第47話  リンゼイ、再び

 俺は、一年後アルテアへの留学が正式に決まった。

 神殿からの命令で、正式に鍛冶の最新技術を学びに行くんだ。


 ロレッタとは、双子石を交換した。

 これで何時でも、声が聞ける。

 寂しく無いぞ。


 アルテアは、古王国なのに、王家より商人方が権力を持ってる国だ。

 しかも、城塞に囲まれた都市国家。

 サントスの町は、城塞の中に住めなかった人達が集まって出来た街だ。

 ここの神殿は、歴史は百年程度だが、メルクリッド大賢者様が創立させて、賢者様の人柄や人徳でサントスの神殿は、西域一になったと言われてる。


 俺が今回行くのは、城塞都市の中のある鍛冶師のところなんだ。この人に弟子入りするんだけど。

 一緒に弟子入りする奴がいるんだと。


 その名もリンゼイ、ナクム


 あいつ、学舎を放校になったと聞いたんだけど?


 どうして、こんなところであいつと会うんだよ!!


「俺が、お前の見張りだぜ」


 リンゼイは、俺の嫌いな奴の顔つきで笑った。


「お前に見張られなくても、俺は逃げないぜ!」


「でも、お前は逃亡の常習犯だそうじゃないか。お前が逃げてくれりゃ、魔法鍛冶師の仕事は、俺にまわってくるかもしれんだろ?」

「一匹も精霊を連れてないじゃないか。それで、まだ人の精霊を狙ってるのか」


「あの精霊使いのせいで、契約が出来なくなっちまったんだ。でも悪いが、まだ神殿の所属だぜ。お前は、さすがに予見されし者だよ。しばらく見ないうちに、火竜の加護を取り付けてやがる」


 火竜の加護!?

 パーシアが俺に力をくれたこと?


「盗れるものなら、盗ってみろよ」


 リンゼイは、苦笑いを返すだけだった。


 だけど、こいつは、神殿所属って!?

 なかなか、学び舎を退学にならなかったことといい、今も神殿の庇護下にいるなんて、よっぽど神殿に太いパイプがあるんだな。

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