第139話 幽霊船






 ボロボロだった周りの景色は一転、どこかの豪華客船かと見紛うような綺麗な船内に変わった。

 廊下の燭台には明かりが灯されており、ぼんやりと辺りを照らしながら揺れている。


「随分と雰囲気が変わったな」


「うむ、コウヘイ。なかなか趣があるな」


「マスター、下はこちらですね」


「婿殿。我はこの様な豪華な船は初めて乗るのだ」


「わぁなんかキラキラしてるね。ボクは船が苦手で、なんとも……」


「あい! きらきら!」


 クーデリアがなんか青い顔をしているぞ!? 大丈夫か?

 皆がキョロキョロと船内を見回しながら、ティファの示す方向へと進む。


 廊下の突き当りには大きい扉が待ち構えていた。

 なにかのホールか? 多目的ホールのようなものかも知れん。


 ギイイイイイイイイッと音を立てながら扉を開いて中に入る。

 皆がホールの中に入るとバタンッ! と入り口の扉が閉まった!


 ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!

 辺りに誰とも知らない薄気味悪い笑い声が響く!


 そこらに置いてある像の目が怪しく光る。

 壁に掛けられている肖像画の目がギョロギョロと動く。

 部屋の照明がチカチカと明滅する。


 まず現れたのはゴーストだった。

 薄黄緑色にぼんやりと体全体を発光させている。

 とにかく鑑定だな。


 ~~~~~

 ヘルゴースト

 物理無効

 ~~~~~


 ブウン! ブウン!

 ミーシャの連撃だ。しかし当たらない!


「む。切れん」


 ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ

 空振りをしたミーシャをあざ笑うゴーストたち。


「ミーシャ! ヘルゴーストだ! 物理無効だ!」


「あい」


 カッ! ズドオオオン!

 ノーナの放った雷魔術が放射状に伸び、数体のゴーストを巻き添えにする。


 ヒュエエエエエエエエエエエ……

 ザアっとドロップアイテムに変わるヘルゴースト。

 しかし数が多い!


「えい」


 ヒュガッ ヒュエエエエエエエエエエエ

 クーデリアが氷雪の指輪から氷矢を生み出す。


「その手があったか!」


 ヒュカッ ヒュエエエエエエエエエエエ

 ミーシャの疾風の指輪から風矢が放たれた。


 次々とドロップアイテムに変わっていくヘルゴースト。


「婿殿、我は遠距離手段がないぞ」


 ガーベラは手持ち無沙汰でノーナの護衛をしている。


 ヒュガッ パキパキパキ バキイイイイイイイイイイイイイン!

 ティファの氷の魔術で周りのヘルゴーストを氷漬けにして一掃する。

 粉々に砕けた氷の粒がキラキラと反射して辺りに飛び散った。


 ガコガコ ガコン!

 何か岩でも動かしたような音が鳴り響いたと思ったら、周りの像が動き出した!

 こいつらも敵だったのか!?

 俺は鑑定を通した。


 ~~~~~

 インテリアガーゴイル

 魔法無効

 ~~~~~


「インテリアガーゴイル! 魔法無効!」


 俺が叫んで皆に鑑定結果を伝える。


 ザッ ズガアアアアアン!

 アインが前に出て、右腕を振るう!

 右ストレートがインテリアガーゴイルの一体に入った!

 ザアっとドロップアイテムに変わるインテリアガーゴイル。


「それならばっ。てい」


 ゴアッ ズガアアアアアン!

 クーデリアのジェットハンマーがインテリアガーゴイルに刺さる!

 ガラゴロゴシャアッ!

 後続のインテリアガーゴイルを巻き添えにし、ぶっ飛ばした!


「シッ」


 ザン! ザシュ! ザン! ザシュ!

 ミーシャの連撃が今度こそ決まる!

 次々と首を狩られて溶けるインテリアガーゴイル。


「むん!」


 ドッ パアアアアアアアアアアアン

 ガーベラの大ぶりの大剣に切られて、体を上下に泣き別れされるインテリアガーゴイル。


 よしよし。今んとこみんな余裕そうだな。

 この前のベヒーモス戦のように油断しないように気をつけて、と。


 ガタガタガタ

 壁にかけられた肖像画が揺れながら音を出した。

 なんだ!? 建付けでも悪いのか?


 肖像画に思わず目をやると、絵から赤黒い腕が伸びてくる!


「あい」


 カッ! ズドオオオン!

 すかさずノーナが雷魔術を放った!


 赤黒い腕はビリビリと痙攣したかと思うと、シュルリと元の絵に戻ろうとする。

 ええい! 鑑定だ!


 ~~~~~

 ミステリックハンド

 絵の中に潜む

 ~~~~~


「絵の中に腕が潜んでいるぞ!」


 俺が皆に伝える。


「はい、マスター」


 ヒュガッ ヒュガッ ヒュガッ パキパキパキ

 ティファが氷の魔術を放ち、肖像画の表面を凍らせた。


「いきます。えいやっ」


 ゴアッ ズガッ メキャッ ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ

 クーデリアの可愛い掛け声で振られたジェットハンマーが肖像画を叩き潰した!

 次々と氷漬けにされた肖像画を殴りつけていくクーデリア。

 事情を知らない人が見たら、狂ったとでも思われそうだ。


 ザッ ズガアアアアアン!

 アインの大ぶりの右が唸る!

 攻撃を受けてザアっと溶けるように消えていくインテリアガーゴイル。

 しかし数が多いな。


 俺は地面に手をつき、大地の力を床に流す。

 床は木製だからな。


 ズモモモモ

 床の板が変形してインテリアガーゴイル共を地面に縛り付けた。


「シッ」

「勝機!」


 ミーシャとガーベラが次々と地面に縫い付けられているインテリアガーゴイルを討つ。

 その後には、辺りの地面に魔石とドロップアイテムばかりが転がっているのだった。






――――――――――――


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