第22話 芋を焼きましょう
やがて季節が巡って、木の葉の散る季節になった。
何もせずにいたら、屋敷の周りが、落ち葉だらけになって、セルグ師に怒られた。
俺は枯れ葉掃除なんて、やったことないよ。
セルグ師は俺に、枯れ葉の集め方やら、枯れ葉で芋が焼けることも教えてくれた。
そして見計らったように、ルーカスが中央神殿の畑で、大量にとれた芋を山のように持って現れた。
セルグ師は、俺に対してとんでもねぇことを言ってきたんだ。
「そなたの精霊を使って、芋を焼いてみろ」
「ほえ!?」
「そろそろ、実践をする頃じゃ。せっかく、火の精霊を持っているのに、使い方を知らんとはな。ほれ、枯れ葉の中に芋を入れるのじゃ」
「うん」
「返事は『はい』じゃ」
俺はルーカスの持って来てくれた芋を、集めた枯れ葉の中に入れた。
「火の織物問屋~この落ち葉に火を付けてくれるか~?」
<あいよ>
ヴァンクロフは、かなり高位の精霊に育っていたので、いきなり大きな火柱がたってしまった。
「馬鹿モン!火事にする気か?力の加減を覚えろ!!」
「うぅ……」
「泣くなよ、ラインハルト」
ルーカスは、笑って言った。
「泣いてないぞ!!俺は自立するんだ!!オルランドさんにもそう伝えてくれ!!」
俺はヴァンクロフに、少し力を加減して欲しいと頼んだが、高位になって大きな力を使えるのが嬉しくて、俺の言う事を聞きやしない。
こういう時は、古代レトア語だったな。
『ヴァンクリフ!!焚火程度で良いんだ』
<ちっ!!>
ヴァンクリフは精霊のくせに舌打ちをして、俺の頭上に戻って来た。
芋は、真っ黒こげになっていた。
中身も真っ黒だった。
「これ、大神官様の土産にして良いかな?」
「ぜってぇ、嫌味だろ!?ルーカス!」
ルーカスは大笑いした。
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