第142話 レッドドラゴン
「今度は洞窟か」
溶岩地帯での接敵を避け、最下層へ。
ちょっとした開けた場所で、バカでかい扉が目の前にある。
精緻な彫刻はドラゴンを模している。
ここも竜か!
「相手に不足は無いようだな、婿殿」
ガーベラがうんうんと頷きながら言う。
扉を皆で開き、中に入ればご対面だ。
~~~~~
レッドドラゴン
赤い竜。とても強い。
~~~~~
赤いのは見れば分かるさ! と言わんばかりの鑑定結果である。
相変わらず無駄に高性能で、無駄に凡骨だ
「ボスはレッドドラゴン!」
俺が鑑定結果を叫ぶ。
ズウウウウウウン! と入り口の扉が閉まった。
レッドドラゴンの縦に裂かれた瞳孔が俺たちを捉える。
ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
レッドドラゴンの咆哮だ!
ビリビリと空気が振動する!
「シッ」
ザン! ザシュ!
ミーシャが空歩で飛び、レッドドラゴンに手傷を負わせる。
「ガアアッ」
腕で振り払うレッドドラゴン。
ヒュガッ パキパキパキ
ティファの氷の盾がレッドドラゴンの足にまとわりつく。
「婿殿、最初から全力で行く!」
ガーベラの大剣がバキン! と開く!
二つに分かれた刀身の間から、バチバチと音を立てながら魔力の剣が伸びていく!
俺も地面に手をつき、レッドドラゴンを拘束するべく大地の力を注ぎ込んだ。
ぐうっ。キツいぜ。
「ギャオッ!?」
ズウウウウウウウウウウウウウウウウウン!
レッドドラゴンの巨体を重力の枷により地面に縫い付けた!
「ガガガッ」
レッドドラゴンは無理やり首を俺たちの方に向けると口を大きく開いた。
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
レッドドラゴンのブレスだ!
極太の赤い閃光が俺たちに向けて放たれる!
ザッ
アインが前でドラゴンシールドを構える。
「させません」
ヒュガッ パキパキパキ
ティファの氷の盾が張られる。
ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
ビシビシビシ バキイイイイイイイイイイイイイン!
ティファの氷の盾が破られる!
「む。いかんのじゃ。サラちゃん」
ゼフィちゃんの長い耳をあむあむと噛んでいた火の精霊が首を上げる。
ゴアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
極太の赤い閃光が不可視の壁に当たり、幾筋もの閃光に別れて後方へと着弾する。
辺りの視界がゆらゆらと蜃気楼のように揺れた。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
ガーベラの持つ大剣がバチバチと唸りを上げて振動する!
ガーベラの瞳孔が縦に割れ、背には竜の翼が現れる。
手足にも竜のうろこがびっしりと出てきて覆われた。
「斬り落とす!」
ガーベラが叫ぶと前に跳んだ。
背の翼を広げて低空を滑空し、レッドドラゴンの手前で急上昇。
ガーベラが高空で反転するとレッドドラゴンの首目掛けて落下してくる。
一つの流星のように赤く輝き、落ちてくるガーベラ。
ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
土煙が晴れると、地面に大剣を突き刺したガーベラが見えた。
側にはレッドドラゴンの斬り落とされた首がごろりと転がっていて、ザアっとドロップアイテムに変わっていく。
「みんなお疲れ様」
俺が皆を労う。
ルンも俺の頭の上でミョンミョンとご機嫌だ。
「うむ。ミーシャももう少し貢献できるようにならなければいけないな……」
ミーシャは少し不満げだ。
俺はよくやってくれていると思うけどな?
「これで竜の試練を超えられたかと思うと感慨深いぞ、婿殿」
ガーベラが大剣をバキン! と元に戻しながら言う。
竜王国では最下層の竜を倒すのが試練なんだっけ?
それならば、なによりである。
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階層ボスの報酬
罠・なし
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「お、この宝箱は罠が無いみたいだぞ」
宝箱を開ける。
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星屑のロッド
プチメテオを放てる
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オリハルコンのインゴット
オリハルコンの塊
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フレイムタン
炎の剣、火槍を作り出す。
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アームギア
ロケットパンチを放てる
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その他ポーション類、だ。
「誰か欲しいものはあるか?」
俺が皆に尋ねる。
「うーむ。炎の剣はミーシャには長すぎるな」
「うむ。我も特に欲しいものは無いぞ」
ミーシャとガーベラはパス、と。
「ティファ、このロッドなんてどうだ?」
「いえ、マスター。ノーナにでも与えて下さい」
「うむうむ。妾も十分なのじゃ。火精霊と契約できたしのう」
という事で、剣は俺、その他も一時俺が預かることになった。
レッドドラゴンのドロップアイテムは魔石と牙に翼膜だった。
これも加工すれば何かに使えるかな?
そんな事を思いながら、霧夢の腕輪に放り込まれた。
俺たちはティファの案内でコアルームへ行った。
鈍く輝くダンジョンコアの前でティファが無言のやり取りをした後、俺が大地の力を流し込む。
ここのダンジョンも統合されることに否はなかった。
転移で地上へと戻り、街で一番大きい温泉宿に行くとエウリフィアが先に泊まって待っていた。
「お疲れ様~。お姉ちゃん、もう一風呂入ってくる~」
だらけた駄竜もといエウリフィアの後に続いて、女性陣はいそいそと温泉にむかうのだった。
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