第166話 キラーパンサー






 ヒュガッ

 キキの一突きでキラーパンサーが白い粉に変わっていく。




 俺たちは綺麗な森と化した地帯から次の場所へとやって来た。

 ここは砂漠地帯だ。


 反応のあった場所にたどり着くと、待ち受けていたのがこのキラーパンサーだった。

 ピンク地に黒のヒョウ柄の毛皮の四足獣で、大型のネコ科のモンスターだった。


 しなやかな肢体で、体のバネを使い素早い攻撃を仕掛けてきた。

 しかしグレムリンほどではなく、アインが活躍してキラーパンサーの攻撃をいなしていった。


 上手く避けるキラーパンサーを皆でチクチクと攻撃していって、キキがトドメの一撃をいれたのだ。


 白い粉の中にドス黒い勾玉のようなものと、何かの破片のようなものが混ざっていた。


―今度はなんだ?


 俺は疑問に思いつつも鑑定をかけた。


 ~~~~~

 邪神の破片

 #$+*&@

 ~~~~~


 ~~~~~

 月の紋章

 月が象られた紋章

 ~~~~~


 ドス黒いやつはまぁ案の定だが、月の紋章とはなんだ?

 何かのパズルの一部みたいで他のパーツがありそうだった。


「なにかよくわからないものを落としたな」


 俺が疑問を口にする。


「うむ。ミーシャも分からないな」


「あいー」


「何かの儀式にでも使うんじゃないか? 婿殿」


「うーん、キキも分からないデス」


 とりあえず、俺はドス黒い邪神の破片に大地の力を流す。

 黒い汚れがポロポロと落ちるように透明度が増していく。

 すると透き通ったピンク色の勾玉に変化した。


―また色が違うな。


 俺は首をかしげながらも、霧夢の腕輪にしまい込んだ。

 今はこの砂漠に大地の力を通さないとな。


「ぷっぽっぽ」


 森の妖精モーギズが俺の腕から降りて砂漠の地面でぴょんこぴょんこしている。

 早くやれってか?


 俺は地面に手をついて大地の力を流し込んだ。

 俺を中心にみるみる土が肥えていく。

 砂でさらさらだった地面は黒い土に変わり、何かの芽が生えてくる。

 いつみても不思議な光景だ。


「うむ、コウヘイ。見事だ」


「あい!」


「やるな、婿殿」


「わぁ、緑の絨毯みたいデス」


 あっという間に砂漠は草原に変化した。

 青々とした膝丈の草が生い茂っている。


 風が緑の絨毯を撫でる。

 まるで風の形が分かるようだ。


「っぷぽ♪」


 モーギズが俺をよじよじと登る。

 腕の定位置まで来ると落ち着いたようだ。

 クリクリの目は草原の緑を反射している。


 俺はもふもふのモーギズの頭を撫でてやった。


「お前にも名前をつけてやらにゃいかんなぁ」


 俺はう~ん、と頭を巡らせる。

 顎に手をやり考えること数十秒。


「う~ん、ポポという名前はどうだろうか?」


「うむ? その妖精の名か? いいのではないだろうか」


「あい! ポポ!」


「うむ、良さそうだぞ。婿殿」


「はい、キキもいいと思いまス」


「ぷぽ♪」


 おおむね良さげだ。

 モーギズも喜んでいるように見える。


「じゃあお前の名前はポポな」


 俺はモーギズを撫でながら言った。


 ポワンっ

「ぷぽっぽ」


 モーギズが一瞬光る。

 お腹を短い手でカキカキするポポ。

 痒いのか?

 長い耳をピクピクさせて遠くを指差すポポ。


「ぷぽ!」


 行くぞ! ってか?

 俺は苦笑しながら次の場所の方へと顔を向けた。



 俺は足先から大地の力を流すようにして歩いた。

 俺たちの通った後は草が生えてくる。


 しばらく進むと、目の前に寂れた聖堂の様な物が現れた。

 ボロボロの聖堂のような建物は怪しいオーラを出している。


 俺たちは半ば朽ちている入り口をギイっと開き、中に入る。

 中は蜘蛛の巣が張り巡らされており、薄暗い。


 礼拝堂らしき奥に何かが佇んでいる。

 黒っぽい甲冑姿の置物か?


 いや、違う!

 俺は鑑定を通す。


 ~~~~~

 地獄の騎士

 冥府の番人

 ~~~~~


「あの甲冑は地獄の騎士というらしい。みんな気をつけろ」


 俺は鑑定結果を元に警告を発する。


「うむ」


「あい」


「ふむ、腕がなるぞ。婿殿」


「はい、気をつけマス」


「ぷぽぽ」


 ガシャン!

 黒っぽい甲冑は剣を抜き、騎士の礼のように剣を捧げる。


 ブオン ブオン ブオン ブオン


 魔法陣が現れ、何かが召喚されてくる!


 ~~~~~

 骸骨戦士

 冥府の戦士

 ~~~~~


 四体の骸骨戦士が追加された!


「骸骨戦士だ!」


 見た目そのままだが、一応鑑定結果を皆に伝える。


「あい!」


 カッ! ズドオオオオオン!

 ノーナの雷魔術が扇状に広がる!


「シッ」


 カィン キン

 ミーシャの連撃が骸骨戦士の剣と盾に阻まれる。


「ぬん」


 ドッ ズガアアアアアアアアアアアアン

 ガーベラの大ぶりのぶちかましだ。

 骸骨戦士の一体は後方にふっ飛ばされる。


「てぇい」


 ヒュガッ キン

 キキの連続突きの初撃が入る、が追撃は阻まれた模様。


 ドッ ズドオオオオオオオオオオン

 アインのシールドバッシュからの右ストレートがモロに骸骨戦士に入った。


 電撃から立ち直った地獄の騎士が上段に構える。

―なにをする気だ?


 地獄の騎士の剣が黒い蒸気を生み出したかと思うと、その場で剣を振り下ろしてきた。

 黒い斬撃が宙を飛ぶ。


―間に合え。

 俺は無魔術の障壁を展開。


 ドッ ビシュッ

 黒い斬撃は俺の障壁と相殺した。


 ふぅ。アイツ遠距離もいけるのかよ。

 俺は額の汗を拭う。


 アインが慌てて後方に戻って来た。


「アイン、俺に気を使わず敵を殲滅するんだ」


「ぷぽぽ!」


 ルンが俺の頭の上でミョンミョンとアインに何かを伝えている。

 アインは少し迷った雰囲気を出したが、頷いて前衛に戻っていった。






――――――――――――


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