第167話 地獄の騎士






「シッ」


 キン キン キン ザシュ!

 ミーシャの連撃だ。

 巧みな剣さばきでミーシャの連撃を受ける骸骨戦士。


「むん」


 ズガアアアアアアアアアアアアン!

 ボロボロの骸骨戦士にガーベラの大ぶりの一撃が決まる!

 サラサラと白い粉に変わっていく骸骨戦士の一体。


「てぇい」


 ヒュッ カッ カッ ズン!

 キキの連続突きをなす骸骨戦士。

 こいつらなかなか剣さばきが上手いな。


 ドッ パアアアアアアアアアアアアアン!

 アインの体当たり気味のシールドバッシュからの右腕の一撃だ!

 既に半壊していた骸骨戦士を白い粉に変えていく。


「あい!」


 カッ! ズドオオオオオン!

 ノーナの雷魔術が地獄の騎士に刺さる!


「!……」


 地獄の騎士は一瞬動きを止めたが、脇構えに剣を構えるとやたらめったらに剣を振り回してきた。


 スパパパパパパパパパパパパパパパパン!

 無数の黒い斬撃だ!


 俺はすかさず無魔術の障壁を皆の前に広げる。


 ビシュ パシュ ドシュ ジュッ ドヒュ ビシュ

 黒い斬撃と障壁が相殺される。


「ぷぽぽ」


 いつの間にか俺の後頭部にしがみついたポポが何か言っている。

 ルンも頭の上でミョンミョンしているな。


―攻め時、か?

 俺は地面に手をつき、放出技を繰り出して隙のある地獄の騎士の拘束をはかる。


 胃が引き絞られるような感覚を味わいながら、俺は大地の力を流して重力操作を仕掛けた。


 ギギギ……ガシャン!

 地獄の騎士が重力に抗えず膝をつく!


「婿殿! 我がやる!」


 ガーベラの大剣が形を変える!

 刀身の真ん中からガシャンと二つに分かれ、真ん中にバチバチと魔力の剣が伸びてくる。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 ガーベラの竜化だ!

 背中から竜の翼が生え、手足が鱗に覆われていく。

 目の瞳孔が爬虫類のように縦に開く。


 ドッ

 ガーベラが前に疾駆する。

 バチバチと音を立てる大剣を構えて低空飛行し、地獄の騎士の前で高く舞い上がる。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 ギ……ギギギ……

 地獄の騎士が身じろぎをしている。

―そうはさせるかっての。

 俺は更に力をこめる。


 ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 天井付近から落ちるように飛び込んでいったガーベラの一撃が、地獄の騎士に決まる!


 唐竹割りのように真っ二つになる地獄の騎士。

 サラサラと白い粉に変わっていった。


「シッ」


 ザン! ザシュ! ザンっ!


「てや」


 ヒュガッ! ズンッ!


 ミーシャとキキも骸骨戦士を倒したようだ。

 こちらも白い粉に変わっていく。


「ぷぽっぽ」


 俺の後頭部からぴょこんと降りたポポが、地獄の騎士だった白い粉の山に向かう。


「ぷぽ!」


 ポポが白い粉の山からドス黒い勾玉のようなものを取り出してきた。

 小さな両手に持って掲げている。


 ひょうと一陣の風がボロボロの聖堂に吹くと、白い粉の山はさらさらと流れていった。

 後にドス黒い剣を残して。


―剣?


 俺は疑問に思いながらも鑑定をする。


 ~~~~~

 穢された聖剣

 *+}%$#

 ~~~~~


 ~~~~~

 邪神の破片

 #$+*&@

 ~~~~~


 ポポが両手に掲げているドス黒い勾玉のようなものは言わずもがなだが、穢された聖剣?


 俺はポポが持っているドス黒い勾玉のようなものを受け取り、大地の力を流し込んだ。

 すると、綺麗な透き通った青色の勾玉に変化する。


 綺麗になった勾玉を霧夢の腕輪にしまう。

 問題はこの剣だ。


「む、コウヘイ。その剣をどうするのだ?」


「あい?」


「我はなんだか触りたくないぞ」


「真っ黒なのデス」


「ああ、一応俺の大地の力で浄化できないかと思ってな」


 俺はドス黒い剣の柄を手に取り、大地の力を流す。

 これも、邪神の欠片や破片のように抵抗を感じるな。


 気合を入れて一気に流し込む!

 叩き伏せるようなイメージだ。


 ポロポロと黒いものが剥がれ落ちていき、黒い蒸気となって消えていく。


 ポワンっ

 剣全体が一瞬光ると神々しい剣に変わった。


 ~~~~~

 聖剣

 勇者の剣

 ~~~~~


 鑑定を通すとこのように出た。

 勇者って誰よ?


「なぁ、ミーシャ。この聖剣が勇者の剣って鑑定で出たんだが、勇者ってなんだ?」


「うむ。勇者とはおとぎ話に出てくる魔王を倒す者のことだな」


「あい?」


「うむうむ。我もそのおとぎ話はよく聞かせてもらったぞ、婿殿」


「キキは知らないデス」


「ぷぽ?」


 ふむふむ。とりあえず、そんなにメジャーなお話って訳じゃなさそうだ。


「この剣、誰か使う奴はいるか?」


「ミーシャには少し大きいな……」


「あうー」


「我には小さすぎるな」


「キキは槍があるのデ」


 俺も妖精剣とか全然使ってないからなぁ。

 とりあえず仕舞っておくか。

 俺は聖剣を霧夢の腕輪にしまい、辺りを見回す。


「ぷぽ!」


 ポポがぴょんこぴょんこしている。

 俺はまた地面に手をついて大地の力を流していく。


 戦いの余波を受けて、さらにボロボロになっていた聖堂のようなものが修復されていく。


 すごいな、現実世界じゃこうはいかん。

 俺たちは修復されていく様を眺める。


 俺を中心に綺麗になっていく聖堂のようなもの。

 いや、もう聖堂と言って差しつかえないか。


 修復された聖堂は差し込む陽の光を受けてキラキラと輝いているようだった。






――――――――――――


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