第131話 南の島①
「それで、ティファ。どこに転移石を設置するんだ?」
「もちろん、地下です。マスター」
ティファが表情も少なめに頷く。
やっぱり地下か。
浜辺からちょっと歩いたところにしよう。
「ティファ、こっちだ」
俺が大地の力から作ったサンダルで、島の地面を踏みしめる。
辺りは見たことも無いような南国特有の植物が生えている。
「ここらでいいか」
大地の力で道を作り、ここに地下室を作ることに決めた。
上モノにはちょっとした小屋をセットだ。
ズモモモモモ シュルシュルシュル
あっという間に地下室付きの小屋が作られる。
「では、マスター。参りましょう」
ティファがスタスタと地下室へと歩き、俺も後に続く。
サッと見回し、部屋の中央に立つとティファが言う。
「では、転移石を設置します。マスター、ワタシのコアに力を」
「分かった」
俺はティファの胸に手を添える。
「あっ」
ティファが艶めかしい声を出す。
おいおい、今回は揉んでないっての。
若干、
一瞬カッと光り、ティファの両手に転移石が現れた。
「マスター。後は設置するだけです」
「おう」
サクッと台座を作り、鈍く輝く転移石を設置する。
「俺は確認とアイン達をつれてくるから、一度拠点に戻る」
「分かりました、マスター」
俺は転移石に触れ、拠点へと戻った。
倉庫の地下から外に出るとアイン達が作物の面倒を見てくれている。
「アイン、ツヴァイ、ドライ、ウノ、ドス、これから海に行くぞ!」
俺はゴーレム達を集めた。
おっ? 神獣もいるのか。
一緒に連れて行ってあげよう。
っとその前に木の集積場に寄って、木材をたんまりと霧夢の腕輪に放り込んだ。
また転移して海辺に戻る。
パラソルの影になっているところに霧夢の腕輪から籠を取り出して、抱っこ紐の中のヴェルとアウラをそっと入れる。
「クルルゥ♪」
「キュアッ♪」
二匹とも上機嫌だ。
「キミ!お姉ちゃんがたくさん捕まえましたよ!」
「うむ、我も手伝ったぞ。婿殿」
見るとエウリフィアとガーベラが両手にたくさんの海の幸を抱えている。
頭の上でルンがミョンミョンしていた。
早く食わせろってか?
「よーし! バーベキューしちゃうか!」
「ウォフッ」
俺はいそいそと
石をテーブル状に変形させてバーベキューコンロの完成だ!
次々に運ばれてくる食材を
醤油もどきの香ばしい香りが辺りに広がっていった。
「お姉ちゃん、もう我慢できません! あとキミはあのシュワシュワしたのを出して下さい!」
「この匂いは暴力的なのだ、婿殿!」
「ウォフッ!」
エウリフィアとガーベラがヨダレの垂れそうな顔で言う。
ええい! 今日は特別にダンジョンポイント開放だ!
コム・コーラの1.5ペットボトルや、チキンナゲットなどを出していく。
コップや食器も準備した。
「ああ~。シュワシュワさんです~。お姉ちゃん幸せ!」
「むぐ! この貝は絶品だ! 婿殿!」
ルンも焼きあがたった伊勢海老みたいなデカいエビを捕食している。
随分デカいのいったな、ルン。
神獣もはぐはぐと魚を食べている。
「ああぁ、ずるいですぅ」
「ですです」
「お腹が減る匂いなんだぜ!」
ヴェルとアウラを抱えた三人娘もやって来た。
「ああ、お姉ちゃんの取り分が減りますー」
「ムグムグ、それならフィア。また取ってくればいいのだ。婿殿、行ってくる」
エウリフィアとガーベラがまた食材を狩りに行った。
「これはぁ、おいしいですぅ」
「塩が効いてこれぞ海の幸と言う味! です!」
「おおう!? 美味いんだぜ!」
「クルルゥ!」
「キュアッ!」
俺の忙しい様子をジッと見ていたゴーレム達がおもむろに動き出す。
おっ。俺の手伝いをしてくれるようだ。
見様見真似でゴーレム達が料理をする。
手が空いた俺は木で箱を作り、そこに氷魔術で氷をぎっしり詰めていく。
ダンジョンポイントを使って出した飲み物をそこに放り込んだ。
さて、他のみんなはどうしてるかな?
海の方を見ると皆、それぞれ楽しんでいるようだ。
浮き輪を使って泳いで競争しているのは、ノーナとゼフィちゃんだろうか?
バタ足で泳いでいる。
あっ。ゼフィちゃんの速度が不自然に上がった。
さては水の精霊を使ったな? この負けず嫌いさんめ。
クーデリアとアルカはパラソルの下で休憩しているようだ。
どこまでも広がる碧い海を眺めている。
ティファは波打ち際の砂浜をしゃがんで眺めては指を突っ込んでいた。
何かの貝でも見つけたか?
そういえばミーシャが見当たらないな。
俺はキョロキョロと辺りを見回した。
が、それらしき人影も見つからない。
はて? と海を見ていると、
ドパアアアアアアアアアン!
と鳴り響く音がいた。
何事?
とそちらに目を見ると、蛇のような体をした魚が水面からジャンプして再度水に飛び込む音だった。
よく見ると小さな赤髪の人影もくっついていた。
んん? あの魚、随分とデカくないか?
遠目にそんな事を考えていると、ミーシャが海から上がってきた。
肩に何メートルもあるような魚を担いで。
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