第149話 虚空のダンジョン






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 階層ボスの報酬

 罠・なし

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 現れた宝箱は罠が無かったので、皆に伝えて俺が開ける。


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 トライデント

 丈夫な槍

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 青珊瑚の胸当て

 丈夫な胸当て

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 潮風のローブ

 水の魔力アップ

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 真珠(特大)

 とても大きな真珠

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 その他宝石類、だ。


 リヴァイアサンベビーのドロップは魔石と大きな牙に尾びれだった。


「さて、分配をどうするか」


「うむ。ミーシャは宝石でいいぞ」


「マスター、ワタシはこのメイド服がありますので」


「じゃあ、ボクが胸当てをもらってもいいかな?」


「あい。のーなも、どらごんろーぶがありまつ」


「なら、妾は真珠でも貰うかの」


 ということで青珊瑚の胸当てがクーデリア、特大の真珠がゼフィちゃんの手に渡った。

 その他の物は俺が一時的に預かった。


 その後はティファの案内でコアルームへと行き、俺がダンジョンコアに大地の力を流してからコアの統合をした。

 転移で入り口の転移石に戻る。


「……意外とは早かったわね。お姉ちゃんもっとかかるかと思ってましたー」


 エウリフィアと合流し、また海を割ってもらいつつ天龍の背に乗って拠点へと戻る。


「そろそろ土木工事も終わっているかもしれないのじゃ。妾は一度、神樹の森に戻るのじゃ」


 そう言いつつゼフィちゃんは倉庫の地下に向かっていった。

 何故かルンもついていく。

 それを指を咥えて眺めるノーナ。

 アホ毛がゆらゆらと揺れていた。




 次の日。

 魔大陸七大迷宮の残すところ最後の迷宮、虚空のダンジョンと呼ばれるところへとおもむく。


 メンバーは俺、ミーシャ、アルカ、ティファ、クーデリア、ガーベラにアインとツヴァイだ。

 ヴェルとアウラは三人娘がよく面倒を見ていてくれるようだ。

 ルンはなにやらゼフィちゃんについて行っているからな。


「ええ~。あそこのダンジョンに行くの~?」


 エウリフィアがうへぇという顔をする。


「何かあるのか?」


 俺がしかめっ面をしているエウリフィアに聞いてみた。


「お姉ちゃん、あそこ嫌い~。あそこはね別名“自分と向き合う”ダンジョンなのよ」


 なんじゃそら。

 今までと毛色が違うということか?


 俺たちは天龍のエウリフィアの背に乗って虚空のダンジョンへと向かった。

 虚空のダンジョンは深い渓谷の中にあった。


『それじゃ、終わったら笛で呼びなさい~』


 エウリフィアは俺たちを下ろすと、降り立つのも嫌なのか天龍の姿のまま言い放つ。

 その場から上昇していった。


 日も差さない深い渓谷にポッカリと不気味に口を開けた洞窟。

 ここが虚空のダンジョンか。

 虚空っていうくらいだから空にあるのかと思ったぜ。


 中に入って洞窟の中をすすむ。

 時折、頭を剃った修行僧の様な人たちとすれ違った。

 修行僧の人たちは俺たちをちらりと一瞥するのみだった。


 奥にある転移石にティファが手を触れ目を閉じる。


「……これは。マスター、奥で分断される恐れがあります。ルフィ、皆に風の加護を」


 ティファの髪に絡まっている風の精霊がパタパタと羽根を扇ぐ。

 すると、俺たちの体の周りに風のヴェールが出来上がった。

 体が軽く感じられる。


「では、行きましょう」


 皆がティファに触れて最下層へと転移した。



 百階層。

 そこはまるで宇宙空間のような暗い空間がどこまでも広がり、足場となる大きな岩がポツポツと浮かんでいた。


「これは……すごいな」


 俺は思わず呟いた。

 今まで見たことも想像したことも無いような場所だ。

 神秘的ですらある。

 遠くに星の輝きのようなものも見えた。


 ティファが掛けてくれた風の加護のお陰で、なんなく次の足場へと跳躍する。

 まるで月面でジャンプする宇宙飛行士のようだ。

 皆で固まって移動した。


 するととある足場の地面が怪しく光る!

 魔法陣だ。


「うおっ!?」


「む」


「あなた様!」


「わわっ。ボク何か踏んじゃった!?」


「婿殿、警戒を」


「マスター、あなたなら大丈夫です」


 ティファの言葉を最後に俺は意識が遠のいた。




「はっ!?」


 気が付いた時には俺は一人だった。

 キョロキョロと辺りを見回す。

 そこは真っ暗な空間だが、何故か目が通った。

 先程までの、星が瞬いていて足場の岩が点在する空間とは違っていた。


 持ち物を確認してみると、装備はちゃんとある。

 ティファが注意を促していたが、しっかりと分断されてしまったようだ。


―とにかく出口を探さねば。

 俺は真っ暗な空間の中を一人歩き出した。



 ……どれくらい歩いただろうか。

 さっきまで皆と一緒にいた気もするし、ずっと一人で歩いているような気もする。

 ミーシャ、アルカ、ティファ、クーデリア、ガーベラは無事だろうか。


 虚空の暗闇の中、考え事をしながら俺は歩いた。


 ミーシャ。猫耳の少女。

 今では良き相棒だ。


 異世界に来た時はよく常識を教えてもらってたっけ。

 今でも何かあった時はミーシャに頼ってしまう。

 俺ももう少し頼りになる男にならないとな……。


 アルカ。エルフの少女。


 最初はボロボロの姿をしていたっけ。

 そんな状態でも凛とした佇まいだった。

 魔障という自分の死期を突きつけられても、俺はアルカのようにいられるだろうか。

 きっと泣きわめき、醜態をさらし、いじけてしまうに違いない。


 ティファ。ホムンクルスの少女。


 ダンジョンコアの端末だが、最近は随分と人間らしくなった。

 よく俺に大きな期待と信頼を寄せてくれる。

 俺は平均平凡が取り柄のなんでもない男なんだけどな。


 クーデリア。ドワーフの少女。


 クーデリアも一人で俺のところへ来たっけ。

 国のためとは言え、随分と責任感の強い子だ。

 普段はそんな素振りは見せないが。


 ガーベラ。竜人族の少女。


 元いた世界の後輩。小鳥遊たかなし 夏海なつみに瓜二つだ。

 最初に見た時は驚きで固まってしまったっけ。

 常に前向きで真っ直ぐな子だ。


 拠点で留守番していてくれる子たちのことも思う。

 みんないい子だ。


 こんな俺なんかにはもったいない・・・・・・・・・・・・






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