第35話  サイコーな気分だが……?

 気が付いたら、俺は巨大な神殿の前に立っていた。

 流石、上位の風の精霊。

 ここまでドンピシャに送ってくれるなんて!!


 でもこれが銀の森の大神殿かぁ……

 うん、デカい!!

 各国から巡礼者が来る所だ。

 さぁ、これからオルランドさんを捜すぞ。

 何なら、今日はケツを掘られても良い気分だぜ。


 俺はノリノリの気分で、大神殿に入って行った。


「もし、もし、神官さん。俺、ラインハルト・リッヒだけど、オルランド・ベーカル神官に会わせて下さい。」


 何故か、無視される。

 違う神官にも、同じ事を言った。

 また、無視をされる。

 なんで~?


 そうしたら、顔色を変えて俺のことを凝見してる奴がいた。


 小柄な、マル眼鏡をかけた赤毛の短髪の男の子だった。

 神官の服を着ているから、こいつも神官なのだろう。

 10歳位か?


 俺はその子に話しかけてみた。


「ねぇ、オルランドさんに会いたいんだけど案内してくれる!?」


「あなたは……精霊じゃないですね……人の匂いがしますし……ロイル家の方の霊魂ですか?」


 久しぶりに出たな、それ。


「違う、違う。俺、リリエンハイムの生まれだから」


(「ん!?この坊主なんて言った?霊魂とか言ってたぞ?」)


 その時、俺は初めて自分の身体が精霊のように透けていることに気が付いたんだ。

 俺は、しばしパニックに陥った。


「なんで?俺の身体は~?どうなってるんだ~?」


「落ち着いて下さい。どうやら、精神体だけ飛ばされたようですね。

 生きてる人のようなので、少し、安心しました。用が終わったら早く身体に戻った方が良いですよ」


「え!帰る!?」


「当り前ですよ。そのままでは大変なことになりますよ。身体に戻れなかったら、世界を漂う幽体になってしまいます」


「帰れるのか!?俺の身体に」


「そうですね。あなたの身体に銀色の糸がくっ付いてます。その糸を引っ張れば帰れるはずです」


「よがった~」


 安堵する俺。

 それで、そいつにオルランドさんの居場所を聞いたんだ。

 そしたら、このデッカイ神殿の地下室を一人で掃除してるらしい。

 何の罰!?


「人に言われたことではありません。ただ、長年放置されていたので、あの方には我慢が出来ないのでしょう」


 セネガと名乗った少年に俺は、オルランドさんの所まで案内してもらった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る