第44話 再び、学舎へ
俺は火竜の化身の、パーシアとすっかり仲良くなってしまったんだ。
彼女は時折、俺の小屋を訪れて俺の手料理を堪能したり、俺に、谷が魔族に襲撃してきた時の事を鮮明に話して俺をビビらせて、楽しんでいた。
パーシアの事が、気の合う友人くらいに思えた頃、谷長が俺の様子を見に来た。谷長は満足げに俺の顔を見て、言ったんだ。
「荒療治が効いたな」
だって!!ひで~~!!
でも、結果、パーシアと仲良くなれたもんな。
俺が、デュ-ル谷へ来てから一年がたっていた。
そして、俺は再び学舎に戻るように言われたんだ。
せっかく、ここでの生活も慣れてきたのに……
それを谷長に言うと、基本の基本をすっ飛ばすなと怒られた。
「一年で、三年分の課程を終えて、その後アルテアで鍛冶の修行を始めるんだ」
俺は、ポカーン。
何で、わざわざアルテアで修行の必要があるの?
鍛冶の師匠なら、ここにロブがいるじゃん。
それを谷長に言ったら、
「30年以上前の技なんか覚えてどうするんだ?」
「!?」
こういうもんは、古式ゆかしき伝統みたいなもんがあるんじゃないの?
「お前が一人立ちする時には、鍛冶場から、小屋から道具一式新調してやるからな。アルテアは日々、最新の技術が開発される国だから、お前もアルテアで最新の技術を学んでこい」
「良いんですか?俺にそんな投資して。俺から目を離せば、逃げるかもしれないのに」
谷長は大笑いした。
なんだよ、そんなに可笑しいかよ。
「一年で三年分の課程をやることが、どんなことが分かってるのか?
それから、生憎だがアルテアでは、見張りがつくことになっている」
谷長は、ニヤリと俺を見て言った。
うひゃ~
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