第48話  発明家のアレックス

 俺は、鍛冶師のアレックス、ノアという男のところに弟子入りをした。


 アレックスは、30代前半の優男だった。

 こんな身体で剣が鍛えられるのかと思ったよ。


 しかし、彼は、凄い人だった。

 剣を鍛えるのに必要な大槌を、今でよりも三分の二ほど軽量化させてたんだ。

 炉もシンプルにして、余計なものを一切排除した作業所を持っていた。


 彼の本来の仕事は発明家で、鍛冶の仕事を教えてくれるのでは無く、彼の考えた道具を如何に、使いこなすかという事なんだ。


 俺はハッキリ言って、拍子抜けだった。


 とってもシンプルになってたけど、最後の強度を高める作業は、あと、これを15回ねと言われてズッコケた。

 凄い作業手順あるんですけど~?

 最初は、鋼を低い温度で熱しないと、鋼がバラバラになるんだって!

 その他にもいろいろあるんですけど?

 この人で良いのかな~?

 俺は心配になってきてしまった。


「あの~外と連絡が取りたいんですけど~」


 アレックスの目の色が変わったよ。


 俺は夜になって、ロレッタに連絡を入れてみた。


(『どうしたの!?』)


 双子石の向こうから、驚いたロレッタの声がした。


「ねぇ、ロリィ。俺の修行先が、本当にアレックス・ノアで合っているのか調べて欲しいんだ」


(『変わったお願いね、待ってて。調べて来るわ。』)


 ロレッタ声が、双子石から消えた。

 しばらくして、戻って来た。

 ロレッタが言うには、発明家のアレックス・ノアで間違えない事。

 俺の監視が、リンゼイ・ナクムで彼の親が地位のある神官であることが原因で、神殿側がリンゼイを処分出来ないでいるんだと。


 因みに、リンゼイはリンゼイで監視されているらしい。

 アレックスの助手に扮している男だった。

 この男は神殿の回し者なのだ。

 つまり……俺も見張られてるわけだ~~


 谷長の言っていた見張りの見張りがつくって、こういう事なんだ~



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