第30話  火竜の女

 ジェド師に会った翌日、俺とリンゼイは銀の森の直轄地、デュ-ル谷へ行くことになった。

 剣と鍛冶仕事を覚えてこいと言うことだ。何で、リンゼイと一緒なんだとセルグ師に食い下がったが、これは神殿命令だと取り合ってもらえなかった。


 俺は本当はヴァングロフを盗った奴なんかと旅なんかしたくは無かったんだ。


 でも、デュ-ル谷には、先代の魔法鍛冶師がいて、その人の話も聞いてこいと言われていた。


 旅になるのかと思っていたら、神殿が、魔方陣を使わせてくれた。


 ひとっ飛びで、デュ-ル谷だ。


 夜遅くに出たので、谷へ着いたのは、深夜だった。

 そのままその日は就寝。


 次の日の朝、日も上らぬうちから、


「ライアン、早く起きて水汲みをしなさい!!リンゼイは、もうとっくに終わってるわよ。」


 と言う怒号で起こされた。

 何て声の主だよ。

 遠くから声を出しているのは分かるけど、決して叫んでいる訳ではないんだ。


 俺は、始めての場所でよく眠れなかったんだ。言い訳になるかなぁ……


「おはようございます」


 薄茶色の髪を軽く結い上げた女性が、屋敷の裏で桶を持って待っていた。


「ここにいる間は、三刻起きで水汲みよ。」


「はい」


 その時、俺は気が付いたんだ。彼女の左肩には、半透明の火竜らしきものがいたんだ。


 竜!?何それ!?


 俺が固まっていたら、火竜の奴が俺に火を吹いてきやがった。

 こういうの、俺、駄目なタイプ~

 チビって気絶したわ~~

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