第148話 リヴァイアサンベビー






 ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!


 激しい音に迫りくる水圧。

 俺たちは凄まじい勢いの水流にとらわれていた。


 クッソ! 身動き取れねえ!

 それもこれもあの敵のせいだ。


 ~~~~~

 リヴァイアサンベビー

 とても強い

 ~~~~~


 俺たちが最下層の海底を進むと、彼方の方から嵐のような水流とともに現れたのがヤツだった。

 しかもクソデカいときたもんだ。

 これでベビーかよ。

 蛇のような体をくねらせ、凄まじい水圧の波を起こす。


 これ、ヤツが移動しているだけなんだぜ?

 水流のあおりを受けながら、何とか出来ないかと頭を巡らす。


「あい!」


 ノーナが両手を広げて何やら力んだ。

 ノーナの胸元が青く光っている!


 ゴアアアアアアアアアアアアアアアア……

 嵐のような水流が止んだ。


「ノーナ! よくやった! シッ」


 ダンッ タッ ザン! ザシュ!

 空歩で跳んだミーシャがリヴァイアサンベビーへと連撃!


「ギャオオッ!?」


 リヴァイアサンベビーは油断していたのか、自分の水流がかき消えて困惑していたところへミーシャの連撃が決まる。


「狙い目です」


 ヒュガッ パキパキパキ

 リヴァイアサンベビーの体の一部が凍りついていく。


「ボクだって! ……やってやるんだからっ!」


 バキン ドンッ!!

 クーデリアのアームギアの腕の付け根部分が変形! 腕の形をした鉄塊が飛んでいく!

 ロケットパンチだ!


「グギャッ!」


 リヴァイアサンベビーの顎先に刺さるロケットパンチ!

 腕の形をした鉄塊はくるくると旋回しながらクーデリアの腕へと戻っていく。


「マリンちゃん、今なのじゃ」


 スパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパン!

 数え切れない水刃がリヴァイアサンベビーを襲う!


「ギュオオオオッ」


 多数の傷を負ったリヴァイアサンベビーがその身をよじる。

 体を仰け反らせ、喉のあたりを発光させるリヴァイアサンベビー。


「ブレスが来るぞ!」


 俺が危険を告げる。


 ギョバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!


 アインとドライが盾を掲げて前へと出る。


「させません」


 ヒュガッ ズン!

 ティファの氷魔術で盾が張られる!


 おりゃ!


 ピキイイイイイイイイイン!

 俺も無魔術で盾を張った!


 ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!


 極太の閃光が俺たちを襲う。


 ビシビシビシ バキッ!

 パリイイイイイイイイン!


 ティファと俺の張った盾が破られる。


「む。マリンちゃん」


 水の精霊の腕が振るわれ、水のヴェールが俺たちを覆った。


 ジョワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!


 極太の閃光は俺たちの目の前で何条にも別れて後方へとふり注ぐ!

 水が蒸発する音とイオン臭の様なものが辺りに立ち込めた!


 水の精霊のマリンちゃんが力を使い果たし、幼児の姿になる。


「マリンちゃんは大丈夫か? その、俺たちもマリンちゃんのお陰で水中で活動できているわけだが……」


 俺は疑問に思い、ゼフィちゃんに問いかける。


「うむ。もう大技は放てんが、大丈夫なのじゃ」


 大丈夫なら良かった。

 俺はリヴァイアサンベビーに向き直り、地面に手をつく。

 海中だが、どうだ!?


 ズウウウウウウウウウウウウウウウウウン!


「ギュオアアアアアアアッ!?」


 ぐっ……よし! うまく重力の枷にヤツを閉じ込められた!


「マスター、ワタシが」


 ヒュガッ パキパキパキパキパキパキパキパキパキ……

 ティファがそう言うと氷の魔術を発動して巨大なギロチンの様な刃をリヴァイアサンベビーの頭上に発現させる。


 ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


 リヴァイアサンベビーの首筋に巨大な氷の刃が入る!

 しかし、途中で止まり、それ以上入っていかない。


 ティファが前にかざした手がプルプルと震える。


「マリンちゃん、援護なのじゃ」


 水の幼女精霊が腕を上から下へと降った。


 ゴアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

 ダウンバーストのような海流が起こる!


 メキメキメキメキメキメキメキメキ……

 しかし未だ、リヴァイアサンベビーの首を落とすには至らない。


「ルフィ、見ていないで手伝いなさい」


 ティファの髪に絡まりジタバタしていたクリオネ、もとい風の精霊がハッとしたかと思うと羽根をゆるりと上から下に降った。

 さらに下への海流を強くするものだったが、まだ足りない!


「あい!」


 ノーナが見覚えのあるロッドを頭上に掲げる!

 星屑のロッドだ。

 ここで使うのか!?

 魔力がロッドに込められていく。


 キイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!

 耳鳴りのような高い音が鳴ったかと思うと、俺たちのはるか頭上に大きな魔法陣が現れ、何かが出てくる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


 プチメテオとは名ばかりの大きな隕石が頭上に現れた!


 ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!


 プチメテオがティファの氷の刃ごとリヴァイアサンベビーを飲み込んだ。

 後にはザアっとドロップアイテムに変わっていくリヴァイアサンベビーの姿があったのだった。






――――――――――――


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