第147話 海底洞窟






「みんな、欲しいものはあるか? この剣とかどう使うんだろうな?」


 俺はおもむろに妖精剣と言われる柄を掴んでみた。


 ブウウウン!

 おわっ!?


 柄を握ると緑色の魔力の刀身が現れた!

 これは、これは……ライ○セーバーじゃねえか!


 ブウン! ブオオン!

 俺は皆から離れて妖精剣を振り回して遊ぶ。


「ふむ。コウヘイはその剣が気に入ったようだな」


 ミーシャが苦笑しながら俺を見つめる。


「うむ。するとこの竜血の血魔剣とやらも同じたぐいか?」


 ガーベラが宝箱から魔剣の柄を取る。


 ブシュゥ!

 ガーベラが握った柄からは三方向に魔力の刃が飛び出た。

 まるで逆さまにした十字架のようだ。


「おお、ガーベラのもかっこいいな!」


 ブンッ……

 俺はニコニコとしながら妖精剣の刀身をしまう。


「しかし我には軽すぎるな。こう軽くては落ち着かん……」


 オ“オ”オ“ン ブオ”オ“ン

 ガーベラが血魔剣を振りながら答える。


「あなた様、この飛行石とやらも使い道が分かりません」


 飛行石と言われるソレは青い光を鈍く発しながら宙に浮いている。

 確かに、何に使うんだろうなコレ。


「ブーツなんかは中々よさそうだぞ? 空歩が出来るみたいだし」


「ミーシャは風精のマントがあるからな。十分だ」


 ミーシャは今回はいいみたいだ。


「我も自前の羽があるからな……」


「では、あなた様。私はブーツを希望します」


「ティファはいいのか?」


 俺がティファに尋ねる。


「ええ、マスター。それよりも早いところ済ませましょう」


 という事で妖精剣は俺、シルフィブーツはアルカの手に渡った。

 他のものは俺が霧夢の腕輪に一時預かった。



 俺たちはティファの案内で玉座の奥の扉から転移石の間へ。

 ティファが転移石に触れて更に下へと続く隠し扉を開く。


 皆でコアルームへとおもむき、俺がダンジョンコアに大地の力を流す。


「チチチ……これは~、すごいですね~……チチチ」


 なんかお花畑っぽいコアだな……。

 俺がそう思っているとコアの統合を促すウィンドウが立ち上がる。

 俺は“はい”を選択した。


「チチチ……なんだか~久しぶりに~、地上に降りたくなってきました~……チチチ」


 ティファの話しでは、このダンジョンは周期的に地上に降りるらしい。

 それで地脈の力を得ているのだとか。


 俺たちは転移でだだっ広い玄関ホールに戻り、笛を使ってエウリフィアを呼び出して拠点へと戻った。




「次のダンジョンには妾もいくのじゃ!」


 拠点に戻るとゼフィちゃんが鼻息も荒く息巻いていた。


「叔母上、温泉の方はいいのですか?」


「うむ。しばらくは土木作業なのじゃ。妾は邪魔だから追い出されてしまったのじゃ」


 ヨヨヨと泣き真似をするゼフィちゃん。

 火精霊のサラちゃんがゼフィちゃんの長い耳をあむあむと噛んでいる。


「くっ 私はまた巫女の仕事が入っています……あなた様、叔母上を頼みます」


 アルカはそう言うと倉庫の地下へと歩いていった。




 次の日。

 エウリフィアに貢物(ハンバーガーセット)をして次のダンジョンへと向かう。

 メンバーは俺、ミーシャ、ティファ、ノーナ、クーデリア、ゼフィちゃんにアインとドライだ。


「なぁ、フィア。こんなところにダンジョンなんてあるのか?」


 俺がエウリフィアに尋ねる。


『ここらへんにあるはずよ~。お姉ちゃんに任せなさい!』


 天龍状態のエウリフィアが答えた。

 俺たちが今いるのは大海原の上空、の天龍の背の上である。


『たしか~、ここらね~』


 エウリフィアがそう言うと、何やら魔術の発動を感じる。


 ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

 海がエウリフィアの魔術により割れていく!


 まるで両脇が滝のようになっている海の海底目掛けて飛ぶエウリフィア。

 たどり着いた海底には、ポッカリと口を開けた洞窟が俺たちを出迎えた。



 洞窟の入り口で俺たちを下ろすと人型になるエウリフィア。


「割っている海を元に戻すから、水中呼吸できないと死ぬわよ~」


 伸びをしながらエウリフィアがそんな事をいう。


「えっ!? そうなのか? 困ったな……」


「うむ。妾の出番なのじゃ! マリンちゃん」


 ゼフィちゃんの呼びかけに応える水の精霊。

 俺たちの体の周りに水のヴェールが出来上がった。


「これで水中でも問題なく活動できるのじゃ!」


 おお! これはいいな。


「今回はお姉ちゃんここで待ってるわね。早いとこ片付けてきてよ?」


 エウリフィアはそう言うと、壁に寄りかかり腕を組んで目をつぶる。


「じゃあ、行くか」


 道行く途中で海人族とすれ違うと、俺たちを見てギョッとしていた。

 膝下まで水に浸かりながら歩くと転移石が設置してある場所につく。

 ティファが転移石に手を触れ、目を閉じる。

 程なくして、


「行きましょう、マスター」


 と、目を開けてティファが言う。

 ティファの両目には何かの文字が光って流れていた。


 皆がティファに触れて最下層へと転移。

 転移したその場所は何処かの海底のようだった。


 おわっ!? いきなり水中かよ! びっくりした。

 体の周りの水のヴェールが海水を遮って普通に呼吸が出来る。

 幾分か重さを感じるが、ほぼ地上と同じ様に行動が出来た。


 ゼフィちゃんをちらりと見ると、フフンと無い胸を反らしている。

 まぁ、確かにすごいよ……マリンちゃんがな!






――――――――――――


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