第46話  すれ違い

 そういや、オルランドさんは銀の森の大神殿にいたんだよな。

 俺、いつでもオルランドさんに会いに行けると思って、その機会をずっと待っていたんだ。


 だけど、学舎に戻った俺に待っていたのは、山のような課題の提出と、教授が張り付いての魔法実施の訓練ばかりだった。


 ロレッタとお昼を食べるのが、唯一の休憩の時間になったよ。


 ある日、教授の用事で俺の個人レッスンが出来なくなってしまった事かあったんだ。

 その代わりに、魔法学のレポートを明日迄に仕上げてこいと言う泣ける課題が出たけど、俺はその日の課題を無視をした。


 もちろん、オルランドさんに会うためだ。俺は意気揚々と、大神殿に行った。

 今度は、ちゃんと身体つきだ。

 オルランドさんに、ケツ掘られても良いぜとあの時と同じ気分で、大神殿に入っていった。


 オルランドさんは、まだ、地下室の掃除を一人でしてるのかな?

 俺は、前に案内された地下室へ向かった。

 でもそこに、オルランドさんはいなかった。

 地下室はきれいに整頓され、床は、完璧に磨き上げてあったよ。

 此処にいないってことは、何処にいるんだ?

 俺は、適当な神官にオルランドさんの行方を聞いてみた。


「どの神官の事を言ってるんだ」


 此処には神官も巫女も大勢いる。個人名では分からない人も多いそうだ。

 

「中央神殿の大神官だった、オルランド・ベーカルだよ。降格されてこっちに移ってからは、地下室の掃除をやってたはずだ」


「ああ、その神官は地下室の掃除の功績が認められて、本人の希望でリリエンハイムのまだ、神殿の力の弱い所に伝道に行ったよ」


 俺は、それが俺の故郷のロペス村だとすぐに分かった。あそこは、神殿の力を嫌う土地柄だったからな。


 俺は、諦めて学舎に帰って山のような課題を仕上げるのに徹夜になったのは言うまでもない。


 でも、オルランドさんに会えなくても、そんなにショックじゃなかった。


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