第19話 ルーカスと俺
ディナーレ郊外まで帰って来た時、俺を迎えに来たのは、ロペス村へ行った時にニールとの合流場所まで、送ってくれた中央神殿の神官だった。
泣き腫らした俺の顔を見て、予測はしていたらしく黙ってニールに幾らかの金を包み、この事はサントスでも、中央神殿にも黙っているように伝えていた。
「大神官様の独断でされたことだからな」
神官がそう言うと、ニールはかなり驚いていた。
俺はニールと別れて、その神官の乗る馬に乗って、オルランドさんの温泉の屋敷に連れて行かれた。
また、ここに戻るのか~~
俺を送ってきた神官は無口な人で、道中は一言も喋らなかった。
屋敷にオルランドさんの姿はなかった。
「大神官様は忙しいんだ。あまり、大神官様に甘えるんじゃない!」
オルランドさんを捜していた俺を察してか、神官が口を開いた。
「大神官!?オルランドさんは神殿のNO3じゃないの?」
「いつの話をしてるんだ!?3年前からオルランド様は大神官だ。
俺は、大神官様付きの神官だ。君のことは、大神官様から聞いている。
男なら、囲われずに自立しろ!!俺が君に言いたいのはこれだけだ」
薄茶色の髪と茶水晶の瞳を持った意志の強そうな青年は、俺と同じ年位だった。
彼の精神年齢と俺の精神年齢は、10歳は違うな。
こいつなら、ケツ掘られても泣かないかな……
と俺が考えていたら、神官が急に赤くなった。
「変な事を考えるな!!世の中には心の読める奴だっているんだぞ!
君の心の声は駄々洩れだ。しっかり、栓をしとけよ!」
神官は、ルーカスと名乗り、オルランドさんと俺の橋渡しをしてくれるという。
オルランドさんが地位のある大神官なので、彼付きの神官が細やかな面倒を見てくれるというのだ。
俺、中央神殿でもサントス神殿でも待遇が良かったから、すっかりお坊ちゃんになってたんだよな。
でもルーカスは、神殿での仕事があるから、いつも居る訳ではないらしい。
んで、食事を作ってくれるおばちゃんが雇われたんだ。
掃除は週に一度、まとめてやってくれるおじさんがいて、この人が屋敷の管理を任されているみたいだった。
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