第141話 アイオリス火山へ






「なんか変なヤツだったな」


 俺は疑問に思いながらもリビングデッドアークのキャプテンムックが落としたドロップアイテムを拾う。

 ドロップアイテムは魔石と三角帽子トリコーン、カットラスだった。

 ヘルグールは魔石と長い爪を落とした。

 しかし帽子とカットラスなぁ、海賊ごっこでもしろとでも言うのか。


 ~~~~~

 階層ボスの報酬

 罠・呪い

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 俺はいつの間にか現れた宝箱を鑑定する。


「ミーシャ、呪いの罠だ」


「ふむ、上級の罠だな。少し時間をくれ」


 ミーシャがカチャカチャと宝箱をいじる。


「ノーナ。狙われていたみたいけど大丈夫だったか?」


 俺はノーナの方に向き直り、様子を確かめる。


「あい! あいんが守ってくれました!」


 ぴょこんとノーナが手を上げるとアホ毛も一緒に揺れた。


 カシャカシャ……カチャリ


「うむ。開いたぞ」


 ミーシャが宝箱を開ける。


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 精霊珠

 海の精霊の力が宿っている

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 ローズクォーツのイヤリング

 魔力、スタミナアップ

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 アクアマリンのペンダント

 水の魔力アップ

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 その他多数の宝石類、だ。


 今回は宝飾品が多いな。

 さすがは海賊のお宝と言ったところか?

 留守番組のお土産にもいい。


 精霊珠はノーナが珍しく欲しがったのでノーナに、イヤリングはガーベラ、ペンダントはクーデリアに渡った。


「マスター、コアルームへ行きましょう」


 ティファの案内で、奥の転移石のある部屋から、隠されていたコアルームへと続く扉を開き皆で赴く。

 さらに下に降りればコアルームだ。


 ここでもティファがコアとなにやら交渉し、俺が大地の力を流し込んだ。

 コアの統合とやらも済ませた。


 その後は地上まで皆で転移し、甲板から笛でエウリフィアを呼んで一度拠点へと戻った。




「ずーるーいーのーじゃー! 妾も行くー!」


 駄々をこねているのはエルフの幼女だ。

 いや、神樹の森の女王様な。これでも。


「叔母上、執務はどうなりますか?」


 アルカが眉をピクピクさせながらゼフィちゃんに問いかける。


「うむ! 直近の執務は滞りなく済ませた!」


 えっへん! と平らな胸を張るゼフィちゃん。


「くっ……私は巫女の仕事で行けません……あなた様、叔母上をどうかよろしくお願いします」


 アルカがペコリと頭を下げる。

 という事で、俺、ミーシャ、ティファ、ガーベラ、ゼフィちゃんとアイン、ツヴァイを連れて次のダンジョンへ。


「もぐもぐ……じゃあ、お姉ちゃんが運んであげますねぇ」


 ハンバーガーを食べながら駄龍、もといエウリフィアが言った。

 ヴェルとアウラの世話は留守番組に任せる。



 俺たちはエウリフィアの背に乗って次のダンジョン、アイオリス火山へと向かうのだった。



 アイオリス火山の麓の街へと行く。

 ここは温泉街のようで、逗留客で賑わっていた。


「温泉……」


 ティファが珍しく物欲しそうな顔で呟く。


「終わったら俺たちも一泊しようぜ!」


 俺が皆に声をかけた。

 銘々にうなずき、キョロキョロと周りを見ながらダンジョンのある建屋へ。


 ティファが設置してある転移石に触れ、目を閉じる。


「行けます、マスター」


 ティファが開いた目には何かの文字が流れている。

 皆がティファに触れて転移。


「八十九階層へ」


 浮遊感を覚えるとそこは溶岩の海だった。

 ポツポツと足場のように小さな島が並んでいる。


「こりゃあまた骨が折れそうだな」


 俺が辺りを見回しながら呟く。

 溶岩は煌々と辺りを照らし、熱を放っている。

 うだるような暑さだ。

 頭の上のルンがベチャッと潰れる。


「むう。暑くてかなわんのじゃ。マリンちゃん」


 ゼフィちゃんの呼びかけに水の精霊が応える。

 水の精霊が腕を振ると、俺たちの周りに水のヴェールのようなものが張られた。

 こりゃあ良い。涼しくなった。

 ルンも形を取り戻し、ミョンミョンと元気だ。


 んん? ゼフィちゃんの顔の横に何かついてるぞ?


「ゼフィちゃん。その顔の横の奴はなんだ?」


「む? のわっ!? なんか耳がムズムズすると思ったのじゃ!」


 ゼフィちゃんの長い耳に何かずんぐりとした小さなトカゲのようなものがかじり付いていた。


 ~~~~~

 サラマンダー

 火の精霊

 ~~~~~


 俺が鑑定すると、そのように書かれていた。


「ゼフィちゃん! 火の精霊のサラマンダーだ!」


 俺がゼフィちゃんに告げる。


「なに!? 火精霊じゃと!? これは契約せねばなのじゃ!」


 ゼフィちゃんがガシッとサラマンダーを掴むと、顔の前に持っていく。

 なにやら見つめ合う両者。

 サラマンダーはクリっとした目で首をかしげている。

 な~に? とでも言いたそうだ。


「妾、ゼフィランサス=セフィロトスの名のもとに、寄り添ってくれると誓うか?」


 ボッ! と口から火を吐き、つぶらな瞳でゼフィちゃんを見つめるサラマンダー。


「うむうむ。良きかな。では今からお主はサラちゃんなのじゃ」


 またボッ! と小さな火を吐くサラちゃん。

 これが精霊との契約か。

 意外と簡単なんだな。

 俺はすんなりと契約したゼフィちゃんを見てそう思った。


 実際はもっといろいろと条件なんかがあるんだろうけどな。






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