第28話  光りの神殿

 俺が我に返った時、リンゼイは姿を消しており、俺は悲しさと悔しさでいっぱいになった。

 なんで、自分の口から精霊の名を言ってしまったんだ!?


 俺って死ぬほど馬鹿!!死んでも馬鹿なんだろう!!


 俺は後悔で、学び舎を飛び出した。

 オルランドさんに会いたかった。

 慰めてもらいたかったんだ。


 神殿は森の最奥にあると聞いた。

 俺は無我夢中で、森の奥へ走って行った。

 でも、この森はなんて広いんだ。

 途中に、歓楽街から、屋敷街まで見えて来たぞ。


(『?』)


 後で知ったが、銀の森の広さはサントスよりも上だという事だった。

 銀の森の中に、奥の院の光の神殿、市民が礼拝していく大神殿。

 魔法使いや、各方面の職人を育てる学び舎。

 それらに携わる人達や、その人たちを支える人達もいる。


『娼館・ヒューリア』なんて出て来た時はビックリしたぜ。

 サントスにもあったのかな?

 俺、神殿から出てなかったし、知らないんだわ。


 大分奥まで来たと思うんだけど、何処かなぁ……


 俺はキョロキョロと、辺りを見回して奥の方へ進んだ。

 そしてとうとう見つけたんだ。神殿を!!

 聞いていたより、ずっと小振りだった。

 ここがオルランドさんのいる銀の森の神殿なんだ。


 俺は足取りも軽く、若い神官さんにオルランド・ベーカルさんに面会をしたいと頼んだんだ。

 そうしたら!そうしたら!!帰って来た返事が、(「誰、それ?」)だった。


「中央神殿で、大神官やってた人だよ。知らないはずないよね?」


「ああ、この前降格された人だね。あの人は、もう出世できないよ。市民の前で土下座までしたんだろ!!大神官のする事じゃない」


「良いから、オルランドさんと合わせてよ!!」


「ここは光の神殿だよ。オルランド・ベーカル神官の配属先は、大神殿さ。

 つまり、ここにはオルランド神官はいない」


 そんな馬鹿な~~~


 俺が狼狽えてると、後ろから聞いたことのある声がした。


「ラインハルト・リッヒね!?逞しくなったけど、その銀髪で直ぐに分かったわ」


「オリエ姉さん?」


「あなた、サントスを抜け出して、何処にいたの?今は何処にいるの?」


「姉さんには悪いことしたと思ってるよ。でも俺、将来のことを押し付けられるようで嫌だったんだ」


「そうなのね……正式に魔法学を基礎から習ってないあなたには、魔法鍛冶が素晴らしい職業だと分からないのも無理もない話だわ」


 オリエ姉さんは、俺を光の神殿へ招き入れた。


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