第26話  嫌な奴

 俺は、オルランドさんの館を出て、銀の森にやって来た。

 俺はオルランドさんの後を追ってきたのさ。

 幸い、俺には魔法の力がある。

 これを生かせば、学び舎に潜り込んでオルランドさんに会いに行くんだ~


 俺はセルグ師に連れられて、学び舎の門をくぐったんだ。

 19歳という年齢と、サントスで3年学んだこと、セルグ師に師事していたことで、魔法使い見習いコースへの編入が認められた。

 ただし、同級生は15歳のガキだった。

 物珍しそうに見つめて来る、思春期真ん中の奴ら。

 俺はヘラヘラ笑って、席の一番後ろに座った。


「リーン」


 誰かに呼ばれた。


「うん!?」

「なんだぁ!?」


 俺の他にも返事をする奴がいた。


「ラインハルトさん、あなたのことではありませんよ。リンゼイ・ナクム、カットラー師がお呼びだよ。早く教授室に行きたまえ。

 また、人の精霊を盗んだそうだね。君が退学にならないのが不思議なくらいだよ」


「ちっ!!あの小僧、教授に言いつけたのか!」


 見れば、俺と同じくらいの年の奴が何人かいた。

 俺のことをラインハルトと呼んだこいつは、クラス委員でティマークというらしい。

 15歳だ。

 それよりも、注意をされていた方だ。リンゼイ!?リーン??俺と同じ愛称じゃないか!!しかもこいつは 俺と同じくらいの年だった。


 リンゼイは、俺の席の側をわざと通って言った。


「はぐれ魔法使いのお坊ちゃま、良い精霊を持ってるな。貰うぜ。」


 なんという物騒なことを言う奴なんだ!!

 ヴァングロフとエスティーヤは俺が守るんだ!!

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