第21話  俺の特訓

 セルグ師の教え方はとにかくスパルタだった。


 夜明け前に起きて、井戸の水汲み(おばちゃんがやっててくれた)。

 午前中の頭のすっきりしている時に、呪文の練習(主にサントスで覚えた呪文の復習。

 俺の精霊は中位程度の力があるらしい。

 出会った場所を愛称にして、俺はヴァンクロフのことを火の織物問屋と呼んでいる。セルグ師には笑われた。が、俺には他に思いつかなかった。

 サントスで出会った風の精霊のエスティーヤは、元は砂漠で生まれた風らしい。

 こちらは、可愛らしい嬢ちゃんの姿をしてるので、風のお嬢で決まりだ。


 昼飯を食べると、地獄の午後の授業が待っていた。

 重いずた袋を持たされて、オルランドさんの館の周りをひたすら、歩き続けるというものだ!!

 俺は何でこんな事をやってるのか、分からなくて半泣きでやっていた時もあった。

 ある時、俺がずた袋を持って屋敷の周りを歩いていると、オルランドさんが帰って来た。


 俺はオルランドさんの所へ行って、泣きついてしまった。

 そうしたらオルランドさんは、俺を屋敷に招き入れ、手のまめの手当てをしてくれた。

 そして言った。


「頑張って下さいね」


 それで、その日は帰るんだぜ~~!

 もう、オルランドさんも信用がならねぇ!!

 俺は自立するんだ。

 そう決心して、今まで以上に修行に取り組んだ。


 それと共に、俺の精霊たちの地位も向上していった。


 気が付けば、セルグ師は週三のペースで姿を消しており、炊事のおばちゃんも顔を見せなくなっていた。


 俺はこの館で、自炊をする羽目になってしまった。

 でも、苦にはならなくなっていた。

 人間は所詮、一人なんだ、一人で生きていくんだ!

 でも、

 俺がサボり根性を見せ始めると、セルグ師はやって来るんだ。

 気は抜けなかったな。


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