青とも碧とも言えるような綺麗な湖だ。
「ふぅ。あやうく飲み込まれる所だったな」
俺は額を腕で拭きながら出来たばかりの湖を眺める。
「ぷぽっぽ!」
俺の後頭部にしがみついたポポもご機嫌だ。
ルンもミョンミョンと上下運動している。
「うむ。見事な湖だな」
ミーシャが目を細める。
「あい、キラキラしてるます」
ノーナのアホ毛が左右に揺れている。
「ふむ。あと何箇所あるのだ? 婿殿」
ガーベラが伸びをしながら尋ねてくる。
「えっと……このままいけば、あと二箇所だな」
俺は反応のあった場所を指折り数えながら答えた。
「二箇所ですカ。キキは早く終わらせて温泉にでも入りたいデス」
顔を見あわせた俺たちは、同じ結論に至ったので次の場所へと足を向けた。
俺が大地の力を足先から流しながらたどり着いたのは、何かの砦のような場所だった。
ボロボロの砦のようなものは、所々黒ずんでいる。
まぁ、いるよなぁ。
俺たちは斜めに外れた扉をくぐり、中へと入った。
中は蜘蛛の巣が張っていたり、床が腐り落ちていたりと、なかなか荒れ果てている。
足元に気をつけて奥へとたどり着けば、そこには紫色の獣のような者がうずくまって向こう側を向いていた。
程々に天井も高く、石造りの部屋だ。
壁には松明の明かりがあり、ゆらゆらと中を照らしている。
ギシッ
俺たちが立てた足音にその獣が振り返る。
~~~~~
パズズ
悪魔
~~~~~
「皆、あの獣は悪魔でパズズというらしい!」
俺が鑑定結果を皆に伝える。
アインが前に出て盾を構えた。
「キシャアーーーッ」
パズズが威嚇の声を上げる。
見た目は猿型の魔物に、悪魔の羽が生えたようだ。
紫色の毛皮をまとっている。
ダッ ガシイイイイイイイン!
パズズがブワッと羽根を広げたかと思うと、突撃してくる!
それをアインが盾で阻む!
「シッ」
キン キンッ
ミーシャの連撃がパズズの長い爪に防がれる。
「むん」
ブオンッ
ガーベラの大ぶりの一撃をパズズはひらりと
バッ ヒュオッ
パズズはそのまま空中に飛び上がると両手を組んだ。
ブオン ブオン ブオン ブオン
魔法陣が四つ浮かび上がり、何かが召喚される。
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ミニデーモン
小さい悪魔
~~~~~
「ミニデーモンが召喚された!」
俺が鑑定結果を伝えると皆はそれぞれ身構えた。
俺も腰の妖精剣の柄を握り込んだ。
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