第43話  火竜と同居(2)

 目覚めると、人がいた。

 俺のことをずっと見つめている視線を実は、目覚める前から感じていたんだよ。

 谷長!?なんとなく、この圧の強さはエリサさんかな~と恐る恐る、その人の方に顔を向けた。


 誰!?


 赤銅色の髪に褐色の肌、碧い瞳がとっても印象的な超美人のお姉さんだった。

 何処の人だ……?


『ライアン・ロペスね?私の事は、パーシアと呼んで。』


 古代レトア語なのね……



『パーシアスって古い言葉で竜のことですよね!?あなたは一体誰なんスか?』


『面白い挨拶をありがとう。あんなに笑ったのは、何百年位ぶりだったかしら……

 フレイドルの者達は、腕は良いが面白みに欠けるのよ。みんな、変に真面目な者ばかりで……次代の魔法鍛冶があなたなら、私は全力で協力してするわよ』


 パ-シアと名乗った女性は、30歳手前の女性に見えたんだけど……


「「「え!?えええぇ!??この人が火竜!?」」」


「ご挨拶申し上げます、神の眷属さん。俺、ライアン・ロペスです」


 その途端、パーシアさんが大笑いするんだ。


『共通語になってるよ。それにあなたからはもう、挨拶はされているわ』


 パーシアさんはそう言いながらも、笑っている。

 時々、身体から、プシューなんて音がするんだ。


『君が私の存在に馴れてくれるまで、私はこの姿で君の前に現れるわ。

 ただし、この事はデュール谷のどの人にも言っては駄目よ。

 この姿は、谷の人には見せたことが無いの』


『そんな大事な事をどうして、よそ者の俺に!?』

『よそ者同士だわ。私は長くこの時代にいるけど、本当は神代にいたのよ。

 仲間も沢山いたわ。でも、千年ほど前の戦争の時に召喚されてしまったの』


『元の時代に帰れなかったの?』


『ええ。そんなに力のある魔法使いはいなかったわ。それよりこれから何年かは、あなたと面白いことが出来るのよ。そっちの方が楽しみだわ』


 美女に言われて、俺苦笑い……


『でも俺、鋼を溶かせる力も無くて』


『少し、力を授けるわ。手を出して目を閉じて』


 俺は言われた通りにした。


 パーシアが俺の手を取ると、温かい力が俺に入って来るのを感じた。

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